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「このライトノベルがすごい!2023」に投票しました

ごきげんよう、あわいゆきです。

宝島社さんが主催しているランキング企画、「このライトノベルがすごい!2023」に投票したので、投票した作品と添付したコメントをnoteにも残しておきます。

だいたい網羅するようにしている直木賞,芥川賞路線と比べるとライトノベルはほとんど読めていない(年間通じて対象の新作を20本ほど、冊数で30冊〜)ので、参考程度に。記載してあるコメントもかなり短めです。

なお、新作に絞って投票しています。


四季大雅『わたしはあなたの涙になりたい』(ガガガ文庫)


コメント : 難病ものとしてそもそもクオリティが高いうえ、「難病もの」ジャンルを読ませながら物語化による消費の是非を問いかけてくるメタ構造、それをアイロニーに落とし込まず小説ならではの手法で「フィクションでしかできない救い」を見せつける誠実さを評価しました。「音楽」に関連するモチーフを通じた欠落の埋め方も巧みです。

日日綴郎『青のアウトライン 天才の描く世界を凡人が塗りかえる方法』(富士見ファンタジア文庫)

コメント : 天才と凡才の真摯な対立を通じ、ラブコメの文脈に回収されない男女の関係性を構築および提示できていた点を評価しました。3人のヒロインの配置と魅力の引き出し方も上手く、青春要素に舵を切ることでうまれる熱量も目をひきます。

新馬場新『サマータイム・アイスバーグ』(ガガガ文庫)

コメント : タイムリープによる王道的なSFを描くに際して、サブヒロイン(「主人公ではない」)の安庭羽を据えることで屈折させ、青春/SFの両側面から「主人公性」を獲得していく展開を評価しました。おばあちゃんとのエピソードを通じ、屈折した自意識を物語と重ねていく構造も秀逸です。

羊思尚生『朝比奈さんの弁当食べたい』(HJ文庫)

コメント : 主人公(ヒーロー)の内面をブラックボックス化して周囲に語らせていく手法と、「弁当」というモチーフを通じて主体的に人間らしさを回復させていく展開の噛み合わせを評価しました。登場人物がそれぞれ抱えている背景も定型から外れており、思わず目を見張る着眼点が目立ちます。また、シリアスを中和するコメディ要素の入れ具合、恋愛関係の落とし所も絶妙です。

七瀬夏扉『ひとりぼっちのソユーズ』(主婦の友社)

コメント : 多くの先行作を取り込みながらも独自の文体とセンチメンタリズムで個性に仕立て上げ、メイン二人の恋愛を壮大な時間SFに発展させていくスケールの広げ方を評価しました。第二部を橋渡しにすることで恋愛とSFの比重を逆転させる全体構成も好みです。


そのほか


最後まで悩んだ6枠目は『最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室』でした。今期は電撃大賞と小学館ライトノベル大賞をすべて読んだ(富士見ファンタジア大賞は一部間に合わず)のですが、小学館ライトノベル大賞は抜けてレベルが高かったように思います。
また、新作ではないものだと『僕が答える君の謎解き2』『キミの青春、私のキスはいらないの?2』『ただ制服を着てるだけ2』が好みだったことも付記しておきます。


かんたんよそう

新作部門の上位五作を既読作から予想すると、『竜殺しのブリュンヒルド』『わたし、二番目の彼女でいいから。』『天使は炭酸しか飲まない』『わたしはあなたの涙になりたい』が有力、あともうひとつは私が読んでいない(まったく認知していない)作品になりそうな予感がします。
総合部門だと前年に引き続き『千歳くんはラムネ瓶のなか』『ようこそ実力至上主義の教室へ』が有力では。
予想できるほど読めていないので、たくさん読んでいる方の予想を!読みたいです!!

あまり追えていないジャンルゆえ、この投票企画を通じて新たな作品と出会えることを楽しみにしています。

それでは、ごきげんよう。

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