ニガテナモノ

苦手な食べ物の代名詞といえばピーマンだが、どうしてもピーマンが食べられないんですという知り合いに覚えがない。私も嫌いではない。
私の周りの人は(私を含め)みんな元々ピーマンを苦にしないタイプなのか、嫌いなピーマンに出会う機会がそもそも少ないのか上手くそれを避けているのか。あるいは、克服したのか。

というわけで苦手なものを克服した話です。

海外ミステリーが苦手だ。
原因ははっきりしていて、カタカナの名前を覚えることがとにかく不得意だから。高1の定期テストで世界史28点を叩き出した実績から、どれほど不得意かが伝われば嬉しい。

コナン・ドイルやアガサ・クリスティなど、いわゆるミステリーの定番には昔から興味、憧れがあり何度となく手に取ってみたのだが、ホームズシリーズはワトソン、モリアーティ、レストレード警部あたり以外のゲストキャラが増え出すと追えなくなるし、「そして誰もいなくなった」は一体今誰がいなくなって誰が残ってるのか分からなくなる有様で、お話にならなかった。

この苦手を克服するべく、というわけではなくシンプルに前から気になっていたため頑張って読もうと決意したのがこの本。

高校生のピップは自由研究で、自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺して、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に関係者にインタビューする。だが、身近な人物が容疑者に浮かんできて……。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、傑作謎解きミステリ!

自由研究には向かない殺人 背表紙のあらすじ

タイトルのセンスが○。表紙の絵も綺麗。確か本屋大賞だかこのミスだかのお墨付き。しかし買ったのはだいぶ前で、いわゆる積読になってしまっていた。

ピーマンを食べられない子を持つ親が、小さく切ってみたり肉を詰めてみたりするように、苦手を克服するには工夫が必要。というわけでこの度は工夫として、人物相関図を書いちゃう戦法を採用してみた。

人物相関図(自作)

(なおこの図はプロローグの前に載っているキャラクター紹介をまとめただけなので一切ネタバレはないです)

こいつ誰?ってのが出てきたら相関図から探し、何か情報が増えたら書き足し、という感じで読み進めたら、何とか読破できた。忙しかったのもあって時間かかったけど。

読み進めていくうちに段々相関図を見ることも減っていった。なぜかと考えると、頭の中で勝手にキャラのビジュアルを浮かべることができれば勝ちということが分かってきた。最初のうちはなかなか名前と勝手に作ったビジュアルが結び付かず相関図に手が伸びるが、何度も会う人のことは気付けば勝手に覚えるのと同じように、読み進めていくうちに平気になってくる。

そんなわけで苦手を克服し読破できたが、新たな課題も。
この本のある登場人物、勝手にビジュアルを白人で想像していたんだけど実はナイジェリア人という設定だった、というのを読了後解説を読んでいて気付いた。本文中にもちゃんと書いてあり、しっかり読んでるはずだが忘れていたらしい。設定はちゃんと読んで覚えとかないと、というのもそうだが、何より「肌の色」という要素を頭にいれなければならないのもまた、海外文学独特といえるだろう。次から気を付けよう。

本の内容に少しだけ触れておくと、なかなか良かった。
実は読み始める前には、海外文学であること以外にもう1つ、苦手かもと思える要素があった。それは先ほど引用したあらすじにもあった「ひたむきな主人公」というワード。
「ひたむき」という言葉を免罪符に理屈に合わない行動を取る主人公に共感できず冷めてしまうというのは私のあるあるで、そんな主人公によって無理矢理転がっていく物語というのはどうも苦手だからだ。しかし、この作品の主人公は確かにひたむきだがそれなりに理屈は通ってるし、ちゃんと葛藤はあるしで割と文句はなかった。適度にジョークも挟まるしで読みやすくもあった。たぶん翻訳の文章も肌に合っていた。

この調子で海外ミステリーをどんどん読みたいところなのだが、そうはさせてくれない多忙な現実。直近のTo doは某社のインターン選考、面接である。

面接。これまた苦手なもの(得意な人の方が稀な気もするが…)。しかも海外文学の場合とは違い、克服の見通しは今のところ皆無。
ピーマンの肉詰めよろしく面接の肉詰め的なもの、なんかないかな。

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