スワローズ現地リポート6年ぶり8度目の日本シリーズ進出決定おめでとう!

 セ・リーグ クライマックスシリーズファイナル第1戦・2戦を勝利し、日本シリーズ進出に王手をかけたスワローズは、11月12日に第3戦を神宮球場で戦った。

 CSファイナル開幕前、初戦と第2戦のチケットは取れていて、試合の何日か前から応援グッズを準備していた。準備万端なのは分かっているのに、出して確認してはまたしまう、というようにオジさんが遠足前の子供みたいなことを酔っ払ってしていると、ファン仲間・現地観戦仲間でありチケット入手でいつも世話になっている方からメールがきた。

「3戦目、ライト側取れるけどどうする?」

初戦・第2戦はライト側が取れなかったのに、金曜日に行われる第3戦が外野席が取れるというのは意外だった。

彼女の説明によると外野席に座るには"ワクチン接種済み"を証明するためのリストバンドを身に着ける必要があり、それを貰うには球場の少し先にある噴水広場に行かないといけないとのことだった。

この日は仕事が終わるのが遅くなるのは分かっていて、19時過ぎに仕事が終わり、外苑前まで行き、さらに噴水広場まで行って手続きをする。そうなると、たぶん球場に着くのが20時半を過ぎてしまう。試合の展開にもよるが、到着できるのは7,8,9回くらいになってしまうと考えられた。

「胴上げが見られるかも…」と少し迷ったが、本当に時間が読めなかったので残念ながら断ることにした。

「勝つか引き分けで決まるけど、仕事も19時ピッタリに終わるか分かんないし、やめとくよ」そう返信するとボッチ観戦を好まない彼女は

「じゃあ、私もどうしようかな…?」と迷っている。

CSの日程を分かっていたのに休みを取らなかった僕、CS出場が決まるとすぐに動いて休みを取った彼女。しっかり備えていてチケットの手配もしてくれた。優勝記念グッズも沢山購入していた。同じファンでも僕と彼女の差はあまりにも大きい。彼女のようなファンが"決定の瞬間"を見逃すべきでない。本気でそう思ったので、

「胴上げや優勝セレモニーがあるかもしれないから、絶対に行くべき!」と伝えた。

最近はスワローズに限らず野球のことをよく勉強している、というのが彼女と会話をしているとよく分かるので、この時は少し熱くなってしまった。

「わかった。じゃあ行ってくるね!」

という返信がきた。「一人ならやめとく」と言わなかったことにホッとして、「レアなチケットを取るためには筆記試験をしてほしい!」とイキっていた昔の自分を思いだして少し酔いが醒めた。


 無事19時に仕事を終え帰り支度をしていると、同僚の女性が声を掛けてきた。

「今日、フジテレビでやるんだね」と。

「金曜日のゴールデンタイムにそんなはずはない」と思った。NHKではごくたまに中継があるが、フジテレビでは何年もそんなことはなかった。

「嘘でしょ?」と訊くと、

彼女は新聞を持ってきて、黙ってテレビ欄の枠を指差した。

はっきり覚えていないが"日本シリーズ進出なるか!?"みたいなことが書いてあり、本当だと分かるとすぐに職場のテレビを点けた。

神宮球場の映像が映ると「ここで観ていくのもありだな」と思った。どんなに遅くなっても社内には誰か居るし、僕が野球を観ていても意外に思う人は居ないはず…。そう思って一度椅子に座り態勢をとってみるのだが、なんだか落ち着かない。

仲間が観に行っているというのもあったのか、弱かったチームが劇的な瞬間を迎えるかもしれないからか、次はいつになるか分からない確変チームだからか…、とにかくソワソワしてしまうので「よし!」と一声出すと椅子を片付け、弾むリュックを押さえつけながら小走りで駅に向かった。


 外苑前駅に着いたのが20時少し前。試合は4回の攻防が終わった頃くらいだったと思う。駅周辺には、僕同様に居ても立っても居られないファンがいるかな…なんて思っていたが、人影は少なく、ライブ映像を流しているバーの店内だけは賑わっていた。

オフィシャルショップ内にも数名の客がいるだけだった。ショップ内のモニターでライブ映像が観られるのだが、さすがに店の入口に居座るわけにもいかないので、デイゲームやナイターが早く終わった日などによく寄るカフェに入り、野球速報アプリで観ることにした。

席につくと、スワローズのロゴ入りのスタジアムジャンパーと燕柄で"YS"のロゴが入ったスヌードを身に付けたままアイスコーヒーを啜った。周りからは、チケットを買えなかった可哀想な人に見えていただろうか…。


 スワローズ先発は原樹理投手。ジャイアンツ先発はメルセデス投手。原投手はジャイアンツ戦 1勝0敗 防御率1.59 対するメルセデス投手は対スワローズ 1勝1敗 防御率5.14

数字で見れば原投手有利と思われた。

両投手初回をゼロで抑える上々の立ち上がりだった。

ところが、2回表。ジャイアンツの6番、大城選手の打球がピッチャーへの強烈な打球の内野安打となり、これが原投手の利き手、右手に直撃してしまう。

原投手はベンチ裏に下がる。そこそこ長い時間裏にいたと思う。「マズイのかな…」と思いながら何とも言えない時が過ぎる。こういう時、映像がない野球速報は、何がどうなっているかほぼ分からないので、あまり心臓によろしくない。

しばらく経つと速報にもピッチャー交代が表示された。原投手は、戻ってくることができず無念の降板となった。

1.1回 31球 被安打1 三振1 四死球1

初戦奥川恭伸、2戦目高橋奎二両投手に続こうと意気込んでいたのではないか。もし奥川投手のようなピッチングができていたら、最後までマウンドに立てているようなことがあるとすれば…、3戦目までの流れを考えると「胴上げ投手もあり得ないとは言い切れない?!」なんてファンは想像すらしていた。

8/29のベイスターズ戦、396日ぶりとなる白星を挙げると、優勝争い真っ只中の10/24のジャイアンツ戦では3勝目を記録し、自らを援護するタイムリーヒットを放ち3打点とバットでも魅せてくれた。

故障・不調と苦難の日々が続いたが、大事な場面にしっかり仕上げてきた。レギュラーシーズン先発登板が8試合のみだったのに、CSファイナルステージに先発としてマウンドに立った。これは凄いことだと思う。

この日の試合終了後、グラウンドに出てきてはいたので大事に至らなかったのだろうと思っている。次に立つマウンドはどの舞台になるのか、楽しみに待っている。

また、原投手は女性ファンを増やしてくれる貴重な存在なのでそっちの面でも期待している。

 

 原投手に代わって登板したのが金久保優斗投手。清水昇投手が日本記録、48ホールドを達成したときの勝利投手で背番号は48。一部から「背番号"48"を高橋奎二投手に譲ってはどうか」と言われているとかいないとか…。高卒4年目、シーズン成績4勝のピッチャーだ。

この金久保投手が緊急登板だというのに、一軍での経験はまだまだ浅いというのに素晴らしいピッチングを見せてくれた。後に、録画しておいた映像を見ると解説者の方も「大した度胸だ」と言っていた。原投手からバトンを受け、続く打者二人をライトフライと三振に抑えた。原投手早期降板という、あまり想定していなかった大きなピンチを0点で切り抜けた。これは大きかった。

正直、ここで少し"流れが変わるかな"と思っていた。ピンチの後にチャンスがあるのはよくあること。先制点を取れれば3勝でリーチをかけているスワローズが俄然有利となる。

しかし、メルセデス投手は変わらず好投を続け、2回裏もスワローズは得点できず初回同様三者凡退で終わった。


 3回表、金久保投手はフォアボールとヒットで一死1,3塁のピンチを迎えると、3番坂本選手に犠牲フライを打たれジャイアンツに先制点を奪われる。

野球解説者の高木豊さんが自身のYou Tubeチャンネルで言っていたのだが、初回に原投手が与えた死球があったからバッテリーは内角を攻めづらく、坂本選手はアウトコースに絞り思い切り踏み込むことができたという。結果、距離十分な犠牲フライとなった。

良いことも悪かったことも通しで見ると繋がっていたりする。プロの解説を聞いていると、そういうことが分かるから面白い。

 

 その後金久保投手は5回表まで1失点という見事なピッチング・好リリーフだったのだが、その好投をスワローズファンの頭から消してしまうほど驚異的だったのが、メルセデス投手だった。

4回裏にフォアボール3つで二死満塁のピンチを迎えるが、6番中村悠平選手を1球でセンターフライに打ち取り、この時点でノーヒットピッチング。4回でノーヒットだ…。

前日、スワローズ打線が天敵菅野投手をKOして僕は喜ぶというよりホッとしていた。「打ててよかった…」と。

ところが、わずか一日にしてまた同じ不安に襲われていた。まさかのメルセデス投手…、まさかのノーヒットノーラン…。CSで2度目となったら前代未聞、もし勝ち上がってもまたトラウマになってしまう。

5回裏もスワローズ打線が三者凡退で終わると寒気がしてきて、アイスコーヒーを飲んでいたからではなく、よぎるトラウマと恐怖で僕は震えあがっていた。「頼むから、とりあえず一本打ってくれ!」この時は勝敗よりそのことばかり考えていた。情けないが、正直な気持ちだった…。

今シーズンチーム内で流行った言葉が「絶対大丈夫」だった。僕だって、そうブツブツ唱えながら観戦していたし、選手にもファンにも力を与えた高津臣吾監督発のこの言葉が好きだ。

でも、(悪く言うつもりは一切ないが)勝負事に"常"はないのだ。勝者がいれば敗者がいる。今日の勝者は明日の敗者であり、その逆もまた然り。"明日は我が身"だからこそ、相手へのリスペクト・相手を思いやることがスポーツや勝負の世界では大切とされるのかもしれない。

 

 6回表、金久保投手に代わったのは石山泰稚投手だった。作シーズンまでクローザーを任され、絶対的守護神と呼ばれていたピッチャーだ。しかし彼は今シーズン苦しんだ。

オフには去就に注目が集まっていたが、FA権を行使せず残留を決めた。小さな巨人・石川雅規投手と同郷秋田県の出身。ファイターズの吉田輝星投手と同じ金足農業高校出身でもある。

今シーズンも二桁10セーブを記録するも、5月に打ち込まれて配置転換された。代わってクローザーを務めたのが、現守護神マクガフ投手だった。マクガフ投手は、個人的前半戦MVPであるのは、石山投手の代わりという大役を見事にこなしてくれたからだ。

石山投手が10セーブ。マクガフ投手が31セーブ。2選手が二桁セーブを記録したのは12球団でスワローズのみだったから、これは凄いことなのだが、石山投手からしたら本意ではなかったと思う。

ちなみに、この二人のセーブ数を足しても追いつかない42セーブという数字を積み上げ、2年連続最多セーブ投手のタイトルを獲得したのがタイガースのスアレス投手だ。2年連続セーブ王、今シーズンの"42セーブ"という数字はなかなかの化け物で、彼が出てくると「終わった」と絶望するのはいつものことだった。タイガースファンの方もご存知だろうと思うが、スワローズのスアレス投手は彼のお兄ちゃんだ。

石山投手は、登録抹消を2度経験する苦しいシーズンだった。投げたけど打たれてしまう、投げたけど大事な場面では任されず、そういう時がそれなりに長く続いたから見ていて苦しくなった。「もしかしたら、このままあの頃には戻れず…」なんてことも考えなくはなかった。

ところが、そんな貧弱な心配をしていたことに嫌気がするほど、彼は強くなって帰ってきた。ヤクルト優勝記念雑誌によると「戸田球場で若手に交じり練習を重ねた」とのことで、原投手と同様に落とせない試合が続いた9月と10月には状態を上げてきた。

それほど目立つタイプではないし、球団のYou Tubeチャンネルに出てきているのをほぼ見たことがなければ、新加入の田口麗斗投手のように陽キャで盛り上げるタイプではないだろう。

敗戦処理的な場面だろうがどんな場面でも、己と向き合うかのように思いきり腕を振り、打たれても、何度上手くいかなくてもマウンドに上がり続け、見せてくれる全力投球は見ていて本当に感動した。戸田で共に汗を流した若手にもその姿・姿勢はきっと伝わったはず。

前に、オジさんになると若手が頑張っている姿に弱くなると書いたが、中堅の必死さもまた、たまらないものがある。すぐ泣きそうになる。

「よく感動できるようになるから得だな」と最近思っている。オジさんになることも、老けることも悪いことばかりではない。

 

 試合とはズレたけど、スワローズからは脱線していないはず…。思いが溢れ、ついつい長くなってしまう…。

6回裏、好投のメルセデス投手が塩見選手にデッドボールを与える。塩見選手はセ・リーグトップ…ではなく最多の10個の死球を受けた選手だ。トップバッターとして出塁することは凄く大事なので良いことではあるが、怪我だけは本当に気をつけてほしい。 

青木宣親選手も同数でリーグ最多であることは知られているのか…、それが少し気になるところ。「ガブる打撃フォームだから」とかいろいろ言われるが、"踏み込む勇気がある"というのを見逃さないでほしい。そして、ベテランにしてたとえ死球を受けても、怪我をせず試合に出続けていることこそ超一流の証であることも忘れないでほしい。

その青木選手がレフトフライで倒れ、一死1塁となったところで打席に入ったのが山田哲人選手。クライマックスシリーズ、ここまで9打数ノーヒット。

不振を心配する声も聞かれたが、あるスワローズファンの方のYou Tube動画を見てみると、CS第2戦、ベンチで塩見選手に話しかけられそれに答える姿が映っていた。アドバイスを求められたのか、自らしていたのか分からないが、当たっていないからと下を向いているような姿は全く見られなかった。その直後塩見選手は試合を決定づけるタイムリースリーベースヒットを打った。動画主さんは山田選手を「影の立役者」と評していていた。普段はなかなか見ることができないベンチ内の動画をあげてくれることは、本当に有り難いことだ。

そしてついに山田選手はCS10打数目にして初のヒットを放つ。好調メルセデス投手からのチーム初ヒットでもあった。山田選手が粘り勝ち、8球目をレフトへ運んだ。

一本出た瞬間、人気のないカフェで声を出してしまいそうになり焦った。拳をずっと握りしめていたから、手の平に爪跡がくっきり残っていた。

これで重苦しい雰囲気は吹き飛んだ。「さぁ追いつこう!」と思うのだが、メルセデス投手は可能性を感じさせたノーヒットノーランがなくなったからといって崩れることはなかった。続く四番村上宗隆選手をレフトフライ、サンタナ選手を三振で抑え、何事もなかったとばかりにスリーアウトとなる。

 

 7回表、先ほど触れたセーブ王、タイガースのスアレス投手のお兄ちゃんの出番となる。彼は今シーズン序盤は先発として登板していたが、チーム事情から終盤からは救援に回ることとなった。左の田口投手と並び、ロングリリーフ・回またぎもできる貴重な右腕として、見事にチームの期待に応えてみせた。

10/3のビジターでのカープ戦で来日初セーブを記録したのだが、この日は弟のロベルト選手もセーブを挙げ、プロ野球史上初の兄弟同日セーブとなった。これを記念して作られたのか、これがあったから売れたのか、スアレス兄弟タオルは一時入手困難だったとか。

石山投手の好投を受け継ぐかのような好リリーフで、スアレス兄は7回表を三者凡退に抑えた。流れを呼びこむナイスピッチングだったので「やっぱりお兄ちゃんも強かったー!」と叫びたい気分だった。


 7回裏、ここでジャイアンツが驚きの動きを見せる。ここまで被安打1と好投を続けてきたメルセデス投手を下げ、デラロサ投手に交代となる。球数は80球。後に見た映像では、とても異常があるようには見えなかった。あえて言えば四死球が4と多めではあったが、交代の理由にするほどの数字ではない。

見ていて思ったのは「ラッキー」だった。これだけ打てなかったのに、自ら下げてくれたらそう思うのはおかしくないだろう。

 試合後も降板理由についてウダウダと考えていたのだが、"お世話になっています"高木豊さんの動画によると、「首脳陣がメルセデスを信頼できなかったのではないか」とのことだった。

説明理由として挙げていたのが防御率。対スワローズの数字が5.14 「なるほどな」と思った。

以前メジャーリーガーのダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)はメジャー挑戦前に田中将大投手が日本でかました連勝記録について問われると、"勝ち星はある程度左右されるものだから、防御率を見てあげてほしい"と言っていた。イーグルスが日本一となったこの年、田中投手はイニング数も凄かったのに、確か防御率は1点台だった。

「防御率は正直」と僕がよく言うのは、このダルビッシュ投手の発言をパクっているのだ…。

「ラッキー」と感じたことはやはり間違いではなかったのか…、オスナ選手のヒットから西浦直亨選手が送りバント、二死2塁となったところで代打の神様・川端慎吾選手登場という、スワローズはこの試合初のチャンスを迎えた。

すると一度もバットを振ることなく4球でフォアボール、続く塩見選手もフォアボールで二死満塁となった。

6回を投げて四死球4つのメルセデス投手に対し、デラロサ投手は0.2回で四球2つとなってしまった。

そして高津監督曰く「美味しいところを全部持っていった」青木選手が、交代した中川投手からレフトへタイムリーヒットを放ちスワローズが逆転に成功する。「ヤ2―1巨」心の中で「ノリはすげぇ!」と叫んだ。中川投手の初球を捉える切れ味鋭い一振りだった。

 

 8回表、シーズン終盤調子を落としていたときに、スワローズが12球団初として神宮球場に設置した"ホークアイ"というカメラを駆使してフォームを修整したという"8回の男"清水昇投手がマウンドに立つ。

打者二人を打ち取りツーアウトとするも、そこからウィーラー選手がライトへヒット、大城選手が四球を選び、自身の暴投とも中村選手のパスボールとも意見が別れているがミスによりランナーを進めてしまう。二死2,3塁となり、オフに田口投手とのトレードでジャイアンツへ移った元・スワローズの廣岡大志選手にタイムリー内野安打を打たれ、また同点となる。

廣岡選手のジャイアンツ行きが決まったとき、スワローズファンの多くがショックを受けた。チーム事情から投手が早急に必要とは分かっていても、将来有望な若手だっただけに悲しかった。

それが今や、常勝ジャイアンツのスタメンとしてCSに出場している。これはなかなか感慨深いものがあった。

その廣岡選手が大事な試合の終盤で、最優秀中継ぎ投手から1点をもぎ取った。気迫あふれるヘッドスライディングにはグッときて、スワローズ時代の少し大きめのユニフォームを着た初々しい姿が頭に浮かんだ。

 

 8回裏、回をまたいだ中川投手は3番から始まるスワローズ打線を三者凡退に抑える。中川投手は本当にいい選手だと思う。中継ぎ投手に絶対に欠かせない度胸が面構えとして全面に出ている気がする。スワローズは左投手、特に左の中継ぎが不足しているので、凄く羨ましい…。

 

 今シーズンのクライマックスシリーズファイナルは、シーズン同様9回打ち切りで行われた。

9回表、マクガフ投手がマウンドに立ったとき、僕はクラブハウス前辺りにいて、球場内から聞こえる拍手やスタジアムDJのパトリック・ユウさんのカウントダウンコールを聞いていた。

野球速報も見てはいるのだが、どうしても時間差があるので、目を離しても音や拍手やパトリックさんの声で先に情報が入ってくる。

マクガフ投手は迎えた三人目、代打中田選手を三振で打ち取ると、場内からは大きな大きな拍手が聞こえた。

試合は規定によりコールドとなった。


2―2 引き分け

勝利投手 なし 敗戦投手 なし

スワローズが、6年ぶり8度目の日本シリーズ出場を決めた。


 

 今日の神宮劇場まとめ

クライマックスシリーズファイナル第3戦終了後、ジェラ クライマックスシリーズ・セ 優勝記念セレモニーが行われ、この時の様子がいろいろなところで「面白かった」と話題になっている。今はもう、皆とっくに明日から始まる日本シリーズに向かっているので収束気味ですが…、球団オフィシャルYou Tubeチャンネルにも動画があがっているのでまだの方がいましたら是非見てみてください。話題としては、もう古いかもしれませんが…、面白いので是非…。


グラウンド中央に一列に並ぶ選手たち。

球場内にアナウンスが流れる。

「続きまして 最優秀選手賞を発表致します」

列を見ると、何やら塩見選手と村上選手がワチャワチャやっている。たぶん「塩見さんじゃないですか!?」「オレかな!?」みたいなやりとりをしていたと思う。村上選手が塩見選手を前に押すような動きが見られる。

「ジェラ クライマックスシリーズ・セ 最優秀選手に輝いたのは」

さらに盛り上がる塩見選手と仲間たち。「来るぞ来るぞ!」という感じか。そして…

「東京ヤクルトスワローズ 奥川恭伸投手です!」

発表の瞬間、塩見選手と村上選手はズッコケ、青木選手と山田選手はヒザをつく。高津監督も大爆笑!

これはファンやマスコミから「神宮新喜劇」と呼ばれ大きな話題となった。

まだの人、是非見てくださいね…。


この試合、2番レフトでスタメン出場したジャイアンツの亀井善行選手は、3回表の第2打席、一死1塁からレフト前に弾き返し1,3塁としてチャンスを拡げるなど元気なプレーを見せてくれた。続く坂本選手の犠牲フライにより、亀井選手の現役最終安打は先制点へと繋がった。

坂本選手は試合前"もう亀さんと野球ができない"と涙を流していたという。スワローズファンの僕から見ても、亀井選手はとても簡単にアウト一つが計算できる雰囲気ではなかった。「まだやれるんじゃないか」と思った。それでも、退き際を決めたことにはもちろん理由があったのだろう。

3打席連続前打者が敬遠という屈辱からの亀井選手の一振り、サヨナラ逆転3ランホームランを僕は忘れることはありません。お立ち台での男泣きに思わずもらい泣きしたことも。

亀井選手、17年間お疲れ様でした。


今回、スワローズは3戦で2勝1分として勝ち抜けを決めたけど、ジャイアンツにはセ・リーグ二冠王の四番がいなかったことを忘れてはならない。

スワローズの四番、村上選手と最後の最後までホームラン王と打点王を争った岡本和真選手だ。

ホームランは39本と同数でタイトルを分け合うこととなったが、打点は遂に追いつくことができなかった。スワローズよりだいぶ早くジャイアンツはレギュラーシーズンを終えていたので、「抜けるはず」と思っていたが、思っていたよりずっと壁は高かったということだろう。

セ・リーグを代表する右と左の大砲、そして同じく四番サードとして、岡本選手は村上選手がこれからも目指す存在であると思う。若き二人が長きに渡り切磋琢磨を続け、プロ野球回を盛り上げてくれることをオジさんは楽しみにしている。


さぁ、いよいよ日本シリーズだ。相手は同じく昨シーズン最下位だったオリックス・バファローズ。

「最下位からの下剋上同士の闘い」

と言えば盛り上がるフレーズではあるが、今はもう去年の成績などどうでもいい。

どちらもリーグ制覇をして、クライマックスシリーズでは、アドバンテージを含め全く同じく3勝1分で負けることなく優勝したチャンピオンチームだ。

どちらにしても、相手として不足なしだろう。贔屓目なしに本当に良いカードになったと思う。


2013年から8年間、セ・リーグのチームは日本シリーズで勝つことができていない。

「日本一」をセ・リーグに奪還すること。それは課せられた使命だろう。スワローズは代表チームとして誇りと覚悟を持って戦ってほしい。

対 オリックス・バファローズ

どれだけ這い上がったかより、決めるのはどちらが強いかだ。頑張れ、スワローズ!



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