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#13 イブの夜、夜行バスにて

2021/12/25 02:36

Vilnusを出たのが22時半で、今Rigaに停車中。これからまたもう4時間かけてTallinnに向かうので、もう少し眠る時間がある。今までどんな格好で寝ていたのかよくわからないのだけど、バスの中で寝るってどうしてこうも難しいのだろう。人間は「座る」姿勢で気持ちよく眠ることはできないように骨が組み合わさっているのだと思う。こんなにきちんと眠らなかったイブの夜ははじめてだ。まるでサンタさんから逃げ隠れているようだ、そんなつもりはないサンタウェルカムなのだけど。我が家のサンタさんは、今年のプレゼントは私の欲しい本を私のKindleを通して購入してくれるそうだ。サンタさん、ハイテク。イブの夜にバルト三国を横断する夜行バスの中で身体が痛くて眠れなくなっている子供にもプレゼントが届くなんて、良い時代だ。こんなにぶっ飛んだクリスマス旅行に付き合ってくれる友人にも感謝している。

Vilnusのクリスマスイブは静かだった。いや、日本のクリスマスが騒々しいだけかもしれない。クリスマスマーケットを期待して行ったのだけど、コロナのせいか、イブだからか、マーケットの規模はとても小規模だった。残念、それだけではなく、リトアニア料理のお店もあらかた18時には閉店!ショッピングモールなどもみんなピシャリと扉を閉めて、従業員の方たちはきっと家族の待つ家へと急ぎ足で帰っていった。すっかり行き場を失った私たちがたどり着いたのは、他でもないKFC。クリスマスにKFCでチキンを食べるという世界中から笑いのネタにされてるこの日本の風習に、リトアニアに来ても従っている自分たちがもはや面白くなった。ただ、イブの日はマックもヘスバーガーも終日閉店なのにKFCだけ開いており、結構なお客さんが出入りしているという事実を眺める限り、そんなに馬鹿にしなくてもみんな食べるっちゃ食べるんじゃん、と文句を言いたくなった。が、友人のインスタを通して日本人がKFCでチキンを買うのに入場制限をかけられている様子を見て、「確かに笑えちゃうかも」と思った。

03:02、バスはまた走り出した。イブの夜に、バルト三国を横断する深夜バスを運転する運転手さん。今何を考えて、どんな気持ちでいるのだろう。運転手さんの視界には、暗い夜道に積もった雪が、バスのライトに照らされて不気味に赤く光っている。森に囲まれた一本道をずっと真っ直ぐ走りながら、私なら何を考えるだろうか。そんなことを考えているうちに、気付けば眠っていた。

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