傍聴記録16 妊娠4ヶ月の女性 覚せい剤裁判

※プライバシーの観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

東京地裁
2016年7月13日(水) 7F xxx号法廷 11:00-12:00
奥 百香(おく ももか)
平成xx年(わ)第xxxx号 覚せい剤取締法違反 審理
裁判官:矢口雅子 書記官:伊藤 玄


裁判官「では開廷します。被告人は証言台に出てください。名前はなんと言いますか?」
被告人「奥 百香です。」
裁判官「生年月日はいつですか?」
被告人「平成2年11月27日です。」
裁判官「本籍はどこですか?」
被告人「埼玉県蕨市東町6-2。」
裁判官「住居はどこですか?」
被告人「東京都北区昭和町4-12-2 山見ハウス105」
裁判官「職業はありますか?」
被告人「ないです。」

裁判官「ではこれから奥さんに対する、覚せい剤取締法違反被告事件の審理をおこないます。」
被告人「はい。」
裁判官「まず検察官が起訴状を朗読します。そこに座っていてください。検察官お願いします。」

検察官「公訴事実。被告人は法廷の除外事由がないのに平成28年3月上旬頃から、同月15日までの間、東京都内または、その周辺において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩類を若干量を自己の体内に摂取し、もって覚せい剤を使用したものである。罪名および罰条、覚せい剤取締法違反、同法第41条の3第1項1号19条。以上です。」

裁判官「いま検察官が読みあげた事実について、これから審理をおこないます。その前に黙秘権について説明しておきます。被告人には黙秘権という権利があります。したがって答えたくない質問については答えを拒むことができますし、最初から終わりまでずっと黙っていることもできます。もちろん答えることもできますが、被告人がこの法廷で述べたことは、被告人にとって有利、不利を問わないで、証拠となることがありますので、答える場合は、その点を注意するようにしてください。」
被告人「はい。」

裁判官「それを前提にさっそく質問します。いま検察官が読んだ事実の中に、どこか間違っているところはありますか?」
被告人「ありません。」
裁判官「はい。弁護人のご意見をお願いします。」
弁護人「被告人と同意見です。」
裁判官「では証拠調べに入ります。もとの席に戻って座ってください。」
裁判官「それでは証拠調べに入ります。検察側の立証からおこないます。検察官お願いします。」

検察官「はい。検察官が証拠によって証明しようとする事実は次のとおりです。第1に被告人の身上経歴等です。被告人は埼玉県で出生し、中学卒業後、職を転々としながら犯行当時は無職で生活保護を受給しており、住居地にて単身で居住していました。被告人には前歴3件、うち同種前歴が1件。と前科2犯。平成23年6月8日言渡し、東京地方裁判所、大麻取締法違反で懲役6ヶ月、3年間の執行猶予。これについては、平成24年1月16日に執行猶予が取り消されており、平成24年10月3日に、刑の執行を終了しています。次に平成24年12月12日言渡し、東京地方裁判所、覚せい剤取締法違反で懲役1年4ヶ月、平成26年4月3日に刑の執行を終了しています。第2に犯行状況等ですが、被告人は、交際相手であった、肱岡(ひじおか)恒明とともに、覚せい剤を使用していました。犯行状況は公訴事実記載のとおりであります。第3として、その他情状等。以上の事実を立証するため、証拠等、関係カード記載の各証拠を請求します。以上です。」

裁判官「はい。では検察官の証拠請求に対する弁護人のご意見をお伺いします。」
弁護人「いずれも同意いたします。」
裁判官「はい。どの部分ですか?」
弁護人「裁判官「では証拠については同意がありましたので全て採用して取り調べます。では検察官、要旨の告知をお願いします。」

検察官「はい。まず甲号証です。甲1号証それから甲2号証は任意提出書、領述調書になります。被告人は尿を任意提出したこと、警察官が領置したことが確定されております。甲3号証は甲4号証は鑑定嘱託書および鑑定書になります。甲1、甲2で領置した、被告人の尿を鑑定した結果、覚せい剤成分が検出されたことを明らかにしております。甲5号証は報告書になります。体内に残存する、覚せい剤の残存期間などが特定されています。甲6号証は、被告人の交際相手の肱岡さんの供述調書になります。本件の犯行状況等について述べられております。
次に乙号証です。乙1号証については被告人の身上経歴についての供述調書になります。冒頭陳述記載のとおりの身上関係が述べられています。乙2号証は被告人の戸籍。乙3号証から乙6号証については、被告人の前科前歴に関する各書証になります。冒頭陳述に記載のとおりの前科前歴が特定されております。以上です。」

裁判官「では引き続き弁護側の立証へ移ります。証拠請求をお願いします。」
弁護人「書証が2通あります。」
裁判官「では書証2通に対する検察官のご意見伺います。」
検察官「はい。同意いたします。」
裁判官「では採用して取り調べますので要旨の告知をお願いします。」

弁護人「弁1号証ですが、被告人の障害者手帳の添付です。弁2号証ですが、医療法人中本会、相葉クリニックのホームページから抜粋したもので、双極性障害や様々な症状を合併しているという内容になっております。」

裁判官「はい。では被告人質問をおこないます。」
裁判官「これから被告人質問をおこないます。被告人は証言台に出て、椅子に座ってください。では弁護人お願いします。」
裁判官「妊娠していらっしゃるの?」

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