記念の日

逆算すると5年前にJcomとかのテレビ視聴契約を打ち切り受像機を処分して、家の中から受信料請求の種となる品々を排除した後、インターネット配信による模擬テレビだけを見るようになりました。その時、現アベマでの将棋チャンネルを見始めて以来、すっかり観る将となりました。本日も王位戦を昼食休憩の局面まで見ておりました。

にわかだと自認していましたが相応の年月を飽くことなく関心を持ち続けてきたのは、もう趣味として定着したことを意味します。20世紀から21世紀に変わる前後、写真に没頭した時期を彷彿します。私はその後すっかり写真を撮る熱が冷めてしまって、昨年買ったフォー・サーズの一眼カメラも埃をかぶって放っておかれています。将棋は見るだけで既に5年。いつまで興味が持続するでしょう。

朝のアラームは8:20なので前夜1:00には就寝を心がけています。しかし7時間睡眠までには、あと20分あるとばかりに、真っ暗な寝床に入ってからiPadアプリでの練習対局を、相手にハンディを付けて行っていました。勝たないと気分が悪いので。

何枚か駒落ちさせて、こちらが快勝するのを数度行って眠りにつくのですが、時にそれが空しく思え、平手で対戦する日もあります。相手のレベルは3段階のうち最弱設定にしていても、大抵は負けます。しかし機械である相手が間抜けなことをするのを見逃さず、そこを突いていくと稀に勝てることがあるのです。そういうときは、その一連の動作を再生させ、スクショで動画にして保存します。それをたまに見返してニヤニヤするという、しょうもない遊びも、はや数年続いているわけです。

そんな日々から離脱する時が訪れました。私がお世話になっている音楽教室に併設するカルチャーセンターで『大人の将棋』なる講座が、ちょうど私の空き時間に開催されていることを知るのです。見学の予約は本日です。行ってきました。

たまたま、生徒さんがお一人も現れなかった幸運にみまわれ、先生がコースの内容を説明いただいた流れで、直々に対局していただきました。平手で。こちらの力がわからないから、ということでした。私は正直に、中継を楽しく見ているだけで、生まれてこの方、将棋を一度も指したことはなく、棋士のインタビューは読みますが教則本は読んだことがありませんと告げてありました。

先手でしたので飛車先の歩を進める初手から、テレビで観なれた差し手を、見よう見まねの当てずっぽうで指し続け、先生が中飛車で来られたのを、どう対処して良いかわからぬまま、こちらが仕掛けざるを得ない場面から開戦し、やがて負けました。投了の宣言を生まれて初めて口にします。なんという感動でしょう。懸命に戦いました。

感想戦も行いました。私は記譜を覚えておりませんが、先生が再現してくださいます。それだけでも驚異的ですが、有段者なら誰でもできるとおっしゃっていました。私にそんな能力が身につく日が来るのでしょうか。とてもそうは思えません。

しかし間違いなくとても楽しいひとときでした。受講を申し込んだのは言うまでもありません。ただし、その空き時間に、私の教室へ受講者が入会されたときに、それは終わります。束の間でも、これから実戦を楽しめたらとわくわくしています。



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