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「○○じゃないと××できない」は信じないことにする

中学生くらいの頃、私にはやってみたい仕事がありました。
そのことを友達の花子(仮名)に言うと、「え~~!それってすっごく頭がよくて、いい大学出ないとなれないんでしょ?」と言われたんです。
それを聞いた私は、「あ、そうなの?私アホだから無理だわ~!」と思ってあっさりあきらめてしまいました。

しかし、約10年後、当時のクラスメイトがその職業についていたんです。
その子はそこまで成績がよかったわけでも、ものすごくよい大学を出ていたわけでもなかったと思います(はい失礼ですね、すみません)。

そのとき、最初に思ったのは、

花子~~~~話が違うじゃねえか!!!

でしたが、悪いのはもちろん花子ではなく、花子の根拠不明な話をうのみにした私です、はい。

今、件の職業にそこまで関心はないのですが、この歳になっても未だに「ああ、私はあの仕事には就くことができなかった、というかスタートラインに立とうともしなかったんだなーバカバカ」と残念に思うことがあります。

ときどき、知〇袋や業界関係のFBページなどで、「翻訳者/通訳者になりたいのですがどうしたらいいですか?」といった相談を見ることがあります。
回答を見ると、けっこーーーーな割合で、なんというか、質問者に「こんな質問をした私がバカでした、ごめんなさい。生まれるところからやり直します」とでも思わせたいのかなと思うような回答があり、心が痛むことがあるんです。

TOEICは〇点です、という方に、「そんな点数でできるとでもおもってるんですかァ?」と言わんばかりの回答や、、、

子育てで前の仕事をやめたけど、翻訳者/通訳者として好きな英語を生かしたい、という方に「片手間でできる仕事じゃありませんよォ~」とか、、、

なんだろう、おっしゃる通りなのかもしれないし、そんなに楽でオイシイ仕事じゃないし、そもそも業界の見通しもピーカンの晴れっ!Join us!とは言えないですが、、、

そんなに寄ってたかって人の夢クラッシュする必要ある?

と思うことも多々あるのです。
もちろん、とても親身になって有益なアドバイスをくださる方もたくさんいますよ!私もそういうアドバイスのおかげで今があります!

そこまで辛辣な言い方でなくても、著名な方も含めて同業の方々が
「〇年やってXXできないくらいなら、もうやめたほうがいいです」
「○○な人はこの仕事に向いている・向いていない」
「〇歳以降になると厳しいと思います」
といった「条件」を色々発信されているのを未だについつい見ては、一喜一憂してしまうことがあります。

きっと、ご自身や周りの方々を見て、それぞれたどり着いた結論で、傾聴すべき価値のある発言だとは思うのですが、でも、

その発言をした人と私は同じ人間ではない

と思うんです。
ご本人は、きっと一生懸命その条件をクリアできるように努力してこられたんだろうなぁとは思うのですが、その条件がクリアできない=ダメ、では決してないと思うんです。

そして、その条件はたとえ今はメジャーな考え方であっても、時代とともに変わると思うんです。

放送通訳者の草分け的存在である新崎隆子さんも著書「通訳席から世界が見える」の中で、新崎さんが通訳を勉強し始めた当時は、25歳を過ぎると通訳者になるのは厳しいと考えられていた、という記述がありました(ちなみに新崎さんが勉強を始めたのは31歳)。

しかし、数年前に通訳学校の先生から聞いたところ、通訳学校に通う生徒さんの平均年齢は35歳(その先生の感覚値ですが)くらいで、20代はむしろ少ないとのことでした。
これまで一緒に通訳・翻訳勉強した方々には、50代、60代くらいと思しき方もたくさんいらっしゃったので、私の感覚でもそのくらいではないかなと思います。

新崎さんをはじめ、いろんな方が当時言われていたいろいろな「条件」に挑戦し、実績を残すことでどんどん「条件」や「常識」が塗り替えられていったのではないかなと思います。

であれば、後進のためにも(というか私まだ新人ですが・・・)、たとえどんな通翻訳界の大家がおっしゃることであってもうのみにせず、むしろprove them wrong(その考えが間違っていたことを証明してやろう)と誰に向けているのか分からない、密かな闘争心を燃やしている今日この頃です。

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