賞与込のリスク
久しぶりに日本で就活したときに条件面で賞与のことを考えることがあって、気付きがあったのでだらだらメモ。
「年収(賞与込)」vs「年収(賞与なし)」
3つの企業からオファーが出てそれぞれ下記の内容だとする。
A社:年収700(賞与込)
B社:年収700(賞与なし)
C社:年収700(賞与別)
C社は賞与が別途支払われるのでこの中では一番条件がいいことになる。問題なのはA社とB社の2つを同列に扱っていいのか?という点。
自分の考えとしては、「AとBでは、Bのほうが条件が良い」と考える。
賞与は減額・消滅の可能性がある
就労契約書などに賞与について記載があるが、おそらく下記のような事項が書かれている。
賞与は年にX回支払われ、その金額はその年・月の業績に連動する。ただし、業績次第によっては賞与の支払いがないこともある。
一般的に、日本の就労条件は労働者に優位にされており会社都合でベースサラリーを下げるのはそれなりにハードルが高い。ただし、賞与については業績との連動などが理由としてカットが行われやすい。
それならA社の年収はどう考える?
そもそも、保証されていない金額を年収として捉えるのはそれなりにリスクがあるので、賞与を年収として考えずにもう少し解像度高くA社の条件を考えると下記のように考えるとよいと思ってる。
A社:年収600
賞与は100万前後。
ただし、ゼロになるリスクがあり。
業績が良ければ少し上がる可能性があり。
「ゼロになる可能性」については、議論の余地はたしかにあっていくら業績が悪いからといってそこまで下げるか?という点はあるが、とはいえ契約書に支払われないことが明記されている以上はゼロになる可能性は考えるのはリスクヘッジとして当然かと思う。
そして、「ゼロになる可能性」があるなら、期待値として逆の方向にも跳ね上がってほしいところ。だが、ボーナスが倍になったなんて話を聞くことはほぼない。業績が良かったから、とボーナスがあがっても数万円上乗せくらいのレベル。
それなら「ゼロになる可能性がある」と「上がっても少し」という変数が賞与なら、そもそも「賞与のベース金額」が高くないと期待値のつり合いが取れないのではないかなと思う。
つまり、先程のAとBで下記くらいだとバランスが取れるのかなと思う。
A社:年収750(賞与込)(例: 650+100)
B社:年収700(賞与なし)
ここの金額については、個人差はかなりあると思っているが大事なのは納得感を自分の中で持つことだと思う。
とはいえ、ボーナスカットが発生したら具体的にどういうダメージがあるかをキチンと理解しないと納得感も得られないのでここについてもう少し深掘りする。
ボーナスカットの弊害
ボーナスカットの弊害について整理する。
1つ目は、そのままで得られる金額が減ること。これについてはそこまで言及することはないかと思うが、その年の収入が削られる。
また、現代の会社員はたいてい余剰資金を投資にまわしていると思うので、つまりは投資金額が減ることになる。これは複利で得られる金額を考えると額面通り以上の金額が減ることになるわけだ。
具体的に、たとえばボーナス5万円カットだとして、20年3%利回りだとしたら、50,000円 *3% * 20年 = 90,000円となるので実質は9万円のカットということになる。ちなみに、利回り設定を低めに見積もってるので実際はもっと高い金額を失うことになる。
2つ目は、転職時にベアアップの観点で超不利になること。日本の転職スタイルとして、良くも悪くも前職の年収と比較して新しいポジションの年収が査定されやすい。例えば、前職が700万だったので転職先の交渉では750~800と交渉も進めやすいし、相手側の企業もそういう慣例から前職を目安にしてくる。
ここで、ボーナスを年収の当てとしていて、かつカットが発生すると年収がそのまま減るわけで、転職するときにベアアップするハードルが上がってしまうことになる。
会社員として、給与面で右肩上がりにしていきたい場合は「いかに転職によるベアアップを繰り返すか」が大事になるわけで、つまり「数年働く⇒転職してベアアップ」のサイクルをいかにうまく回すかとなる。だが、ボーナスカットを受けるとこのサイクル0.5〜1回分がなくなるだけのダメージを受けるわけで、それは数年スパンのロスと考えてもいいと思う。
その他として、ボーナスカット自体の特性としてコントロール不能という特性を持ってる点についても考慮しておく必要があるかと思う。
つまり「あなたは頑張ったけど、会社の業績が悪かったからボーナスカットね」みたいなケースもあるということ。
おわりに
賞与リスクとかでググってもあまりこういう考えが見つけられなかったのでメモとして残しておく。
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