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捨ててしまう写真と私

2020年の2月に、実家を取り壊すためにここへ引っ越してきました。一家四人と祖母もいたこの家には、家庭が組織されて以来の所持品の殆どが貯まっており、それらの大半を容赦なく捨てることを決意しながら、プリントされた写真だけは、見つけられる限りを、今の家に持ち込んで所蔵しています。

来年の2月以降の賃貸契約を更新する前に次の住まいへ移転することが確定しましたが、専有面積が15%ほど狭くなってしまうことがわかっているので、一昨年の荷物の全てが、再び保全されるか否かの判断に晒されます。お気に入りのソファは、もう置けないかも知れません。

そもそも本や写真の類はデジタイズしてリアルを無くそうと考えていましたので、真っ先にその対象に上がるのはアルバムとなります。90cm幅、180cm高の書棚いっぱいを占めるほどの、プリントされた写真を手当たり次第にスキャンし始めました。タイトル画像は、その一段分ですが、昨日今日で700枚くらいやっても、まだこれだけ残っています(その棚があと4段…)。

父はカメラマニアでしたので、ライカのR3とツァイスのゾナー85mmなどとメモ書きもありますが、そんなのは無視。正方形のプリントはローライあたりの2眼で撮っただろうけれど、だからどうした。写真は色褪せ、名機で撮影されただけの絵作りの巧みさは、さらさら感じられません。みな、セピアです。しかしそれにしても腕が悪い。中望遠での作例など、ほとんどピントが来ていません。でも、本当によく撮っていました。

本日は昭和49年から50年をやっています。両親共に、今の私よりも若いですが、昔ですから、ずっと大人に見えます。サザエさんの登場人物を思い描いてみてください。あの波平さんも、こんな私より若い。

2月に鎌倉でも大雪が降り、立派な雪だるまを作っています。近年このように積もるのは稀ですから、やはり温暖化が進んでいるのでしょうか。私には妹がひとりいて、この頃までの仲の良さが窺われます。妹がかわいくて、写真を見るだけで涙が出ます。もちろん元気に生存していますけれど。

正月に新宿の末廣亭に行ったり、宝塚を見たり、春が来るとよみうりランドへ行ったり、写真で振り返るからでしょうが、家族イベントの多いこと。個々には覚えているのですが、これらが4ヶ月以内に行われていたのは驚きです。

ものを減らす覚悟でこの作業を続けていますが、捨てられない写真は少なくありません。これは妹に見せようと横へ置いていくと、ゴミ箱行きはせいぜい6割くらいでしょうか。託してしまえば、この家からは無くなるので、それでいいのかな。写真の公開はプライバシーの点で気が進まないけれど、一枚だけお見せしようと思います。時代だね。

妹9歳(レタッチ済・トリミング無し)



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