終わったはずの賠償金問題、再燃 外交約束履行の姿勢みられない韓国政府

戦時中、日本の工場に動員された韓国人の元徴用工らが日本の新日鉄住金を相手取り損害賠償を求めた裁判で、韓国大法審(最高裁)は元徴用工らの訴えを認め、同社に元徴用工1人あたり1000万円の賠償金の支払いを命じる判決を下した。

ほかにも同様の訴訟が十数件起こされておりその判決に大きく影響を与えそうだ。

日本政府や訴えられた日本企業は、1965年の日韓基本条約において韓国側が戦時中の日本軍の行為に対する賠償請求権を破棄していることを根拠にこの判決は不当だとする。

もちろん、韓国人を動員し労働を強いたかつての日本の行いは厳しく非難されるべきであり元徴用工らにその賠償を請求する権利は存在する。

しかし、韓国政府が国際レベルで日本に対しこれ以降の賠償請求をしないと約束している以上賠償金を払わねばならないのは日本政府でも加害企業でもなく韓国政府だ。

1965年当時は慰安婦問題も徴用工問題も表面化していなかったが、日本は韓国への多額の経済援助を行ったことと引き換えに以降の戦争犯罪に関する賠償請求はすべて清算された。

いうまでもなく、2015年末に突如として外交解決をみた慰安婦問題に関しても賠償金を払う責任があるのは韓国政府だ。

目先の利益にとらわれて本来ならば加害国が負うべき賠償義務を韓国政府自らが背負ってしまった以上これは当然の話である。

賠償金請求権を放棄しているにも関わらず賠償金を支払わなければならないのなら拡大解釈を招き、なんでもありとなってしまう。

ただ、日本政府の過去の戦争犯罪への向き合い方は誠実とはほど遠い。
日本では、賠償請求権のみを韓国が放棄しているにすぎないのに道義的責任も同時に清算されたものと勘違いしている人があまりに多い。

というよりも、日本の加害事実に目を向けたくないあまりこうした暴論を振りかざすケースが意外に少なくない。

しかも、国家として謝罪する相手がなぜか韓国政府という頓珍漢ぶりもあきれるばかりだ。
謝罪すべき相手はほかでもない被害者でありそれが韓国人だろうが日本人だろうが全く同じことだ。

◎今回の論点

①韓国は1965年の日韓基本条約において過去の日本の戦争犯罪に関するす 
べての賠償請求権を破棄しているので、1965年以降に発覚した戦争犯罪に対する補償責任は韓国政府にある。    

②日本政府には賠償責任はないにしろ、被害者への直接謝罪という道義的 責任は残っているので1人でも多くの被害者が生存しているうちに責任を果たしてこそ戦後レジームからの脱却への一歩となる。             

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