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備忘録/2年ぶりのセンバツ高校野球 甲子園で開幕【選手宣誓 全文】

2年ぶりの開催となるセンバツ高校野球が甲子園球場で開幕、大会初日に試合がある6校のみ行進という異例のスタイルで開会式開催。

外野に間隔を空けて並んだ状態から、入場行進曲の「パプリカ」に合わせて内野まで行進しました。

他の26校については、学校のグラウンド等で事前撮影した行進映像が球場のビジョンに映し出された。

選手宣誓は、宮城代表・仙台育英高キャプテン、島貫丞選手が務め、東日本大震災から10年となったことに触れ、力強く宣誓。

今年の大会は観客上限1万人とし、選手・大会関係者は事前にPCR検査を受けるなど感染対策を徹底。

高野連の八田英二会長は「本日、2年ぶりの大会となる『第93回センバツ高校野球大会』を開幕することができ、万感、胸に迫る思いです。引き続き、安心・安全を第一とした大会運営に努めてまいりますので、皆様のご理解・ご協力をお願いいたします」とコメント。

【全文】選手宣誓 「2年分の甲子園 思いを込めて」

「きょうここに、高校球児の憧れの舞台である甲子園が戻ってきました。

この1年、日本や世界中に多くの困難があり、それぞれが大切な多くのものを失いました。

答えのない悲しみを受け入れることは、苦しくてつらいことでした。

しかし、同時に多くのことを学びました。当たり前だと思う日常は、誰かの努力や協力で成り立っているということです。

感謝。ありがとうございます。これは出場校すべての選手、全国の高校球児の思いです。

感動。喜びを分かち合える仲間とともに、甲子園で野球ができることに感動しています。

希望。失った過去を未来に求めて。希望を語り、実現する世の中に。

そして、この3月で東日本大震災から10年となりました。

日本、世界中に多くの協力や支援をいただき、仲間に支えられながら困難を乗り越え、10年前、あの日見た光景から想像できないほどの希望の未来に復興が進んでいます。

これからの10年。私たちが新しい日本の力になれるように歩み続けます。

春はセンバツから。穏やかで鮮やかな春、そして1年となりますように。

2年分の甲子園。一投一打に多くの思いを込めてプレーすることを誓います。」

震災1年後に宣誓した当時の石巻工業 主将は“心に響くものがあった”

東日本大震災から1年後、センバツで選手宣誓した宮城県石巻市の男性が、ことしの開会式で同じように被災地出身の球児が務めた選手宣誓を地元で見守りました。

その人は阿部翔人(しょうと)さん(26)。石巻工業の1年生だった10年前、野球部の練習中に震災の津波で被災し、グラウンドが浸水したほかボールやバットなど野球道具もほぼすべて流された。

それでも、野球道具など全国からの支援を力に変えて震災の翌年、平成24年のセンバツ大会に21世紀枠で出場し、キャプテンとして選手宣誓を務めた。

〈当時の阿部さんの選手宣誓(全文)〉

「宣誓。東日本大震災から1年。日本は復興の真っ最中です。

被災をされた方々のなかには苦しくて心の整理がつかず、今も当時のことや亡くなられた方を忘れられず、悲しみにくれている方がたくさんいます。

人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。

だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔。
見せましょう、日本の底力、絆を。

我々高校球児ができること。それは全力で戦い抜き、最後まであきらめないことです。いま野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」

26歳になった阿部さんは、19日の開会式を石巻市の自宅で見守り、同じ宮城県から出場する仙台育英高校のキャプテンで福島市出身の、島貫丞選手の選手宣誓にじっと耳を傾けた。

今回の宣誓の内容について「『答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことでした』という、僕たちと同じフレーズを使ってくれて、心に響くものがあった。今回の選手宣誓が、被災地がまた新たな一歩を踏み出すきっかけになってくれたらと思う」と話した。

その上で、2年ぶりの大会に臨む高校球児に向け、「答えのない悲しみを感じて卒業した3年生の姿を見てきたと思うので、その思いを精いっぱい、グラウンドで表現してほしい」とエールを送った。

阿部さんは、地元の高校で非常勤講師を務めており、去年、教員採用試験に5回目の挑戦で合格、来月からは県内の高校で体育教師として勤務する。

高校野球の指導者を希望しているということで、「自分自身がいろいろな方に支えられて甲子園出場という夢を実現できたので、子どもたちに、夢をかなえられる場所や環境をつくってあげたい」と力強く誓ってた。

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