初カレと初カノ⑤

初カレと初カノ

プールから帰って、家族とご飯を食べたりお風呂に入ったりして、学校の準備でもしようかな?と思っていると、スマホがポンっ!と音をたてた。

メール?誰だろ。

表示を見てドキっとした。真那斗だ。
恐る恐る開いてみる。

「こんばんは!」
「オレで良ければいいよ」
「付き合うの?」
「違った!」
「付き合う!」

えっ?!
パニックになる私、なんか付き合うって書いてある。えっ!とりあえず返信打たないと。

慌てて、スマホを握りしめる。

「!!」

あ〜もぅなんて打ったらいいのか。
ちょっと考えていると、真那斗から追加で

「ただ」

とだけ返信がきた。

「ただ何?」

聞いてみる。

「お約束して欲しいことが2つある」

な、何だろ。
ドキドキしながら返信してみる。

「うん、何?」
「約束って···?」

真那斗からの返信を待っている間、ドキドキしっぱなしだった。
お母さんとかに顔見られていないかな??
ちょっと隠れながら、メールのやり取りをしてみる。

「1.俺だけを見ること
  他の人といちゃいちゃしてはダメ!」

キャー!!
しないよ、する訳ないよ〜!
真那斗、言うことカッコイイ!!

なんて、心で大騒ぎしながら返信を打つ。

「!!はい。」
「それは守れます!」
「約束できます。」
「2つ目は?」

真那斗からの返信を待つ私。ほんの僅かな時間なのに、長く感じる。

「2.何か、考え事ができたり、悩んだりしたときは、まずは俺に相談すること!一人で先走って、答えを出して、みたいなのはイヤだ!俺は結構へこんだよ。」

あ〜、コレ告白した翌日に無かったことにしてもらった話を言ってるよね。
そうだよね、傷つけたよね。

「ごめんなさい。」
「これからはちゃんと相談します。」

「俺もその約束守るから、心も守って欲しい。」
「どう?」

何だろうこの安心感。ちゃんと私の事を考えて、そして私の事をよく知ってる(笑)。

「分かった。ちゃんと、その2つの約束守ります。」

「じゃあ、この2つの約束は2人の約束でいい?」

「そうだね。じゃ、楽しく付き合おう!俺は心のこと信じている!」
「好きだよ!」

キャー!好きだよって!好きって書いてくれてる✨
どうしよう、私の顔ニヤけていないかな?

親に見られないように、返信を打つ。

「ありがとう!私も真那斗の事、好きです。お付き合い、よろしくお願いします!」

すると、真那斗からまた返信がきた。

「俺プールも本気で頑張っているから、プールの仲間やコーチ達には、絶対内緒にしたいんだけど。
これから先も、いいことも、悪いこともあると思うんだけれど、特に悪い時は、それを彼女のせいとかにされたりするのは嫌なんだ!意味分かる?」

うん、分かるよ。私だって、本気でプール頑張ってる仲間の1人だもん。

「だいたい分かる。ただ、ごめん。美久にだけは言わせて欲しい。ずっと真那斗のことが好きって気がついてから相談していて。彼女の口は堅いから。相談していたのに、報告しないのは失礼だと思う。彼女だけ、お願いします。駄目かな?」

仲良しの美久にだけは、相談してきた。
自分の気持ちに気がついて、前に告白されたこと、今回のこと。報告しない訳にいかない。

しばらく考えてくれていたのか、少したってから返信がきた。

「分かった。じゃ美久だけ。他は駄目だよ。プールでは今まで通り(笑)。」

「うん、ありがとう!じゃあ、また明日!おやすみなさい。」

「おやすみ!」

真那斗と〘おやすみ〙を言い合える日が来るなんて!

今日から、彼氏と彼女だ!
彼氏出来ちゃった!
あ〜、幸せ♡
明日美久に報告しないと。
プールも頑張ろう!
真那斗に負けないように、そしてもっと私も速く泳ぎたいから頑張る!

私にとって、初カレである。
多分、真那斗にとっては初カノ。

でも私はこの時、まだ知らなかった。
このあと、苦しむ3年を過ごすことになるなんて…。

続く

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