5浪目の冬、僕は合格すれば昔の、元の自分に戻れると思っていた

 これは浪人の話だ。楽しい話じゃない。今は夜中の、というか朝の4時半だ。「深夜に書いた文章は後で読むと恥ずかしくなるからやめておけ」というのはよく言われることだし、僕も過去の失敗から十分それは実感しているつもりだが、吐き出さないとどうにかなりそうなので書く。まったく明るい側面のない、どうしようもなく暗い話だ。

 僕は5年浪人して医学部に受かった。5年間でかなり精神が削られた、というか擦り切れてしまったような気がする。大袈裟なのはわかってるが今はそんな気がしてしまう。もう説明するのもめんどくさいが浪人を経て僕は何もする気が起きなくなっていたのだ。やる気なんてどこにもない。

ここから先は

1,659字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?