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党内での処分はなし 問われる公器としてのモラル|CLPへの政党出資隠蔽問題

立憲民主党が「公共メディア」を標榜するChoose Life Project(CLP)に番組制作費として計1500万円程度の資金提供をしたにもかかわらず、その事実を公表していなかった問題。

立憲民主党は、2020年3月ごろから福山哲郎議員(現党幹事長)の決裁によってCLPに資金提供を行っていたという。

資金提供自体は咎められることではないものの、そのことを公表していなかったところに最大の問題点がある。

にもかかわらず、決裁者の福山哲郎幹事長を含め党内での処分はいっさいなし。
これでは、何か問題が起きても謝罪のみで処分なしで幕引きを図る自民党の体質となんら変わらないではないか(謝罪すらせず、逆ギレすることもあるが)

また自民党は全国に張り巡らされた支持基盤が強固で資金力も豊富なため、内部統制がしっかりしている。
対して、立憲民主党は「自民党の逆張りしかせず中身がない」といった誤ったイメージを多数の国民に抱かれ、党勢は野党第一党でありながら自民党の3分の1程度にとどまる。

そのような政党が、法的に問題はなくとも公党としての倫理にもとる行為を謝罪だけで済ませてしまっては支持の広がりは期待できないだろう。

国政で協力体制をとる共産党にも言えることだが、野党は近年のふわっとした世論を甘く見すぎている。

このふわっとした世論をうまく刈り取りしているのが自民党や維新だ。

日本社会に広がる閉塞感を利用し、打ち上げ花火のような政策や情緒に訴えかける発信を行うことで“雰囲気イケメン”を装っている。

これをスマートにできないのが立憲民主党。
もっと言えば、TPOを弁えたり、場の空気を読むことが苦手な議員が多い印象を持つ。

今月行われた箱根駅伝では、事前に主催者側から沿道での応援を自粛するよう要請が出ていたにもかかわらず、蓮舫議員は沿道で母校を応援したことをTwitter上に投稿して批判を浴びた。

そのような投稿をすれば、アンチはもちろん支持者からも批判されることは想像に難くない。
そうしたことに思いを致すことができない議員が多いから、いつまでも支持率が低空飛行を続け、離合集散の繰り返しに追い込まれるのだ。

今回のCLP問題においても、法的な問題はなくとも倫理的に問題があり、支持者や関係者からの信用毀損を招く重大な問題として、処分がなされていれば、少なくとも自民党と同質とみなされることはなかっただろう。

早期の幕引きに奔走するあまり、本質的な問題点を見失い、さらなる支持基盤の縮小を招いていることにいい加減気付かなければならない。

いま、日本政治は歪な状態となっている。
たとえ、自民党と立憲民主党が同じ不祥事やミス、それに対し同一の対応をしても立憲民主党の方が支持者の離脱や批判を受けやすい。

立憲民主党がやってはならないことは、自民党もやってはならないし、同じ熱量の批判を浴びせる必要がある。それが政治権力を監視する国民やメディアのあるべき姿ではあるが、そうはなっていない。

この現状を立憲民主党含めた野党はしっかり認識し、自浄作用をはたらかせるべきだと思う。

今回の問題で福山幹事長を処分しなかった立憲民主党は、さらに体力を失うことになるだろう。

岸田首相が、ハト派の宏池会(岸田派)領袖でありながら、党内のタカ派ともうまく立ち回り、バランス感覚に優れた宰相と評価されていることも立憲民主党には相当な向かい風となる。

今夏の参院選で共闘するであろう共産党も目立ったコメントを出しておらず、ダンマリを決め込んでいる。

立憲民主党の看板が変わる日も近いかもしれない。


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