祝・開幕と○○完全優勝

自動車レースは一定の規約の下で競技車両を作り、運転の上手い者を雇ってメーカーが競い合うスポーツですが、速度域が上がるほど運転者のフィジカルのレベルが要求されて、人的な優劣が勝敗を決するようになります。従ってドライバー同士の争いの方が、よりフィーチャーされ、その最たるものがフォーミュラ・ワンと認識しています。

全世界を襲うコロナ禍の影響を受けた2年を経て、今年もドライバーが感染して欠場を余儀なくされたりと、まだ終息が見えない中、それでも平常時と変わらない開催模様を目指しているのがよくわかります。日本は良きにつけ悪しきにつけ消極的、かつ弱腰に思えます(支援の体制も未熟です)が、このような力強い取り組みは励みになります。先のオリンピックもそうですが、こうした世界的なイベントを見るにつけ、経済的な復興の側面で日本が立ち後れないことを祈るばかりです。

F1は今年から車両規定が劇的に変更となり、全チームがリスタートして順位がシャッフルされることを目指しており、半分は達成され、半分は変わらぬ、といい塩梅の結果を見せる初戦となりました。

ホンダが撤退し、自社生産に変わったレッドブルは、そのパワーユニットが全4台中3台が壊れ最後まで走れませんでした。唯一生き残った1台も練習走行で壊れ、そのセッションを全く走れず、災い転じて完走ができたのは不幸中の幸いでした。一番強いとされていたチームがこのように沈んでしまい、逆に長い間冬を過ごしていたチームが完勝し、これを見て正直、私は良かったなぁと思いました。面白くなってきたという意味で。

個人的には特定チームや特定ドライバーを親身に応援する気持ちがほとんど無くて、スリリングな決勝を楽しみたい意欲は大きいですが、勝って喜びが爆発し、負けて意気消沈するといった、一体となって楽しむ感性がありません。でも、だいたいにおいて、勝った人にとって、その人生にどういう大きな意味が生じるか、という点で成り行きで誰かに加担することになります。

今回私が注目したのはケビン・マグヌッセンというデンマーク出身のドライバーで、今季4人いる二世ドライバーのうちの一人です。父親のことは世代的に馴染みがあり、デビュー時から彼のことは気になっていました。ビッグチームから鳴り物入りで出てきましたが、チームの停滞期であったり、学習という意味でも下位チームでの下積み経験がなかったりで振るわず、7年間でF1の舞台から去りました。

最後に所属したチームはロシア企業から大きなバックアップを受け、その系列のドライバーが乗ることになっていたものの、ウクライナ侵攻への制裁措置の一環として、そのシートが空き、急遽呼び戻される形となりました。

さて、標題では隠しましたが、フェラーリが頭一つ抜けて強かった背景には、新しいパワーユニットが他社よりも成功していると見られており、同一のものを積む、ケビンのチームや、もう一つのチームも、下剋上のような進展がありました。結果、ケビンは5位フィニッシュという好成績でカムバックを飾ります。この結果は本当に良かったです。嬉しさがこみ上げました。

同じフェラーリのパワーユニットを積むアルファロメオ・チームへ都落ちしたバルテリ・ボッタスも好きなドライバーでしたので、番狂わせの6位フィニッシュが痛快です。もちろん、彼の在籍していたチームよりは後れを取りましたけれど。でもよくやりました。

もうひとつ、これだけ上手く、強いくせに一度も3位以内に入れたことのない、職人気質のドイツ人、ニコ・ヒュルケンベルグがピンチヒッターとしてスポット参戦しており、木曜日に出場の打診があったという突然の出陣にもかかわらず17位完走(リタイア勢を除く最後尾)したのも見所のひとつでした。彼のこともずっと好きでした。

ホンダのハシゴが外された形の、唯一日本人である角田裕毅は、なんとか得点をもぎ取ってまとめることができたのですが、同系列3台のリタイアによる結果ということで素直には喜べません。自然と同朋を応援する気持ちは持ち合わせておりますので、なんとかワールド・クラスの存在感を示して欲しいと思います。

DAZNでの観戦はサブスクリプションの料金に見合うものを得たいと、全セッションを拝観するものの、1開催につきトータル約8時間の試聴時間、年間23戦(ロシアがなくなり22かもしれませんが)に付き合うのは、正直しんどいです。もう数年前から、受像機に釘付けでなく、作業をしながらのBGVにせざるを得ません。年間16戦で良いのではと個人的には思いますけど。

DAZNついでに書くと、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の配信がいつの間にか始まっており(これまであったっけ?)、あれも中々に長時間ですが、家にいれば垂れ流してちょいちょい見ています。ゴルフは野球やサッカーに萌えることのない私にとって、飽きずにずっと見ていられるスポーツの一つだと最近気付きました。将棋とゴルフ、自動車レースの配信を見るだけで、他のことが何もできなくなるほどの時間を費やしますね。気をつけないと人生棒に振ります。忙しい一年がまた始まりました。


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