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ぼくのかんがえたJリーグ強化プラン

ただの場末の1ファンの思い付きです。

問題提起:いまのJリーグは地域密着できていない

「地域密着」を掲げて1993年にスタートしたJリーグ。
それまでの日本のプロスポーツにはなかった概念を謳ってスタートしたことで、開幕当初は鹿島アントラーズ等を中心に「新しいプロスポーツの形」として持て囃されていました。

しかし、それから約30年。

いまのJリーグは「地域密着」出来ているでしょうか。

一部の地方クラブでは出来ているでしょう。ヴァンフォーレ甲府は2000年代の成功例の1つとして今でも取り上げられることがありますし、一昔前はホームタウンと犬猿の仲だった水戸ホーリーホックも「アツマーレ」の件など地域密着系の話がたびたび出るようになりました。

ですが、特に大都市、プロ野球の本拠地があるところで、「地元のJリーグクラブとプロ野球の球団、どちらが地域密着できているか?」というアンケートを仮にとってみたら、全ての地域でプロ野球の球団が優勢となるでしょう。私が住んでる横浜市で「マリノスとベイスターズどちらが地域密着できているか?」と聞かれてマリノスと答える人は少数でしょう。

また、本拠地にプロバスケのチームもあるブラウブリッツ秋田やFC琉球も、地域密着度でそのバスケチームに劣後していて、その結果集客に苦戦しています。同様にプロバスケのチームとホームタウンを共にするジェフ千葉は、集客は健闘しているものの、千葉市の小中学生におけるチーム認知度でバスケチームに追い抜かれたという調査結果が出てくるようになりました。
小中学生に対する認知度は地域密着のバロメーターの1つですので、Jクラブが後発だった秋田や琉球はまだしも、Jのオリジナル10だったジェフ千葉が後発のバスケチームに地域密着度で追い抜かれたという事実は重く見るべきです。

そして、Jリーグ黎明期に地域密着の成功例として持て囃されていた鹿島は、あまり観客動員が増えない中、気づけば県外サポが大半を占めるようになりました。つまり地元サポーターが去り、とても地域密着とは言い難い状況に変わってしまっています。
その結果、今年8月には茨城県知事からカシマスタジアム開催試合に限った無観客要請なるものも発出されました。表向きの理由は緊急事態宣言ですが、裏では間近に迫っていた茨城県知事選挙対策のために県民にアピールするためだったと言われています。もし鹿島が地域密着できてたら、地域住民の反感を買い選挙の足を引っ張りかねないこのような無観客要請を出すことは無かったでしょう。これは鹿島が地域密着できなくなっていたことを証明した出来事だったと思います。

Jリーグが打ち立てた「地域密着」戦略は、Jリーグならではの要素が皆無だったため、他のプロスポーツでも容易に真似できるものでした。今やどのプロスポーツ団体も地域密着戦略を立てて実行しています。プロ野球の読売ジャイアンツまでも東京都内の学校訪問を不定期に行っています
そのようにプロ野球やプロバスケなどが地域密着戦略を模倣した結果、Jリーグは地域密着度でそれらのスポーツに劣後してしまう事になりました。

では、なぜ地域密着で劣後してしまったのでしょうか。

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理由1:ホームゲーム数が少なく土日に集中

8割型これで説明できるでしょう。プロ野球は本拠地の試合が最低でも年に70試合、プロバスケも30試合+プレーオフ数試合はあります。

一方、Jリーグはだいたい20試合くらい。

試合興行を通じて地域の人達に所属選手たちの顔を見せる機会が多ければ多いほど、試合結果が報道される機会が多ければ多いほど地域密着度は上がります。少なければその分不利になります。当たり前ですよね。議員選挙における「辻立ち」の重要性と似ています。

また、平日の試合がほとんどないのも痛いです。観客動員面では平日開催は不利ですが、職場や学校といった一般人が平日日中帯を過ごす場所で話題にし、新規客を取り込みやすくするためには平日開催が不可欠です。
1993年のJリーグ開幕年は水曜開催があったので、毎週水曜日になると「今日はJリーグの日だね」という会話が筆者の通ってた学校(高校)の中で頻繁にあったのを鮮明に覚えています。

土日開催だけだと、こういう会話が成り立ちません。自然と新規客を取り込みづらくなります。だから最近のJリーグも「金J」なるものをやっているわけで、実際金曜日の試合は新規客の割合が他の日よりも高いというデータもあります。

ホームゲーム数の少なさに話を戻しますと、少ないことでどういう弊害が起きるかと言うと、「地域の人達から仲間意識を持たれづらくなる」と言う点が挙げられます。少し考えてみてください。ほぼ毎日顔を合わせる人と、2週間に1回しか姿を見ない人、どちらを「仲間」とみなせますか?後者と回答する人が居たら話を聞いてみたいです。

たまにしか姿を見ない人は良くて「お客さん」ポジションにしかなりません。大半のJクラブは、その本拠地住民からは「地域の代表」ではなく、「たまに地元でイベントをやってるイベント業者」くらいにしか見られていないのではと思います。

そうなると何が起きるか。

不祥事報道に弱くなります。

同じ不祥事報道でも、「仲間の不祥事」を知りたがる人はあまりいません。例えば日々顔を合わせる会社の同僚や学校の友人の不祥事の詳細、どれだけ興味がありますか?あまりないどころか、むしろ「知りたくない」と思う方の方が多いのではないでしょうか。仲間の不祥事を聞いても良い気分になることはありません。

一方、仲間ではない「イベント業者」の不祥事に対してはどうでしょうか?抵抗なく情報を取り入れてしまうでしょう。

今年、あるプロ野球OBの人が「プロ野球選手に清廉さは求められていない」という発言をして物議を醸していましたが、その真因は、ほぼ毎日試合をやることによって、ファンからは仲間意識を持たれるため、不祥事報道に対するニーズがゼロどころかマイナス(拒否感がある状態)になります。だからプロ野球の不祥事はあまり大きく報道されません。

一方、Jリーグはそうではないので、仲間意識が持たれづらく、不祥事報道のニーズが常にある状態になります。だから、ちょっとサポーターがやらかせば大々的に報道されてしまうし、選手がやらかしても大々的に報道されてしまいます。Jリーグ関連の不祥事報道がやたら行われやすいのは、こういう構造から来ているのです。


また、一昔前の広島や京都、最近では鈴鹿で「サッカースタジアム建設反対運動」が起きてますが、これも原因をたどれば、試合数が少ないことによる地域からの支持の少なさが本質となります。試合の開催数が多ければ、仲間意識が地域の中に出来て、そもそもこういう反対運動自体が起きなくなるはずです。彼らは試合開催数が多い野球場や屋内体育施設に対しては建設反対運動をしていないのですから。

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理由2:ホームチームがあまり勝てない

Jリーグは世界的にもホームとアウェイの差が少ないサッカーリーグと言われています。よく言えば公平なのですが、地域密着と言う観点では逆風になります。
地域の人達は自分達の「代表」「仲間」がスタジアムで頑張って結果を出す姿を見たいのであり、0-1で情けなく敗戦する姿を見たい人はいません。

あまり報道されていませんが、DeNA傘下になってから地域密着戦略を掲げて観客動員を倍増させたベイスターズは、ホームゲームの成績にかなりこだわっていました。2015年あたりは「土日のホームゲームの勝率9割」がスポーツ新聞の記事にもなっていたくらいですし(なお同時期の平日ホームゲームの勝率は4割くらい)、これは私の独自調査なのですが、「同日にマリノスのホームゲーム開催があるホームゲーム」でDeNAはマリノスの2倍近くの勝率を残しています。下表をご覧ください。

※2012-2019年にかけて、DeNA、マリノス(YFM)が同日に横浜でホームゲームを行った日の勝敗記録表。「DeNAが横浜以外の地でホームゲームを行った日」は含めない。

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敗戦数こそマリノスの方が少ないですが、スタジアムの雰囲気が最も良くなる勝利の回数では2倍近く違います。これはファンの人が第三者(所謂ご新規さん)をスタジアムに誘うにあたり、DeNAを選ぶ方がイベントとして楽しめる確率が2倍近く高いということを意味します。勝てなかった時のスタジアムの雰囲気はお世辞にも良いものではないですし。スタジアムデートするならマリノスよりもベイスターズの方が成功率高くなりますね。

また、この8年間のDeNAのホームゲーム全体の勝率は0.496(277勝282敗19分)なのですが、マリノスのホームゲームが同日の場合は勝率が1.3倍になります。自然体で勝率を1.3倍にすることは難しいので、DeNAは何らかの仕掛けを使って地域の人達に「ホームチームの勝利」という満足感、優越感をコンテンツとしてマリノスと比べて届けやすいようにしていたと言う事が分かります。

プロ野球は元々ホームチームが有利になるルールを敷いています。
ホーム側が「後攻」になることがそうです。
勝っていれば9回表の時点で試合を終えられ、負けていても9回裏があり、勝ち越した時点で「サヨナラ」として試合を終えられるというのは地域密着度を上げられるアドバンテージでもあります。
ちなみにプロ野球のホーム勝利のうち約15%は「サヨナラ勝ち」です。コロナ禍で9回打ち切りの2020年以降はサヨナラ勝ちがこれより減ってますが、その前までは毎年15~20%がサヨナラ勝ちとなってました。

一方、Jリーグは「終了間際にアウェイチームが勝ち越してそのまま試合終了」という「ホームのサヨナラ負け」ゲームが時々ありまして・・・これでは地域密着度は上がりません。

そして先述の通り試合数が少ないので、ちょっと勝てなくなるとすぐ「ホーム1か月以上未勝利」という状況に陥ります。プロ野球に例えたらホーム10連敗レベルの成績です。今年この状況に一度でも陥ったJ1のチームは鹿島、浦和、福岡、FC東京、札幌、C大阪、広島、G大阪、柏、清水、湘南、徳島、大分、仙台、横浜FCと実に15チームにも及びます。(注:代表期間による中断を考慮。例えば2週間空いた場合は「1.5か月以上」に伸ばして判定)

たまに「ホームの試合の結果に頼らない営業戦略を」と言い出すJリーグクラブのフロントが居ますが、現実的にはそんなの不可能です。いくらスタグルやイベントという「店の外装」を整えても、試合という「メインディッシュ」が不味ければ、地域の人はそっぽを向きます。

そして、その状況が続けば続くほど地域の人は存在を疎ましくすら思うようになります。とあるJ3クラブ(一時期J2に居て降格してそのまま)のホームタウン出身の人からこういう話を聞いたことがあります。

「○○(クラブ名)は、地元民は触れられたくない存在。弱すぎるから」

もはや存在自体がネガティブなものです。

揚げ句の果てに今年もどっかのJクラブでありましたが、勝てない状況に業を煮やしたサポーターがバス囲みとか試合後スタジアム居残りという迷惑行為に走ります。今年社会問題を起こしたヒップホップイベント「NAMIMONOGATARI」と何が違うのでしょうか?

月に2回しかホームゲームがなく、そのどちらかで勝たないと「ホームゲーム未勝利が1か月以上続く」という状態が常態化しやすいJリーグは、他競技と比べて地域密着しづらいどころか、地域の人達に嫌われやすいコンテンツであるとすら言えます。

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理由3.選手がすぐ居なくなる

Jリーグの選手は少し活躍するとすぐ上位のクラブに引き抜かれたり、海外に連れていかれることが常態化しています。選手個人の目線で見れば短期的には(ここ重要)悪いことではないのですが、これも地域密着と言う観点で見れば大きなハンデです。

プロ野球やバスケ、バレーボールなどの日本のプロスポーツは、1人の選手が何年も同じチームに所属して活躍することが常です。また、大相撲や競馬のように所属団体のことがほとんど表に出ない個人競技も盛んです。

日本のプロスポーツは「選手個人のファン」が付きやすく、それをきっかけに競技そのものに興味を持ってもらえる構造となっているのです。「スターシステム」とも揶揄される構造ですが、個人を覚える方が楽なのです。人は楽な方向に流れるものなので、このスターシステムは今後100年は続いていくでしょう。

そんな中、Jリーグはすぐに選手が居なくなりがちなので、せっかく特定の選手に興味を持ってもスタジアムに行こうと思ったころには移籍されてしまい、「知ってる人が居なくなった」という理由で興味を喪失・・・ということが常態化しています。

私はこれを「Jリーグは選手が地域密着していない」と表しています。

社会人の方なら分かると思いますが、自分自身と相対するメインの担当者が半年~1年でコロコロ変わってしまう取引先や団体があったらどう思うでしょうか。少なくとも良い印象は持ちませんよね。それどころか「この会社(団体)大丈夫なんだろうか」「自分達の事を軽く見ているんだろうか」と不信感すら湧きませんか?

選手(と代理人)視点では悪くない「活躍したらすぐ引き抜き」というのは、地域密着と言う観点ではダメージにしかならないのです。

解決案1:試合数を大幅に増やす

では、どうすればJリーグは再び地域密着できるようになるのか。
その1つ目として「試合数の大幅増加」を提唱します。

ホームゲームの数を最小で30試合(バスケと同じ)にします。1リーグのチーム数を16にして4回戦総当たりにすれば実現できます。
アウェイと合わせれば年間60試合となり、それにカップ戦やACLを加えれば70試合以上になることもありますが、サッカーの本場ブラジルではそれが普通です。(あちらは年100試合になるケースもあって問題になってますが)

欧州サッカーと比べるとナンセンスに見える考え方ですが、如何せん年間143試合+αのプロ野球、年間60試合+αのプロバスケ、年間90試合の大相撲などがある日本では、これらに近い試合数をこなせるようにならないと競技そのものへの認知度が上がりません。そして地域密着度も上がりません。

欧州のプロスポーツシーンにはプロ野球も大相撲もないのです

プロバスケはありますが、その多くはバルセロナFCなどプロサッカークラブの弟分的扱いです。競馬もありますが、庶民の遊びである日本と異なり、上級国民のたしなみです。日本と欧州は社会的な前提が大きく違っているので「欧州と比べて」というのがナンセンスです。

日程は過密になり、シーズン中の戦術練習があまりできなくなるというデメリットはありますが、試合数を増やすことで露出度が増えてスポンサーを集めやすくなり、その資金を元に所属選手数を増やすことで乗り切ることは可能ですし、ホームゲーム数の少なさが最大のネックになっていたスタジアム整備も進めやすくなります。

つまり、試合数を大幅に増やす→短期的には収入が増える→アクセスの良い立地に専用スタジアムを建てやすくなる→中長期では観客を大幅に増やせる→地域密着度が激増、というフローが実現可能となります。

それと、試合数を増やすことで「何か月もホーム未勝利」という事態が起きづらくなることも地味に見逃せません。2試合に1試合以上勝たないと「1か月ホーム未勝利」になっていたのが、4~5試合に1回勝てば良いことになるのですから。「次の試合がすぐあるから」という状況は、仮にホームゲームで負けても、スタジアムの雰囲気が荒れづらくなることに繋がります。つまり、試合数を増やすことでバス囲みなどのサポータートラブルも減らすことが出来るのです。

解決案2:「共感」を審判規則で明文化する

Jリーグのホーム成績が欧州と比べて低い理由の1つに「ジャッジの違い」が挙げられています。その真因を探り、解決していくのがホーム成績の向上につながります。

まず、Jリーグの審判は共感力が弱いと言われています。家本政明氏がコラムで自身の弱点として共感力を挙げていましたし、過去には2019年に起きたノーゴール誤審の時にも指摘されています。

共感って何でしょうか。言葉としては「他人の考え、主張、感情を、自分もその通りだと感じること。また、その気持。同感」と定義されています。
つまりその場に居る人達に心理上同調することです。

先述の家本氏のコラムでは、審判指導のために来日していたレイモンド・オリビエ氏から「スタジアムに共感しなさい」と言われたそうです。

スタジアムへの共感とは何でしょうか。
先の定義を使うと「スタジアムに居る人達の心理に同調する」ことです。

では、スタジアムに居る人達で大多数を占めるのは誰でしょうか。

地元に住んでいる、ホームチームのファン・サポーターです。

つまり、審判は「ホームチームのファン・サポーターにも共感せよ」とレイモンド氏は言っているのです。

共感することによって何が起きるか。

ジャッジが自然とホームチーム寄りになります。

大多数を占めるホームチームのファン・サポーターが有する「ホームチームが勝ってくれ」という想いに審判が共感し、それがジャッジに影響するからです。

ホームチームサポーターの想いに対する「理解」ではありません。「共感」です。理解と共感の違いは何か。それは「同調の有無」です。同調しないのが「理解」、同調するのが「共感」です。

つまり、審判はホームチームサポーターの想いに共感し、それがサポーターへの同調を産み、ホーム寄りのジャッジをすることに繋がります。

実際西欧のリーグの試合を見てみると、ホームチームとアウェイチームでジャッジの基準が違うことが普通にあります。アウェイチームはちょっと接触するとすぐファウルを吹かれますが、ホームチームは結構なボディコンタクトやラフプレーでもノーファウルになったりします。自然とホームチーム側は伸び伸びかつ大胆にプレーできるようになり、アウェイチームは笛を怖がりプレーの幅が狭まります。Jリーグでよく見られる現象として「なぜかホーム側が先に足が止まる」というのがありますが、これはジャッジがホーム側に厳しいことにより精神的・肉体的負荷に差があるためと思われます。

具体例を1つ出します。

10月1日のスコティッシュプレミアのセルティックvsリヴィングストンにおいて、古橋選手がペナルティエリアで相手DFに頭を殴られてPKを獲得したというシーンがありました。普通のラフプレーですのでPKは妥当です。
ところが、7日のダンディーFC戦では、同じように古橋選手が相手DFに殴られるというシーンがまた起きましたが、今度はファウルにすらなりませんでした。

「DFに殴られた」という共通点があるのに、方やPK、もう片方はノーファウル、客観的に見たら訳が分かりません。

しかし、この2試合の違いは「セルティックがホームかアウェイかによる違い」の一言で実は片づけられます。

1日(ホーム):殴られた瞬間ホームのサポーターが騒ぎ出し、審判がそれに共感してPKを与えた。
7日:アウェイ選手が殴られても誰も騒がず、その静寂に共感したためノーファウルで流した。

こういうジャッジの差異の結果、欧州のサッカーリーグではホームチームの勝率が非常に高くなります。日本のJリーグが年によってはホームチームが負け越しているなどホーム成績が芳しくないのとは雲泥の差です。

一方でJリーグの審判は共感力に欠けているどころか、ホームチーム側の客の心理を理解すらせず、スタジアムと「対決」しているような審判もいます。対話する主審はだいぶ増えてきましたが、いまだ対話能力に欠け、上から選手や観客を押さえつけようとする「対決型」審判も少なくありません。現役では2020年に担当試合でホーム2勝9分8敗・平均勝ち点0.79というJリーグワースト記録を出しホームクラッシャーとして地位を確立してしまった池内明彦氏、OBでは奥谷彰男氏や岡田正義氏などが典型例でしょう。

最近引退を発表した村上伸次氏についても引退発表コメントが「選手とスタッフ」にしか言及していなかった事実を見るに、Jリーグの審判は総じてスタジアムとお客さんの事は軽視していることが伺えます。そしてこのツイート、正直感心しませんね。

「屈する事なく」って・・・いろいろ批判を浴びてきた方なので気持ちは分かりますが、こんなこと公言しちゃダメです。「ぼくはサッカー界の人達と対決してきました!」と自白しているようなものです。せっかく良くなってきたと思ってたのに、根本的なところは変わらずか・・・。

このような審判は、「地域密着」の邪魔にしかなりません。そこらの草サッカーや企業内サークル活動の枠内に押しとどめるべきであり、地域密着を掲げているプロスポーツの試合に出すべきではありません。

そういう審判を興行から排除するために「スタジアムに共感すること」を審判規則に明文化する。欧州のサッカーリーグでは明文化までは行ってないと思いますが、日本は「書いていないことはやらない」という国民性を有してますので、明文化まで踏み切ることが重要です。また、Jリーグの審判が出来る1級審判員の試験で共感力を試すようにするのも良いでしょう(具体的には、企業の昇進試験でよくある「部下や同僚との面談テスト」を課して共感力を図る、など)。共感力に欠ける審判は2級から上に上がらないようにするのです。

これだけでホームチームの成績は劇的にアップするでしょう。そしてホームチームの好成績は、顧客満足度とスタジアムの雰囲気の向上とトラブルの撲滅を通じて、地域密着度の向上に劇的に寄与することになります。

解決案3.FA制度の導入

選手の移籍を制限する制度の導入です。J1なら3年、J2以下なら2年分の出場時間を記録するまでは選手の意思で自由に移籍できないようにするなどが考えられます。

これにより、「活躍する選手がすぐ居なくなる」という、地域密着に逆行する事態の多発は押さえられます。代償として選手の海外移籍が激減することになりますが、今のような「少し活躍するとすぐ海外に移籍される」状態が長続きできるとは思えません。若年層の海外移籍が頻発してチーム力がガタ落ちし、全盛期のポゼッションサッカーから縦ポンカウンターサッカーに変貌せざるを得なくなったガンバ大阪が好例です。

今の移籍ルールでチーム力を維持する施策としては、海外移籍されづらい大卒選手を中心に獲得してチーム力を上げて近年トップを走っている川崎フロンターレが挙げられますが、川崎はACLで成績を残せてません。2021年は途中で三笘、田中碧両選手が引き抜かれたことが響いてしまいました。今の自由な移籍ルールこそ、Jクラブが日本限定になってしまっている元凶ではないでしょうか。

なので、移籍に強い制限をかけることで、地域密着度を上げるだけでなく、Jクラブの世界的な地力強化も目論むのです。制限がかかれば、海外クラブは真に必要な日本人選手しか引き抜かなくなるでしょうから、Jクラブの空洞化が最小限に抑えられます。

今の猫も杓子も海外という流れには逆行しますが、地域密着の足かせとなっているこの流れの是非は一度Jリーグ全体で議論すべきではないでしょうか。

おわりに

ここで書いた改善案は1個人の机上の空論にしか過ぎないでしょうが、Jリーグが掲げている「地域密着」は、いま岐路に立たされていると思います。

今年の10月には「ホームタウン活動区域外のマーケティング活動の規制緩和」がリーグから打ち出されるなど、現場のクラブの方々は日々今後どうしていくかを議論されているとは思いますが、その議論の前提事項として「地域密着が上手くいってるとは言えない」という共通認識を、議論している方々に持って欲しいです。
現状認識を正しく行うことが、改善の第一歩なのですから。

以上です。

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