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高校生の皆さんへー偏差値について

 数学の苦手な私が、偏差値を語るのも変な話ですが、数学で偏差値を習っておいて良かった!と思っています。計算の仕方はすっかり忘れましたが、偏差値とは何かは分かります。

 偏差値は、ある集団で中央値を50として、そこからどれだけ離れているかを示したものです。
 高校や大学の偏差値がよく出ていますが、母集団によって同じ人でも異なるので、決して固定的なものではありません。
 生徒さんや一般の方と話していると、何かその辺に誤解があるような気がしてなりません。
 だって、高校で中学の時の偏差値を自慢する人がいたりするんですから。

思い出その1
 定時制にいた時、ある生徒が聞いてきました。「うちの定時(あまりいい響きではないのですが、全日制を全日と呼ぶのに対しての呼称)が偏差値のランキングで"測定不能"ってある、って言われたんだけど、それってアホって言う意味なん?」
 私は答えました。「そういう意味じゃないよ」
 生徒:「じゃあ、どういう意味なん?『測定不能や』って、全日の奴にバカにされたんだけど。」
 私:「……五木の模試(大阪で高校の合否判定を予測するメジャーな模試)を受けたことある?」
 生徒:「そんなん、受けたことあるわけないやん」
 生徒がこういうのも、もっともなことで、今は定時制でも現役生が多いのですが、その当時の入学時の平均年齢は17歳で、一度社会に出てから、必要に迫られて、夜学である定時制高校を受験していたのです。
 私「だから、そういうことやん。誰も模試なんか受けてないんだから、その模試でどの位置にいるかなんて、出るわけないやん。だから、測定不能、測定できない、という意味なの。」
 生徒は、まだ何か不満そうでしたが、一応分かったようでした。

思い出その2
 「オレは中学の時、偏差値62やってん。だから大学は○○大学(たまたま壁に貼ってあった駿台模試ランキングの偏差値62にあった大学)を受けようかな〜」
 私「夢を壊すようで悪いけれど、それ駿台模試の国公立の偏差値だから。私立の偏差値は、同じ人でも数値が違うし、しかも中学の時の偏差値って五木の模試のでしょう?駿台模試を受けてから言ってね?」
 この話は、平成10年頃の話で、中学から高校受験のために五木の模試を受ける層と、高校から国公立や私立大学を受ける層とは、当時は全然違いました。
 というのは、当時は高校から就職する人が5〜6割ぐらいいたからです。(現在は就職は高卒の約一割ですが、代わりに専門学校に進学する人が増えました。)
 しかも、高校から大学進学する人は、当時は全員模試を受けるわけではなかったので、上位3、4割の中で金銭的に余裕のある受験生の中での偏差値62ということになります。

思い出その3
 共通一次の第二回と第三回を受けたのですが、浪人中に全国模試を受けたら、その当時は、その同じ模擬試験の5教科7科目で国公立を判定し、うち3教科選択で私立を判定されていました。しかし、同じ人の同じ試験でも、国公立と私立で偏差値は全然違いました。

 国公立大学の方が偏差値は低く出ました。

 何故なら、受験者層や人数が違ったからです。
 国公立を受けるには、当時は、5教科7科目の一次試験と1〜3科目程度の二次試験を受験しなければなりませんでした。
 その頃は国公立の推薦入試がなく、共通一次だけでも国語・数学・英語・理科2科目・社会2科目の負担が重くて、受験者は一部の上位者に限られたのです。
 もちろんトップ校では、ほぼ全員共通一次を受けたでしょうが、二番手からボリュームゾーンの中間校は、私立を受験するほうが断然多いのです。
 したがって受験者数では、国公立は私立に敵いませんでしたので、私立受験者の上から下までのレベルの大人数の中で、合格者の偏差値は当然高くなります。
 これに対して、国公立志願者は、私立の有名大学をすべり止めにして国公立を受験するのですが、そもそも国公立を受ける人数が私立ほどいないので、国公立受験の中での、合格者偏差値はずっと低くなります。
 今では、受験科目が複雑化して、分かりにくくなっていますが、結局のところ、受験者層が違うということは、それぞれの層の中間の偏差値50を取る人の学力レベルもそれぞれ違う、と言えます。
 つまり、母集団が違えば、偏差値は意味をなさないのです。

 ん?わからない?
 図を描いてみて下さい。縦長の小さな楕円と縦長の大きな楕円とを並べて、大きな楕円を少し下に下げます。それぞれの真ん中が偏差値50です。いかがですか?
 

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