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Shaila Catherine先生のオンライン瞑想コースについて

4月末から、Shaila Catherine先生のオンライン瞑想コースに参加しています。このノートでは、シャイラ先生の事と、コースの概要について書いてみます。

シャイラ先生について

シャイラ・キャサリン先生は在家の瞑想指導者で、シリコンバレーにある「Insight Meditation South Bay」の創始者、リーダーです。

シャイラ先生は1980年頃から、インド、ネパール、タイなどで、年単位の仏教瞑想の修行に取り組んできました。1996年から洞察瞑想の指導を開始し、2006年にIMSBを創設。また2006年から2014年にかけて、ミャンマーのパオ僧院でサマタとヴィパッサナーに取り組みました。2014年にはBodhi Coursesを開始し、オンラインでも瞑想指導をなさっています。

パオ僧院での修行経験が長い事から、シャイラ先生も、まずはサマタ瞑想としての呼吸瞑想をしっかり行い、ある程度の集中力をつけてから(理想的には禅定に入れるようになってから)、ヴィパッサナー瞑想を行う、という方法で指導されておられるようです。サマタ瞑想の習熟には時間がかかるため、一般的には在家修行者向けとしてはハードルが高めの方法と考えられています。

瞑想実践についての2つの著作があります。

一冊目は「集中することと、恐れがないことー瞑想者のための、深い喜び、静けさ、明晰さの状態へのガイド」。2008年。現代の在家瞑想者向けのサマタ瞑想の手引書です。目次のリンクをはっておきます。

第一部はサマタ瞑想についての概説、第二部で予備的な瞑想実践、第三部で実際に第一禅定~第四禅定の具体的な解説、第四部では禅定を前提とした洞察瞑想、第五部では無色界禅定について扱います。経典の事も出てきますが、概ね平易で現代的な表現で説明されています。一部しか読んでないですが、この本だけで瞑想実践を行うのはおそらく困難で、すでに瞑想実践を習っている人向けの副読本のような位置づけだと思います。

もう一冊は、「広く、深い智慧―禅定とヴィパッサナーを習得するための実用的ハンドブック」。2011年。五蓋、五禅支、七覚支などの基礎概念や、各種サマタ瞑想が解説されています。目次のリンクは以下。ミャンマーのパオ僧院に滞在時に、パオ・セヤドーから瞑想の本を書くようにすすめられたそうで、セヤドーが序文を書いておられます。

Bodhi Coursesについて

“Bodhi Courses”とは、シャイラ先生が2014年にはじめた、各種瞑想をオンラインで教えるコースです(英語)。

私は2020年に以下の2つのコースに参加しました。
①「メッタ(慈しみ)による解脱への道-教学と実践のコース。」

日本ではスマナサーラ長老による慈悲の瞑想がある程度流通していると思います。そこでは慈悲喜捨の4つの文言を、さまざまな対象に対して唱えます。それに対して、このコースでは、慈(メッタ)のみ扱います。単に文言を唱えるのではなく、どのようなイメージを作ればいいのか、メッタの対象を拡張していくにはどうすればいいのか、かなり細かく指導があります。私が知る限りでは、日本語環境でこのような内容は学んだ事がなく、貴重なものと思いました。

②「散漫思考を超えて:マインドを自由にするための実用的な戦略」

瞑想中に注意がそれて思考が出てくる事、時にしつこく思考がつきまとってしまうのは、初心者だけでなく、ある程度瞑想を長く実践していても誰でも経験する事です。このコースでは、中部経典19、20を詳しく読みつつ、こうした散漫思考にStep by stepで対処する方法を、系統的に学んでいきます。思考に対処するという点だけでこんなに細かく指導があるのは、やはり日本語環境では経験がなく、とても有益でした。(ただスケジュールについていけなくて、現在7割くらい消化したところで頓挫しております。もったいない)

コースの具体的な進め方

CRTeacher2という、オンライン講座を提供するシンプルなプラットフォームを使って提供されます。

コースは2-3ヶ月間で、7-9回程度のモジュールから構成されます。
各モジュールごとにテーマがあり、以下のようなコンテンツを、参加者は各自で学習していきます。
●ビデオ講義(シャイラ先生による数十分程度のお話)
●ビデオ法話(同上)
●シャイラ先生による解説テキスト
●パーリ経典
●ガイド瞑想(シャイラ先生による音声)
●このモジュールの課題

たとえば「散漫思考を超えて」のモジュール3では、講義2つ、法話1つ、経典2つ、ガイド瞑想が4つ、課題が2つ。
●課題1:瞑想や日常生活で、思考の種類に気づく。
●課題2:普段の瞑想で、思考が出たらそれを「善」と「不善」に分けて、左右にトスしていく。
こんな感じで、モジュールで取り組む課題が細かく指示されます。

ディスカッションフォーラムというWeb掲示板システムがあり、モジュールについての質問や感想、課題に取り組んだ結果などを参加者がポストします。他の参加者がコメントしてくれる他、コースには複数のモデレーター(シャイラ先生にコースに長年参加している方々と思われる)がおり、その方々がコメントをくれます。

シャイラ先生は、このフォーラムがコースの学びの中心であり、積極的に書き込むようにすすめています。ただ、参加者が100人超えなのに対して、積極的に書き込むのは1-2割程度のよう。ちなみにシャイラ先生はめったに降臨せず、後述する音声カンファレンスで主な質問に答える方針のようです。

モジュールごとに、音声カンファレンスがあります(最近はZoom)。シャイラ先生のお話と、質疑応答で合計2時間くらい。後で録音を聞くことができます。

コースの分量としては、英語がネイティブの方なら、1モジュールにつき4-5時間程度で消化できる程度かなーと思います(それに加えて、毎日の瞑想実践)。私の英語力ではその2-3倍くらいはかかってしまいます。

私は掲示板にはときどき、課題の成果をポストしていました。オーディオカンファは、ついていくのが大変なので、ほとんど出ませんでした。

今回の「五禅支を育てる」コースは、2ヶ月弱のスケジュールで、参加費は290ドルです。今のレートだと3万円程度。ただし経済的に余裕がない人は190ドルで参加する事ができます。経済的に余裕がある人は指導者へのdana、喜捨をプラスする事が推奨されています。

必要とされる英語能力について

シャイラ先生の発音は非常にききとりやすいです。たとえば以下。

それでも私の英語力では聞き取れない箇所や、意味がすぐ分からない箇所がちらほらあり、3回くらい聞き直して何とか8割方理解できる程度。これではいかんと思って、途中から、otterという文字起こしサービスを使っていました。

リンク先は、大統領選時のバイデンVSトランプの論争ですが、かなり正確に文字起こししてくれます。ただパーリ語や一部専門用語はうまく認識できず、その前後は手作業で修正する必要があります(たとえばMettaはいつも間違える)。月10ドルの課金で十分使えました。

掲示板への書き込み時は、DeepL+Grammarly無料版で英文を作っていました。自力で和英辞典で英作文よりも数倍早くて、英文としても自然になるので、テクノロジーさまざまです。

英作文やリスニング能力の低さは、ツールの力を借りてかなり補う事ができると思います。英文読解力はある程度必要ですが、これもDeepLの力を借りる事ができます。全般的な英文読解力よりも、仏教的、法話的な内容についていけるかどうかの問題が大きそうです。

パーリ経典の英訳は、個人的には、非常に読みにくいです。そんなに難しい単語は出てこないですが、意味が頭に入りにくい。和訳を参照していました。光明寺経蔵というサイトはとても便利でした。ここにのってないものは中村訳や片山訳を参考にしました。

法話も、聞き慣れたテーマなら理解できるけど、あまり知らないテーマの場合は読解が難い。ガイド瞑想は分かりやすいものが多かったです。

最後に

このように、仏教的な内容の文献を英語である程度読むことができる人で、瞑想についてテクニカルな部分を学びたい人には結構おすすめのコースだと思います。

4月末から参加している「五禅支を育てる」コースについては、Noteで紹介していきたいと思っています。

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