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夢にまで見たライブ

先日、中学生の頃から曲が好きで聞いていたバンドのライブに行くことができました。
ご時世的にライブは音楽に興味が無い人にとってはあまり歓迎されないイベントですが、数少ないこの世に存在していて良かったと思える瞬間を提供してくれるので私にとっては無くてはならない存在です。

そもそも私にとって音楽は生き残るための手段でした、かなり大げさに聞こえますが今も昔もそれほどまでに大きな存在です。

以前の記事(※上記のリンク参照)にも少し書きましたが我が家には”モラおじ”こと自分の気分1つで嫌味等を他人にぶつける厄介な人物が暮らしています。モラおじの気まぐれでその場を凍り付かせ、他人の人格をいとも簡単に否定する様はまさに地雷。そして極めつけにモラおじは声が大きく、クチャラーでゲップも平然と本域でかますタイプ(しかも通常では考えられないレベルの規模)。大きい音やASMRが苦手な私にとってこの聴覚攻撃はかなりキツイものがあります。さらにモラおじは人の話は聞かないけれども自分の話は人に聞かせたいようで、大きな声で自分の話を母に聞かせるのでかなり煩く、内容も聞くに耐えないものが多いのです。(大抵が他人に関する邪推やツッコミどころが多すぎる自分語りなど)そしてさらに残念なことに我が家には自室という名の安全シェルターは存在していませんでした。

そんなときに救いの手を差し伸べてくれたのが音楽とラジオでした。イヤホンをつけるだけで我が家の中に溢れる不快な雑音を聞かなくてよくなるし、むしろ音楽やラジオを聞くことで楽しい気持ちにしてくれるのです。スマホを買い与えてもらった頃から自宅でイヤホンを装着することが常になりました、お陰で自室が無い家で宿題や作業をする時の効率が上がりました。
ただでさえ多感な時期に心から休まることのない家で暮らしていた私は自分の感情を保つために音楽に頼りました。音楽は私の中にある鬱屈とした気持ちや歪んだ考え方、それでもなんとかやっていくという気持ちを代弁してくれたり、行き場のない怒りに寄り添ってくれました。
そしてラジオは作業系の宿題をするときや、夜中の静まり返った空間を明るくしてくれる大切なお供でした。得に熱心に勉強していた受験期には好きだった読書やアニメを完全に絶っていたのでラジオが唯一の娯楽でした。



ここまで音楽について力説したところで、せっかくなので私の好きなアーティストさんをご紹介したいと思います。
まず最初に好きになったのは、ゲスの極み乙女。さん、SEKAI NO OWARIさんです。両方とも中学生の頃に友達から教えてもらって知ったのですが、それ以来ずっと曲を聞き続けています。
そして大学生になってからは欅坂46さんにドはまりしました。私は過去を振り返って後悔しないほうですが、欅坂を初めて聞いた時ばかりはもっと早くに知りたかったと本気で思いました。ちなみに欅坂46は一昨年「櫻坂46」に改名しており、改名後も推し続けています。あとは星野源さんの曲も好きです。具体的にいつだったかは覚えていませんが、見ていたドラマの主題歌を星野源さんが歌っていて、その曲がとても好きでした。


大勢の人が集まる場所に出向くのは苦手なほうですし、私の性質上ワイワイ楽しめるタイプでも無いので、ライブというものに参加する事に多少の抵抗感を覚えていました。しかし自宅のインターネット環境が整い、自分で自由にできるお金を多少なりとも持つようになったことで、ライブに参加するようになりました。

人生で初めて自発的にチケットを申し込んで参加したライブは、高校3年生の春、当時ものすごく推していた声優さんのライブでした。アーティスト活動もしている方で、その頃に発売したシングルの記念ライブでした。今までラジオやアニメで声を聞いたり、映像媒体でご本人の姿を見ていましたが実物をこの目で拝みたいという一心でCDについていた応募券で応募しました。当落発表の日は塾で自習をしているときに休憩がてらスマホを見ると当選メールが届いていて、個室のブースでガッツポーズをしたことを鮮明に覚えています。この喜びを誰かに伝えたいと思いつつ通っていた塾に友達はいなかったので、抱えきれない興奮を一人ではどうにもできずとりあえず母にメールしました。

ライブ当日は土曜日で私が通っていた学校は土曜日も午前授業があったので、授業が終わり次第速攻で家に帰り、ダッシュで着替えて会場に向かいました。当時はお小遣いも少ししかなかったのでグッズも買う事はできず少し残念な思いをしましたが、受験前の思い出ということでライブ自体をとにかく楽しむことに集中しました。
ドキドキしながら自分の席につくと隣の席で自分と年齢の近そうな女の子が慣れた手つきでサイリウムの電池を交換をし、一本済んだと思ったら足元の鞄からもう一本サイリウムが出てきて、最終的には彼女の膝の上には三本のペンライトが鎮座する様子を見て、勝手にライブの玄人だ!!!!と衝撃を受けました。
開演までは舞台のセットやホールの内装を隅々まで見つつ、どんどん埋まっていく座席を眺めながらこの人達全員が私と同じ推しを応援してる人なんだと謎の仲間意識を感じていました。(友達に声優ファンはいましたが推しが被ることは無かったので、そこから既に軽く感動していました。)
いざ開演時間が迫ってくると隣の席の女の子が話しかけてくれて、お互いの年齢やどのあたりから来たのか、私はライブ今回が初めてなんですといった話をしました。詳細は覚えていませんがその子が最後に「ライブお互い楽しみましょうね。」と言った後、会場の照明が落ちステージにスポットライトが当たりました。
いざ推しご本人が登場すると会場のボルテージが一気に跳ね上がり、会場全体から湧き上がる歓声が一層ライブが始まったという感覚を昂らせていきました。登場した勢いのまま推しは新曲を歌いだしました、座席はそこまで前の方では無いですが会場そのものが比較的小さかったので十分に推しを肉眼で見ることができました。推しの歌っている様子を見ても状況を理解するのに精一杯で、そうこうしているうちに曲が終わりMCが始まりました。話し出すと途端にアーティストの顔から一変して、ラジオや映像で見ていたいつもの推しになってやっと「推し、この世に実在してたんだ。」という感情が沸き上がってきました。
これまで発表されていた曲を披露したり、MCコーナーがあったり、本業の朗読のコーナーがあったり、最後にはアンコールもあり(アンコールという文化自体もこのとき初めて知りました)あっという間に夢のような時間は過ぎていきました。基本的にテンションが低めな自分でも会場に集まって音楽を楽しんだり、推しをこの目で拝んだりできるライブは家で一人で曲を楽しむのとは一味違った雰囲気を体感することが出来るということを知りました。そしてライブは会場に向かうときから既にワクワクするもので、帰りは余韻に浸りながら歩いたり電車に揺られるのも楽しみの1つです。

話はかなり逸れましたが、冒頭で言っていたこの前参加したライブはSEKAI NO OWARIさんのライブでした。今回のライブはオーケストラの生演奏もあったので、より音楽を立体的に感じることが出来ました。ライブ会場では体中で音圧を感じることが出来るのも醍醐味です。

これまで聞いていた曲を生み出した人達が目の前でその曲を演奏してくれる様子は、どこか現実味がなくて夢を見ているような不思議な感覚でした。座席はかなり遠かったですがお客さんの腕についているリストバンド型のライトの光が演出にあわせて遠隔操作されていて、光が七色になったり点滅したりする様子も見ることが出来てとても綺麗でした。

特にセカオワで1番好きな曲の「スターライトパレード」のイントロが流れたときは、なぜか涙が出そうになり自分でも驚きました。曲中にある「眠れない僕達はいつも夢の中」という歌詞を聞いて、夜眠れなくて漠然とした恐怖や焦りを感じている時にこの曲を聞くと、瞼の裏側に星空が浮かんできて本当に夜空の中に自分がいるような気持ちになったことを思い出しました。それまでは怖かった暗闇が一瞬で怖くなくなって、楽しいパレードの始まりのようなこの曲が中学生のときから好きでした。

今回ライブに参加する事で自分にとっての音楽って何だろうという事について考えてみました。記事中に出てきたアーティストさんのそれぞれの思い入れの強い曲についても詳細に語ってみたいのですが、今回は人生初ライブの回想が思っていたより長くなったので、それはまた別の機会にしようと思います。