時の王

王の目覚め

パンッパンッパンッ
銃声が鳴り響くと同時に仲間が次々と倒れていく。敵の銃口が自分に向けられる。それからの一瞬のことが僕にはまるで数時間のように感じられた。敵が引き金を引く。弾丸が銃口から飛び出す。ゆっくりと自分の方に飛んでくる。逃げたい。その思いが必死に叫んでいる。が、体が重い。まるで体が鉛のようだ。敵の弾丸が体に当たる。まだ痛みはない。体にめり込む。途端に激しい痛みが襲ってくる。弾丸が当たって痛みが強くなるとともに意識が薄れてゆく。意識が薄れるとともに激しい後悔に襲われた。あんな話に乗らなければ...
 今月の将軍との会議で敵の進軍が確認されたらしいからキャンプを襲撃して未然に防いでくれっていう命令うまく行ったら階級を上げるっていう報酬付きこれはチャンスと思って承諾したのが運の尽きだった。
 何かゲームをしている。一人称視点のゲームだ。自分は素手。相手は拳銃やライフル。マシンガンなど。仲間はいない。唯一の朗報とすれば時間がものすごく引き伸ばされていることだ。そこで数日。いや、どれだけの時間やっていたかはわからない。とにかく長いことやっていた。眠気もなければ空腹にもならない。何も感じない。ただゲームの画面が見えてそれをプレイしている自分。その認識と自我だけはあった。なぜだろう。これは夢と認識しているのに起きられない。ゲームは自分でやっている。自分の意志でやっている。ゲームは楽しかった。時間を気にせずにずっとやっていていいというのが楽しかった。しかし、それも夢。ゲームが終わるとともに目が覚める。
体が重い。誰かが話しかけてきている。意識がはっきりしてきた。補助されながら起き上がる。頭が重い。まだ少しクラクラする。
イビシアン・ハ・キリアン
「ここは...」
見覚えがある場所...
???
「あなたの隊の救護テントです。あなただけ敵の基地から帰ってきたので...」
「私は救護員のソリューシャン・バションです。他の隊員はどうしたんですか?」
イビシアン
「みんな敵と戦って...自分もやられると思ったんだけど、なんで生きてるんだ?」
ソリューシャン
「あなたが敵の基地から一人で帰ってきて突然倒れたので敵の基地の様子を見に行ったら全滅していたので...」
イビシアン
「なんか眠っている間の夢で時間がものすごく引き伸ばされたゲームをしていたんだ。しかも、敵の弾にあたってもすぐ回復するんだ。」
ソリューシャン
「それはもしかしたら、時の能力かもしれないわ」
イビシアン
「時の能力?」
ソリューシャン
「はい。」
ソリューシャンがどこかからか新品の分厚い本を持ってきてページを開いた。
ソリューシャン
「ここに書いてあることによると...」

to be continued


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