おはよう、世界。

目覚ましが鳴っている。
もう起きなきゃいけない時間らしい。

目を開ける、天井を見る、目覚ましを止める。
ここでようやく、布団が温かいことを認識する。
昨日から続く温もりは僕だけの居場所だ。

出なきゃ、出たくない、もう少し包まれていたい。
朝のこの瞬間は人生の縮図だ。
僕は選択を迫られる。
義務と快楽の淵で葛藤する。

「休んでしまおう」そう決意した途端、急に瞼が重くなる。
居心地のいい僕の場所へ戻ろうとする。

止めたはずの目覚ましが鳴った。



目を開ける、目覚ましをみやる、鼓動が速くなる。
どうやらスヌーズにしていたみたいだ。
昨夜の僕は今朝の僕を甘やかす気はないらしい。

スヌーズを止める、ため息をつく、うんと伸びをする、布団から足を出してゆっくりと体を起こす。

おはよう、世界。
さようなら、僕だけの温もり、僕の居場所。

賽は投げられた。
もう起きなきゃいけない時間らしい。


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