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「ギャラリー」ってなに?『デザイナーのギャラリー日記』2

galleryMainには、田舎の縁側のようにふらっと人が訪れる。家がない写真家が故郷へ帰って来たかのように在廊しプリンターを起動させ、遠方から来た写真家が居心地良いと言い滞在し、妊婦の人は世間話に、みな友達に会うかのような感覚でギャラリーを訪れる。そして、ただの雑談は長い話を通じて、深い話に変わっていく。毎日、アイデアに溢れている。

「ギャラリー」と言うよりも「コミュニティー」だと伝えた方が通じるかもしれない。人と人の繋がりに重点を置いたオーナー中澤さんのやり方は、ギャラリーのホームページでは簡単にしか語れれていないが、陳腐な言葉で語るコミュニティーよりも具体的に生き生きとしている。美術を求めてくる人の多くは、思考を巡らせにやってくる。作品や雑談を通じて、美術のこと自身のこと社会のことを話し合える場所として機能する。ソーシャリー・エンゲイジド・アートとは違う形で、自然に美術や社会のことを考える。

ただ、このままの説明だとギャラリーで話てるだけのように見えてしまう。実際にいつ仕事をしてるのかと疑っている。が、具体的な事業を少し整理も兼ねて紹介してみると。

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ギャラリー以外にも、カフェ、スクール、ラボなどを展開している。どのサービスも儲かる云々の前に、サービスに来る人の面白さや、そこから生まれたプロジェクトのことを中澤さんは教えてくれる。喫茶テンに関してはできた頃は、写真家天津さんとメインの中澤さんの二人が店に立ち、写真家が集まる面白い場所になっていた。現在は、間貸ししていてともみジェラートが大人気だとか(早く行きたい)。

ギャラリーとしてバラバラに仕掛けているように見えるが、やりたいことは(たぶん)シンプルでスクールで学び、カフェやギャラリー(裏)で語りからプロジェクト・仕事を作り、ギャラリーで発表する。または、国内外に紹介していく、作家や美術のファンを育てる環境を作ろうとしている(はず)。

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ギャラリーの単語の意味を掘り下げると元は「回廊」、行くだけの単線的なギャラリー像ではなく、周り成長していくようなビジョンを提示して行くことがデザイナーに求められている仕事かもしれない。

続く

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竹下 想
ここまでスクロールしていただけて嬉しいので、間違いなく嬉しい。