台風の話。

(!注意!:台風19号について書いた記事です。)

ーーーーーー

台風が過ぎ去って考えたこと

この連休は、台風19号のおかげでかなり気を揉んだ。幸い我が家には何も被害がなかったけど、同じエリアで浸水や土砂崩れなど被害が少なからず出ていて、本当に自分のすぐ近くまで危険が迫った災害だった。色々と教訓になったので、書き記しておきたい。

私の実家のある地域は今回の台風で警戒レベル5相当、つまり災害がいつ起きてもおかしくない状況に半日以上置かれていた。レベル4の避難指示もとっくに通り過ぎたラインだったけれど、結果的に最後まで家族全員家で待機し続けた。こんなことを言うと、レベル4になった時点でさっさと逃げろよ、とお叱りを受けるかもしれないけど、避難することができなかったのは情報不足によるものが大きかったと思う。

自分の置かれている状況を知る術がない

私の実家がある地域はいくつもの市町村が合併してできたかなり面積の大きい市だ。朝の段階で市全体に避難指示が出たものの、市内のどのエリアが危険で、どこに逃げるべきなのか、市や気象庁から出る情報はカバーする範囲が広すぎて全くわからなかった。
避難するにしても、四方を山と川に囲まれた地域では移動にもリスクが伴う。避難所へ向かうには川を渡らなければいけないし、地盤が不安定な道も通らなければならない。
テレビのニュースでは私たちの街に降る雨量が危険なレベルに達していることが繰り返し放送されていたけれど、危機感を煽られるだけで、安全に避難するために必要な情報は得ることができなかった。

SNSでの情報収集の難しさ

そんなぼんやりとした危機感の中で、何を頼りにしたかというとやはりSNSである。Twitterで地名検索をして、地元の人のツイートを探し続けた。
浸水をし始めてしまったエリアの情報や、川の水位などTwitterを通じて少しずつ他のエリアの情報把握することができた。

ただ、ここにも難点があった。このエリアに警報が出たことが全国ニュースで放送されていたため、他の地域に住む人の心配ツイートばかりが検索に引っかかってしまった。「◯◯地方、雨やばそう。」「◯◯の方大丈夫かな…」など。心配する気持ちはとてもわかるけどこれは正直情報収集にかなり邪魔だった。
大丈夫じゃないから警報が出ているのである。私もこれに関しては、当事者でなければやってしまう可能性があるので、今後気をつけたい行動の一つだ。(もちろん必要な情報しか呟いちゃいけない場所ではないのはわかっているけれど。)

それから、当たり前のことだけど、よっぽどのツイ廃でない限り危機的状況に晒されている真っ只中に基本的に人は呟かない。地震や台風など災害の種類によっても違うだろうけど、リアルタイムな災害の進行状況をSNSで把握するのは難しいと感じた。

災害時のコミュニティラジオは強い

最終的に、一番情報収集に役立ったのは、コミュニティラジオだった。
本当に幸いだったのだけど、地域のコミュニティFMがつい今月開局したばかりで、放送をスタートしていた。Twitterでラジオ局の情報を知り、すぐにアプリをダウンロードして聞き始めた。
このコミュニティラジオが、行政の発表する情報やリスナーから集まる地域の詳細な情報のハブになってくれた。土砂崩れにより道が寸断されているエリアのことや、被害が大きく危機が迫っているエリアなど、具体的な地区名や目印となるお店の名前を挙げながら、情報を発信してくれた。
このラジオが地域の人にとって一番必要な情報を届けてくれたと思う。
ただし、これも幸いラジオ局のあるエリアが市内では比較的安全な地域にあり、電波が寸断されることなく放送が続けられる状況にあったからこそだったと思う。例えばこれが地震だったらこれ程機能しなかったかもしれない。

教訓

今回、市内でも避難した人が少なからずいた中で、何事もなく自宅で過ごせたことは本当に幸いだったけれど、私たち家族はあえて避難しなかったのではなく、避難するタイミングを逃した、のだと思う。
「心配しすぎて損した」「前回大丈夫だったし」と今回の偶然に味をしめて、次の判断を間違えてはいけない。誰もが初めて直面する危機的状況において、ちゃんと状況を判断して避難した人たちの行動が正しいのだ。

一方で、もし本当に市内の全世帯が案内されていた避難所に避難していたとして、避難してきた人が全員ちゃんとその場所に収まりきっていたのだろうかとも思う。今回都内でも避難したにも関わらず定員オーバーで避難所に入ることができなかったという話も聞いた。せっかく避難してきた場所でより不安な状況に置かれてしまうこともあるわけだ。

災害時は行政も消防署も警察も皆被災者であり、限られた状況の中でどう動くことが最善か、そしてどう備えるべきか、こればかりは自分たちで考えるしかない。今までどこか災害に対して他人事だったことを反省して、ちゃんと考えなければと思わせてくれた経験だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?