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シャイラ先生の「五禅支を育てる」コース5:楽 その3、著書読解と瞑想ガイド

(●はシャイラ先生お話や文献のメモ、*は私のコメントです)
次に、シャイラ先生の2つの著書の楽の箇所と、瞑想ガイドに取り組んでいきます。

Focused & Fearlessの楽の項目

●喜が活動的な質を持つのに対して、楽はもっと静かでなめらかな幸福の質である。peace, joy, contentment, pleasure, ease, happinessなどと英訳される。温かいお風呂につかっているときの、包み込むようなembracing充足感と似ている。マインドは例外的に明るくbright、散漫さがない。
●楽は深く、落ち着いた喜びjoyの体験で、それは捨による鎮静とも、関心によるせき立てとも違っている。楽がマインドを洗い流し、心臓heartは確信をもって休む。瞑想者は、楽が優勢であるとき、何にも妨害されておらず、瞑想を終えて座を離れたいという欲がない。
●楽の性質は、五蓋の掉挙に打ち勝つ。

日常生活の中で心地よいpleasant出来事を探求する

●一週間のあいだ、日々の心地よい出来事のリストを書く。体やマインドがどう感じたか記録していく。シャワーのとき、洋服の感覚、太陽の光、友人との会話、睡眠など、どこにあっても幸福に気づく。普通の心地よさに対して、喜びと充実感を感じる。
●心地よい体験が興奮を引き起こす場合は、興奮を落ち着かせ、もっと静かな幸福感に目を向ける。楽は、興味や興奮で強くなるのではなく、充実感に深く浸ることで現れる。
●日々の心地よい体験に身を任せて、心地よさのどの部分に注意を向ければより多くを求めるのか、または深い満足感の中でマインドがリラックスするのか、気づいてみる。
*著書の中にはときどきこのように、説明と対応する瞑想練習のガイドが入ります。日常生活の中の心地よさについての探求が、瞑想中の楽の識別・育成に関わっているようにもみえて、興味深いですね。

Wisdom Wide and Deep の楽の項目

●楽とは、瞑想対象をただ見守ることの結果として生じる、深い充足感、joy, peace, easeの感じfeelingである。
●マインドは、happinessに満たされ、五蓋に妨害されず、散漫にもならない。ずっと座っていたい、この状態から立ち去りたくないと感じるだろう。次へと急ぐ気持ちも消える。
●楽は掉挙と対になる。

瞑想ガイド 楽を育てる

●この瞑想では感受、feeling toneへの感度を高めたいと思います。
●床や座布への接触を感じる。それは快か不快か中立か。背中のアラインメントを感じる。座っている感覚は、快か不快か中立か。
●呼吸に注意を向ける。このマインドフルネスの質が、快か不快か中立かに、短く気づく。そして呼吸全体に注意を向け、注意を維持し続ける。
●猫が昼寝をしてリラックスしつつ、それでも周囲への注意を怠らないalertように、注意を呼吸の中に住まわせます。呼吸全体を知ることで、快適さ、安らかさをみつけます。
●呼吸そのものが自然であるようにし、体が自然に、快適に呼吸できるようにする。マインドが呼吸の体験に出会うその仕方に、注意の多くを向ける。呼吸を知ることに幸せを感じる。
●マインドフルネスと結びついた喜び、捨をともなう、バランスのとれた喜びが生まれる。求めるのは刺激的なものではなく、微細な喜びです。
●多くの場合、喜と楽は同時に存在します。両者を区別する必要はない。というのも、サマーディを深めるためには、単純に呼吸に注意を向け続ければよいからです。ただし時に、注意をリフレッシュする喜、マインドを落ち着かせ安らぎを与える楽を、区別して体験するかもしれません。
●呼吸に注意を向け続けること。注意の維持をサポートするよう、瞑想対象への喜び、体験への喜びのためのスペースを確保するような仕方で。これは、瞑想を楽しむためのトレーニングです。

*喜が行(サンカーラ)であるのに対して、楽は感受(ヴェーダナー, feeling tone)であるとされます。この瞑想ガイドでは、身体に注意を向けて感受をみたあと、呼吸への気づきの質にも注意を(少しだけ)向けさせています。
*喜と楽は同時に出てくる事が多いので両者を区別する必要はないといいつつも、喜は注意をリフレッシュする、楽はマインドが安らぐという機能の違いを体験することもできるとしているのは、興味深いですね。
*呼吸瞑想のプロセスではこうした喜や楽が起こるものですが、喜や楽を欲したり持続させようとしたりせず、あくまで呼吸へ注意を維持し続け、背景で喜や楽が育つスペースを確保しておき、喜や楽が呼吸への注意の持続をサポートするようにさせると。方針としてはシンプルで分かりやすいが、実践的には試行錯誤でやってみるしかなさそうです。

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