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食事の基本形 理論編

○はじめに
 日々トレーニングを行うアスリートにとって、食事管理はからだ作りのためだけでなくパフォーマンスにも影響を及ぼします。トレーニング・練習によってからだを動かすことでエネルギーを使ったり、汗をかくことで体内のミネラル類が排泄されたり、運動をしていない人たちよりからだにダメージを与えているため、それを補うためには食事がとても重要です。
 自分自身の体は自分自身で選んで食べた食事からできているのです。良くするも悪くするも、強くするも弱くするも自分次第!
 今回はアスリートにとってなぜ食事が重要なのか、食事に含まれているそれぞれの栄養素がからだにどのような影響を与えるのか、どのような食事を摂れば良いのかについて説明したいと思います。

 今回は理論編!まずは「なぜ?」「どうして?」をしっかり理解してから、「どうすれば?」を学びましょう。

○アスリートの食事の考え方「食事の基本形」とはなにか
 ジュニア期やシニア期、部活動やトップレベルなど年齢や競技レベル、性別、体格などに関係なく、スポーツを行うアスリートにとって基本となる食事の考え方に「食事の基本形」というものがあります。これは毎食の食事(1日1回とれば良いということではありません!)で、①主食、②主菜、③副菜(汁物も含め2品以上)、④牛乳・乳製品、⑤果物、この5つのカテゴリーを揃えて食べること。このような食事を摂ることで、適切な成長やからだづくりに必要な栄養素を最低限摂取することができるということが研究によっても明らかにされています。
 
*栄養素ってなに?
 栄養素というのは食品に含まれている成分で糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル(無機質)に分けられます。この栄養素はそれぞれがからだづくりやスポーツをするためにからだの中でとても重要な働きをしているのです。

 まず「食事の基本形」にある5つのカテゴリーについてどのような食品を指すのか、多く含まれている栄養素やその働きはどのようなものなのか、説明をしていきます!

①主食
 「主食」とはご飯やおもち、パン、麺類などで、これらの食品には主に糖質(炭水化物)という栄養素が多く含まれています。糖質はからだを動かす時や頭を使う時のエネルギー源になるためアスリートにとっても勉強、仕事をする人たちにとってもとても重要な栄養素です。長距離選手などの持久系競技でも100mやウエイトリフティングなど瞬間的に力を発揮する筋力・瞬発力系競技でもこの糖質が主にエネルギー源として使われるため、常にからだの中のエネルギーを満たしておく必要があります。

 からだの中(主に肝臓、筋肉、血液中に蓄えられている)に蓄えられている糖質つまり、からだを動かすガソリンであるエネルギー源が不足している状態が続いてしまうと、ガス欠の状態になってしまうため、トレーニングが続けられなくなったり、疲労困憊の状態になってしまい、からだが動かなくなるだけでなく、脱力感やめまいなどを引き起こし、パフォーマンスの低下、集中力や判断力が低下することが知られています。そのため、毎食の食事で糖質が多く含まれている食品を必ずとるようにしましょう。

②主菜
 「主菜」とは肉類、魚類、卵、豆腐や納豆などの大豆製品などを使った料理で、これらの食品にはたんぱく質、脂質という栄養素が多く含まれています。たんぱく質は筋肉だけでなく、骨や血液、酵素やホルモンなどの材料にもなっています。つまり、からだを作る全ての‘部品’に必要な栄養素なのです。筋力トレーニングをするとからだの中で筋肉を作ろうとする働きが高まるため、アスリートは一般の人よりもたんぱく質を多くとる必要があります。また赤身の肉・魚、レバー、卵、厚揚げ、木綿豆腐などの食品には貧血を予防のために重要な鉄が多く含まれており、さらに肉類や大豆製品は糖質や脂質をエネルギーに変える時に必ず必要となるビタミンB群を多く含んでいます。たんぱく質源としてだけでなく、ビタミンやミネラルを摂取するためにも、これらの食品を積極的に取り入れることが重要です。

③副菜
 副菜とは野菜、きのこ類、海藻などを用いた料理で、ビタミン、ミネラルなどの栄養素や、食物繊維などを含んでいます。野菜はカロテンを多く含む(可食部100g当たりカロテンを600mg含むもの)緑黄色野菜とそれ以外の野菜である淡色野菜に分けられます。とくに緑黄色野菜にはカロテンだけでなく、ビタミンCやカルシウム、鉄などのミネラル類も多く含んでいます。日常的に強度の高いトレーニングを行うアスリートは、常により良いコンディションを維持することが重要であるため、免疫力を向上させるためにも特に緑黄色野菜を積極的に摂取するようにしましょう。副菜は毎食2品以上がとることが勧められています。汁物にも野菜を多く(70gが目安)入れること食べるようにしましょう。

④牛乳・乳製品
 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品はカルシウムというミネラルやたんぱく質など他にも多くの栄養素を含んでいます。長期間カルシウムの摂取量が不足した状態が続くと、骨の強度が低下してしまいます。骨密度が低いアスリートは疲労骨折を起こしてしまったり、外傷などの刺激で骨折してしまう可能性が高くなります。骨密度は成長に伴い増加するため、特に成長期である小・中学生の時期は十分なカルシウム量を摂取する必要があります。またアスリートは発汗量が多くなったり、緊張や疲労などにより胃腸の消化吸収機能が低下するリスクが高くなるため、カルシウムの損失量が増加したり腸管からの吸収率が低下してしまう可能性があります。カルシウムは摂取不足になりがちな栄養素なので、カルシウムが多く含まれている食品を意識して毎食しっかりと取りいれましょう。

⑤果物
 果物はビタミンCを多く含むオレンジ、グレープフルーツ、みかんなどのかんきつ類、キウイ、イチゴなどや、糖質を多く含むバナナ、リンゴ、ぶどう、メロン、桃など多くの種類があるため、目的に合わせて選択しましょう。
 ビタミンCは、細胞と細胞をつなぐ役割をもつコラーゲンの生成に関与しているため、日々のトレーニングにより腱や靭帯を酷使しているアスリートにとって重要なとても栄養素です。また免疫力を高める働きや、鉄の吸収を促進する、抗ストレス作用などがあり、からだ作りやコンディショニングにおいても必要な栄養素です。毎食の食事で特に柑橘類など、ビタミンCを多く含む果物を摂取し、常に体内(血中)のビタミンCの濃度を高い状態に保つようにしましょう。

これが「食事の基本形」をそろえて食べることが勧められている理由です。まずは「主食」「主菜」「副菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つのカテゴリーを覚えること。次に毎食自分の食事には5つのカテゴリーが入っているか、、、何がないのか、、、を評価する習慣をつけましょう。自分の食事の特徴、弱点に気付くことが大切なのです。

 練習に休みはあっても食事に休みはありません!思いっきり練習やトレーニングをするためには日々の食事、睡眠・休養、ケアを怠けることなく自分自身のからだにしっかり向き合う習慣をつけるようにしましょう。


次回は食事の基本形実践編!
 食事の基本形のそろえ方について具体的な例をご紹介します!実は簡単にそろえることができるんですよ!是非ご一読ください。


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