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知らない街の片隅で。

何か特別用事があったわけでもない。
ただなんと無く、新幹線に乗りたかった。
でもそれだけではなんか罪悪感。もう一つ理由が欲しい。

先日、宇都宮に行って餃子を食べた。
宇都宮といえば餃子が有名だけど、2022年の年間消費量は2位だった。
1位はというと、静岡県の浜松市だった。
「そうだ、餃子食べに行こう。」
縁もゆかりもない街だが、ちょっと新幹線で遠くへ行く理由としては十分だった。
もっとマシなお金の使い方をしろと言われそうだが、やろうと思ってしまった行動はもう止められない。
時刻は15時過ぎ。これから西へ向かい、しかも日帰りで帰ってくるんだから時間としては遅すぎる。でもいいんだ。新幹線に乗れれば。

気づけばスマートEXのアプリで東京から浜松までの自由席特急券を買っていた。
駅の券売機や窓口に並ばなくても、どこでも切符を買えてしまう。
前もって買えばこっちの方が安いし良いことしかないが、いつでもふと買えてしまう便利さが逆に怖い。

たまたま18番線に止まっているこだま737号に乗車し、浜松を目指す。
東海道新幹線の沿線は、親戚縁者が住んでいる訳でもないので、乗る機会があるとしたらもっぱら旅に出る時。
ちょっと駅弁なんか買ってでも乗ったら、準備万端だ。

最近、スマホを新しくした。iPhone 14 Pro Max、あのカメラとサイズが超でかいやつ。
動画のカメラとして買ったこともあり、もっぱら動画を撮っていたらあっという間に浜松に着いた。

浜松で降りたのは多分7年前。大学時代に青春18きっぷで広島を目指していた時、その日の移動の限界で駅近くの快活クラブに泊まったくらいだ。
寝るだけだったので、名物の餃子なんか食べてもいない。それどころか、当時は餃子が名物で宇都宮と争っているなんて知らなかったと思う。
旅行中の食べ物はコンビニで済ませていた。食にはとにかく無頓着だったと思う。

どうせ食べるなら王道がいい。Googleマップで下調べしていた駅近くの餃子店に行くことにした。
店の前に結構な行列ができていてビックリした。正直なめていた。
餃子は食べやすいサイズで、何個でも食べられる気がした。

餃子を食べた後は、特にやることもないので駅のスタバで本を読んだり、撮った動画をパソコンに取り込んで編集したりと、別に東京にいてもできることばかりやっていた。
繰り返しになるが、浜松に来た理由はただ、新幹線に乗りたかったのと、餃子を食べに来ただけだ。それ以上でもそれ以下でもない。

別に東京にも美味い餃子の店は山ほどあるが、別にいいじゃないか。そう自分自身を納得させ、帰りのひかり668号に乗り込み、帰路についた。

縁もゆかりもない遠くの街へ行くときに使う特別な存在、東海道新幹線。
ちょっとその距離感が縮まったかなと思えただけで、今回は儲けもんだったかな。


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