第16回「REVENGE to the NEXT」

バイト先で使用している紅ショウガが変わりました。

仕入れ先を変えたわけではないので、メーカーさんが味を変えたようで。

また一つ、私の好きな食べ物が消えてゆく……。

そんな悲哀を背負いながら、第16回、始めて行きます。

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今回は『ゾンビランドサガ』の話です。

私がこの作品を始めて見たのは、仮面ライダーの劇場版の先着特典を手に入れるため早朝から映画館に並んでいたときです。

当時話題の作品のひとつであり、時間つぶしにちょうどいいかと見始めました。

するとまぁ面白い面白い。

コメディとしても、青春物語としても、アイドルアニメとしても面白い。

当時はエンタメの研究などは行っていなかったので、楽曲含めただただ好きな作品でした。

そして第二期である『ゾンビランドサガ R(リベンジ)』が放送。

待ちかねていた第二期だったので、食い入るように見て、布教した先輩と見て、自分でも見て……。放送当時だけで毎週毎話3周していました。

内容や楽曲に関してはいわずもがな、今回は最終回でボロ泣きした話を少し真面目に考察します。

第二期の最終回、私は集中してみるためにTVの前に正座し、前情報を遮断し、視聴しました。

結果ボロボロ泣いたと。声をあげるくらい泣きました。直後最終回だけ2周目しましたがそれでも同じくらい泣きまして。それから一か月おきくらいに見ては泣いています。

アイドルアニメというのは、エンタメの中でも特殊なものだと考えています。

ラブライブ! シリーズやアイドルマスターシリーズの影響で、作品はフィクションを飛び越えて声優さんたちのライブなどへと発展しています。

つまり、視聴者は同時にファンでもある。

通常エンタメにおいて視聴者は主人公と同一の存在になるものです。それによって主人公に起きる物語の起伏を体感し、感情を共有する。しかしアイドルアニメにおいては、主人公でもあり、ファンでもある。この点が他のエンタメと一線を画す特異性です。

そう言う意味で『ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の主人公、高咲侑というキャラクターは二重で共感性の高いキャラクターなわけで、この存在があのアニメの完成度を引き上げています。

話が逸れました。

さて『ゾンビランドサガ』ですが。

個人的に、第一期はアイドルアニメではありません。

いや、そんなことはないんですが。紛れもなくアイドルアニメではあるんですが。

というのも、このアニメ、ゾンビが佐賀でアイドルをするという設定盛り盛りな作品です。このアニメを友人にすすめるとき「どんなアニメ?」と聞かれて答えに窮したのは一度や二度ではありません。

原作の存在しない作品であるため、視聴者は等しくこの作品を知らない。

ゾンビ? 佐賀? それでアイドル? どういうこと?

これを理解していくのが、第一期であるわけです。そしてこれは、主人公、源さくらと同じ状態です。

主人公もまた、いきなりゾンビになっており、いきなり佐賀を救うためにアイドルをやれと言われます。

というか主人公だけでなく、メンバー全員がそうです。

そんな中で、ときにぶつかり、ときに協力し、各々が佐賀のゾンビのアイドルとしてのアイデンティティを確立していく。言ってしまえばフランシュシュ立志編です。

ゾンビが佐賀でアイドルに「成る」話。

第一期を通して、彼女たちは色々な意味でアイドルになるための努力をして、最終回を迎えます。

その大団円の後。第二期。

ゾンビが佐賀でアイドルを「やる」話です。

第二期は、第一期よりももっと明確にアイドルアニメをやっていました。ファンとの交流、アイドルとしての在り方、そしてその存在価値。

ゾンビであるという設定をコミカルに活かしつつも、王道アイドルアニメを展開していました。

そしてこのとき。視聴者はファンであり主人公でもある状態だったわけです。

これはアニメのストーリーだけでなく、第二期までに行われた声優さんたちのライブやラジオ、その他イベントの影響も大きい。コンテンツとして、ゾンビランドサガという作品にリアリティを持たせていたわけです。

そうして迎えた最終回。

ネタバレを避けるため詳しくは記載しませんが……。

視聴者はライブに行く。

フランシュシュのライブに。

加えて、現在の社会情勢と絶妙にマッチしていることで、アイドルとしての存在意義というものと、ゾンビランドサガという作品のメッセージの二つが激しく共鳴し、あの最終回の感動を何倍にも膨れ上げさせました。

実は、作中のファンは涙していません。これは悪い意味ではなく、アイドルのファン=楽しんでいるということで、みんな笑顔なのです。

しかし涙しているキャラクターが1人。

それこそ、主人公、源さくら。

ファンとして、応援してきた第一期から第二期までの道のり。

主人公として、乗り越えてきた第一期から第二期までの苦難。

この二つを同時に味わえるのは、作中のファンでも、主人公たちでもなく、作品を視聴している我々だけなのです。

『ゾンビランドサガ』という作品。劇場版も決定しています。わけのわからないPVですが。

今後に期待しつつ……。たぶん映画も泣くだろうなぁ……。

あ、第二期ラストシーンの衝撃と謎は、私にもわかりません。映画でわかるんじゃないかな、知らんけど。

…第16回 了

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ちなみに、私が友人に「ゾンサガってどんな話?」と聞かれたら、決まって「ゾンビが佐賀でアイドルやる話……かな」と答えます。

「は?」と言われます。もしくはそういう顔されます。

わかる。俺も自分で何言ってんかわからんもん。

でも見て……面白いから……。

というのが言いたかったので、なるべくネタバレしないように書きました。

映画、楽しみです。

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