Appendix.昔のマーチング・コースタイル曲集

その7からその8に行く前に、昔やってたマーチング、「コースタイル」(Corps-Style)の曲をいくつか紹介しておきたいと思います。

コースタイルの曲は、まず1曲の長さが2~3分とかなり短いというのが特徴の1つ。次に、昔流行した曲をコースタイル向けにアレンジされたものが多いです。純粋なオリジナル曲は少なかった印象です。

1.DURANGO(デュランゴ)

私が「スネアドラムやりたい」と思うきっかけになった曲です。小学校の時にバスドラムでやったのですが、当時デモテープを聞きながら机をたたいて練習(※楽器が重かったので普段は机で練習)している最中にラジカセから聞こえてくるスネアの16ビートがめちゃくちゃ格好良く聞こえて・・・スネア担当の同級生が心底羨ましかったのを今でも記憶してます。中高では残念ながらやる機会がなかったけど。

意外だったのは、かなり昔に日本国内の普通の吹奏楽部がカバーにチャレンジしてたこと。

スネアはほぼコースタイルの譜面のまま、Drumsのタムをマルチタムの代わりにして演奏し、コースタイル曲の持つ疾走感をほぼ再現してます。トランペットソロも見事に決まってます。この手の「吹奏楽カバー」はコースタイル側の疾走感と迫力が失われた残念な出来になるのが常なんだけど、この動画は例外中の例外。あえて言えば最後はもっとテンポアップしても良かったけど、野庭高やるね!

2.Throw Down(スローダウン)

80年代終盤~90年代序盤のマーチング界隈でかなり流行ってた記憶があります。ほぼずーっと強く吹きっぱなしで疾走感はDURANGO以上。かなり体力使う曲でした。私は中高時代にスネアでやってました。

それにしても曲名がすごい。スローダウンって、直訳すると「投げ下ろす」だし・・・。崖の上から投げ下ろされた何かを表した曲なんですかね、知らんけど。

3.Spain

Chick Coreaの名曲「Spain」のアレンジ。原曲はいろんな楽器のソロを引き立たせるような曲でしたが、こちらはソロはトロンボーンが1回だけ。中3の時と、高2の時にやりました。高2の時にやったのは、真島俊夫氏が母校のM協大会のためにアレンジしたものでした。その後真島氏は吹奏楽向けのSpainを作って市販していますが、それとは完全に別物です。

中3の時は普通の市販の譜面でやったのですが、スネアは格好良さはあるものの見どころにやや欠けるところがあったので、こんなスティックトリックやってました。

・・・現役の時はもーちょっとスムーズだったかなあ(;_;)

4.TROOPER SALUTE(トゥルーパー・サルート)

タイトルにTROOPER(騎兵)とある通り、軍隊の行進の雰囲気を持つ曲です。私がこの曲を初めてやったのは小5の時(1986年)だったのですが、かなり息が長い曲で、中・高でもやりましたし、2010年を過ぎてもどこかの団体で使われたりします。例えばこれ。

この曲は屋外パレード向きの曲で、汎用性が高いのが息が長い理由なのかなと思います。

5.Malaguena(マラゲーニャ)

原曲はスペイン組曲「アンダルシア」の6曲目です。コースタイルの名曲と言えばこれを外すことはできません。

今は一般人の方や、ドラムコーを知らない音楽家の方向けには「Blast!」の旗艦曲と言えば通じると思いますが、80~90年代ドラムコーを知ってる人ならば「DCIの古豪、Madison Scoutsの十八番」と言うはず!

人数が多いとはいえ、この迫力と疾走感を屋外フィールドで出してるんですよ彼らは!「Blast!」のMalaguenaも悪くはないんだけど、大人と子供くらいの違いがあります。

ちなみに「Blast!」の母体となったドラムコー「Star of Indiana」は、DCIでは一度もこの曲をやらないままDCIから撤退しています。その後どっかの管楽器団体との合同活動に失敗した後に「Blast!」を立ち上げて今に至るのですが、そこで過去に一度もやってなかったMalaguenaを採用し、Madison Scoutsから「十八番」の座を奪って世界中に認知させてしまいました。大人の世界って怖いな―と思います。

この曲、私は一度もやったことがないのです。小学生の頃は当然として、中高の母校でも1987年あたりまではよくやっていて、当時(小6の頃)からビデオも見ていたのですが・・・。一度はやってみたい曲です。ただ吹奏楽バージョンは上述の2つの動画に比べると「疾走感と迫力が消えただけの残念アレンジ」なので、コースタイルの譜面バージョンで、ですが。

6.Hands Across The Sea(海を越える握手)

最後はコースタイルではないですが、よくやってた1曲を。

中高マーチングと大学吹奏楽(某女子大エキストラ出演時)の両方でやった数少ない曲です。普通のクラシカルマーチではあるのですが、スネアは早くはないけどフラムタップが求められる比較的難易度が高い曲です。
こういう箇所です。(原曲版PDFから拝借)

え、なんでフラムタップが必要になるかって?手の動きがスマートに見えるからです。
ほとんどの吹奏楽団体はRrLRrLRrLRrL・・・("r"が装飾音)という手順でやっていますが、この手の動きだと右手(R)は符点4分音符+16分音符+4分休符の繰り返しの形になります。微妙にすき間が空くので右手が貧乏ゆすりのような見え方になります。みっともないったらありゃしない。
それを防ぐためにフラムタップの1拍ずらしでやります。RrLLlRRrLLlR・・・という手順です。こうすると右手と左手が3打ずつで入れ替わるので右手が忙しくなり過ぎないし、見た目がスマートになります。海外ではこういう奏法で演奏している団体もあるので探してみてください。

話がそれましたが、ポピュラーな曲だけあっていくつか細かいバージョンがあるようで、中高の時と大学では少し譜面が違ってました。中高のほうでやった版は原曲に近くて良かったのですが、大学でやった吹奏楽版はスネアのフラムタップが消えてたなど少し間が抜けたアレンジとなっていてやや残念でした。原作者のスーザはルーディメンツを整備した人の1人で、本来はフラムやドラッグ連発の譜面のはずなんだけど・・・ここらへんは「吹奏楽の普及」という名目で妙に簡易化した譜面を日本に輸入してしまうミュージックエイトあたりが悪いですかね。


他にも記憶の底から消えたものや記録が残ってないのもを含めると100曲くらいは紹介できるはずですが、いかんせんマニアックな世界なのでここらへんで止めておきます。多分ないと思うけど万が一追加リクエストがあったら追加で紹介します。

今回は以上。

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