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うちには猫がいる。
飼っているとも違うし、何匹という数え方もちょっと違う気がする。
薄い茶白と鼻まわりが騒がしい白黒。
茶白は男子で2017年の10月から、
白黒は女子で2020年の10月から一緒に暮らしている。
どちらもうちに来る前は、外で暮らしていた。
臆病でビビりの茶白と、大胆でビビりの白黒。
ビビりが共通点なのは、聴覚の優れた猫だからかもしれない。
突然の大きな音は何年一緒に暮らしても苦手だけれど、
彼らには暖かい寝床と美味しいご飯と水が一生約束されている。
そして暮らす人間は何よりも猫を可愛がる。
きっと重すぎる愛は猫たちには伝わっている。

彼らと暮らす事を決めたのは私を主とした私の家族の人間だけど、本当は猫が決めたのかもしれないなと最近思う。
選んだと思った猫たちに選ばれていたのかもしれない。

彼らは、朝と夜に運動会をすることはあるけれど、概ね仲良く暮らしている。
隣り合って寝ていたりすると、とても更に可愛い。


ところで、ここ何日かとても忙しかった。 
右も左も世の中のニュースなんかも、片目の端っこでしか見れないくらいに。

忙しさの理由は仕事が主だけれど、
体力、知力、コミュニケーション力、全て使い果たした日々だった。
普段から多忙には慣れているはずなのに、多忙の割に実にならない事も多くて、体も気持ちもヘトヘトだった。
それでも家に帰れば、4月の新生活で少しだけ不安や心配を持つ子どもたちの話も聞いてあげたい。
欲張りすぎだよな、とは思っていても、どうしようもなかった。
自分たちが目指すものに近づく為には、動く以外の方法はない。
試行錯誤しながらも進むしかない。
今しかない子どもたちの気持ちも大事にしたい。

疲労困憊で帰宅すると、いつもと変わらずふわふわでもふもふの猫がいる。
帰宅した私のヘトヘトさなんか微塵も推し量ろうともせず、ごろんと寝転んだり、ゴツンと額や体を押し付けてたりしてくる。
彼らそれぞれの愛情表現。
人間語を話さない彼らの表現は、いつも強くて自分勝手だ。
それから、いつもと変わらずお皿の前でおやつを要求。
ひとしきり食べたら、各々好きな場所で過ごす。

あぁ今日も猫は猫らしくて、可愛いなぁ。と心から思う。
外で暮らす彼らを家に招き入れて、助けたつもりの猫たちが、今日も私を助けてくれる。
曇のないつぶらな瞳は、心の中まで見透かしてるようだ。
何も考えていないように見えるけれど、何でもお見通しなのかもしれない。
その猫たちに選ばれた。
勝手な人間の傲慢かもしれないけれど、少しだけ今だけはそう思わせてもらおう。

ありがとう。あなた達がいて、とても嬉しい。そんな事を言っても、分かっているのか分からずか、猫は変わらずあっちの方を見ている。

猫の生命はヒトよりは短い。
できるだけ長く一緒にいられたらな、と思う。
この家に来られて幸せだよ、と思ってくれたら更に嬉しい。

急に忙しくなくなるわけではなく、今日だって変わらず多忙だ。
多忙の割に実にならない事もあるかもしれない。

それでも、可愛い彼らが待っていてくれるから、今日も頑張って働こう。
多分私だけじゃない、家族みんなが同じ想い。
少しだけ緊張する4月の朝の背中を、猫たちはそっと押してくれる。

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