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【教訓】ロックダウンすると人間はどうなる?

 私が一番心配しているのは、「メンタルの疲弊」です。その疲弊が及ぼす人間の変化を、私自身が災害現場で実体験したリアルをもとにお伝えしたいと思います。

 4月7日午後7時に安倍首相が発表した「緊急事態宣言」。対象地域は、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県。期間は5月6日までの1ヶ月間。私たちは次のような症状に襲われる可能性が高まることを認識して生活してください。そしてその対策を意識的に行い、乗り越える。共に乗り越える。そのために微力ですが私も動きます。

【症状】

▶︎初期・・・「脱力感」→「イライラ」→『暴力化』

▶︎中期・・・「諦念」→「過食」→「飲酒」→『不健康化』

▶︎後期・・・「神経質」→「睡眠不足」→『慢性的なストレス化』

【詳細】

初期(4/7〜4/21)

 突然、社会活動が停止する。これは日常が非日常になるということです。例えば、これまで仕事をバリバリやっていた人からすると、仕事がなくなるので、メンタルがハイからローに変化します。逆にこれまで嫌々仕事をしていた人からすると、仕事に行かなくてもいい状況なので嬉しくてメンタルがローからハイに変化します。その変化が最初の2週間くらいは脳が上手に舵を切って現実に順応させるのですが、3週間目くらいに入ると、徐々に脳が疲れてその舵を切れなくなってきます。そうすると、ものすごい疲れた感覚に襲われます。それが初期段階の脱力感です。脱力感はやる気をどんどん削ぎます。この段階から少しずつネガティブな感情が増してきます。その影響が今度はイライラの感情を増すという連鎖を起こします。そして結果的に、周囲の人々に対してあたりが強くなったり、暴力的になったりする可能性が高まるのです。今日4月7日のニュースでも国連が警鐘を鳴らしていました。世界的にDVが急増しており、女性への家庭内暴力が増えているそうです。先にロックダウンしたフランスでは1週間で家庭内暴力の件数が3割以上も増えたという報告があります。

中期(4/21〜4/30)

 疲弊は一気に進みます。このときワクチンの見通しが明るいか暗いかにもよると思いますが、仮に終息が見えない状況ならば、私たちは「巨大な諦めの感情に包まれる」ことでしょう。私は、2008年岩手・宮城内陸地震に出動したときにこの体験をしました。必死に捜索しても発見されない状況が2週間続くと「もう見つからないのではないか活動が無駄なのではないか」という諦めのメンタルに襲われました。今回であれば、ロックダウンをして自粛をしているのに状況が改善されない場合、私たちは未来をポジティブに思考することが困難になってくるでしょう。自粛という非日常が、どんどん私たちの思考を変え、さらには行動を変えます。家にいる時間が増えるため仕事という拘束がない分、行動が堕落します。「食べる・飲む」という行為が増え、それがお菓子やアルコールいった中毒性のある旨味に人間は引き寄せられるのです。また同時に、外に出ることが制限されるので買い物が億劫になり、生鮮食品の摂取が不足するでしょう。肉や魚、野菜や乳製品などの栄養を気づかないうちに摂らないという生活が想定されます。結果、不健康になり、その影響は生活習慣病などの原因に発展し、将来の健康にも悪影響を与える可能性が高まります。

後期(5/1〜)

 この頃、終息の兆しがあろうが無かろうが、私たちは周囲の人間との接触に確実に敏感になっているでしょう。また、人間だけでなく動物にも感染のリスクがあるウイルスなので、動物の死の報道が増えてきたりするとさらに私たちは神経質になります。そして、現金、公共の施設、中古品など、自宅以外のすべてのモノに対しても神経質になり、そのストレスが知らず知らずうちに生活の乱れを生じ、熟睡できないという現象を引き起こします。2008年の経験でも、発見できない状況が1ヶ月以上続くと、夢の中で「要救助者を発見する」という夢を毎日みて睡眠が十分に取れないという体験をしました。睡眠不足が続くと疲弊が増します。イライラ、暴飲暴食、睡眠不足の負のループが繰り返されます。こうなると、非現実になった日常が負の日常となり、私たちのメンタルはトテツモナク疲弊していくのです。

【対策】

▶︎では、それをどう乗り越えるか‼️

 意識的に「運動→栄養→休養→運動・・・」の生のループを現実に落とし込むことです。運動は現代の技術を生かしましょう。YouTubeやInstagramなどの動画でたくさんのエクササイズを見つけることができます。自分好みの発信者を見つけて動きましょう。栄養はバランス良く「まごわやさしい」を考慮した食事を心がけましょう。タンパク質の摂取は補助的にプロテインを活用すると良いでしょう。休養は運動と栄養が正しく繰り返されることでストレスが減り十分に取れるようになります。春夏は1時間早く寝て、秋冬は1時間遅く起き、7時間程度の睡眠を確保しましょう。

 私たち人類は必ずこの危機を乗り越えることができます。そのためにも過去の災害の教訓という価値をシェアし、同じ「負」を繰り返さないことです。私のような小さな人間でも、いつか、どこか、誰かを救えるかもしれない。

 そう信じて、発信*

【おまけ】

 写真は、2008年「岩手・宮城内陸地震」の捜索活動現場の様子。私は1ヶ月間ほぼ毎日現場の捜索箇所を指示。ところが2名が発見されないまま捜索が打ち切り。冬を越した翌年、捜索が再開し人力では掘り下げられない深さのところで2名発見。その瞬間まるで無重力空間に放り出されたように全ストレスが吹き飛んだ。そして、毎日みたあの発見の夢は、その後一度も見ることはなかったのだった。

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