私はただ、「生きてる~!」って叫びたいだけだったんで』大鈴佳花(サンマーク出版)を読む

タイトルに惹かれ、衝動買いした本を読み終えました。

アマゾンの書籍紹介文
月間ブログアクセス56万!
大人気ブロガーによる「生きてる実感」が手に入る、実用エンタメ小説。
寝たきりになった主人公が
ベッドの上で見つけた半径0メートルの幸福論とは?

「生き方を変えるのに、一歩も必要ないから! 」

これは、お金も、仕事も、恋愛だって
それなりにうまくいっていたのに、
どこか虚しさを抱えながら生きていた主人公が、
「生きてる〜! 」と、
心の底から叫べるようになるまでの物語です。

 アマゾンで注文し家に届いた本書を見たとき、「失敗した。私はターゲットじゃない」と焦りました。明らかに20代女性向けの装丁だったのです。

 とはいえ、折角だからとイントロダクションを読み始めた瞬間もう止まらず、一気に最後まで読み通していました。しかも、途中、涙まみれになりながら。

「何てことを言うんだ、まだ若いのに。どうして私の心を抉る言葉を、そんなに次から次へと吐けるんだ。」何度そう思ったことでしょう。

中でもご紹介したい言葉が3つあります。

(1)「相手に結果を求めないで、あなたがこの人生でベストを尽くす。あなたにこれをしてあげたんだからこういう反応をしてほしいとか、ベストを尽くすとそんなことどうでもよくなる。そもそも相手に何かいい変化を期待しているうちは、本当にベストを尽くしているとは言えない。本当にベストを尽くしているときは、そこに相手の反応も結果も求めていない」

 ちょうど私は、「ある人のためにあれもやった、これもやった、それなのにどうしてもっと私に感謝してくれないんだ」と不満に思っていたところでした。上記の言葉は、私に冷水を浴びせ、目を覚まさせてくれました。「私は本当にベストを尽くしたのか。これ以上できないほどやったのか。もっともっとできること、やるべきことがあるのではないか。そうなんです。この程度で偉そうにしてはいけない」。私はあらためてベストを尽くすことを誓ったのです。

(2)「本当の意味での出世や成功は全くはしたないことではない。むしろ、どんどん目指すべき。だって、成功や出世は、自分ひとりのためではなく、他人のためにするものだから。成功とは物事を目的通りに成し遂げること、出世とは世の中に出て世の中のために役立つこと」

 私は、2021年『広告費ゼロ!プレスリリースを活用して、勝手に売れていく必勝方程式』という書籍を上梓しました。早速、広報関係者からネガティブな反応をいただきました。
「広報は、売るための手段ではない。社会におけるグッドウイルを醸成するためのものだ。『勝手に売れていく」という表現は、広報を活動を侮辱するものだ』と言われました。

 私は唖然としました。そもそも商品が売れるということは、消費者が自分の役に立つと思って買うということです。つまり、商品価値があるから、世の中の役に立つから、売れるのです。説明が言葉足らずで誤解を招いたのは私の責任ですが、私は「商品価値のないものをプレスリリースを使って消費者をだまして売り込むやり方がある」と言っているわけではありません。世の中の役に立つ商品価値がキチンと伝わるようにプレスリリースを作れば、「勝手に売れていく」と言っているのです。前述のように否定的な指摘をする方は、タイトルだけ見て感情的に反発しているようですので、ぜひご一読いただいてから批判していただきたいと思っています。

 とにもかくにも、「出世」は決して悪いことではないというご指摘に、私は、全面的に賛成です。自分の肩書として、「商品出世プロデューサー」を名乗っているくらいです。世のため人のためになる商品(サービス、企業)を世に出し、「世間善し、買い手良し、メディア好し、最後に売りて佳しの四方よし」を実現する、それが私の願いなのです。

(3)「敵は他人じゃなく、自分。誰かを超えるのではなく、誰かと競うのではなく、自分を超える、超え続ける。その境地に立ったとき、競い合う世界から脱出できる。周りが年収2000万円だろうが、3000万円だろうが、自分を超え続けることだけが目標の人にとって、そんな数字はどうでもよい。自分の道を極め続けた人、それが本当のトップ」

 皆さんも薄々気づいていたのではないでしょうか。私も、もしかしたらそうじゃないかと思っていました。

「お金は必要。でもお金で生きている実感は買えない」

 私がかつて受講していた講座では、「年収3000万円を目指そう。そのためには~」と、ノウハウを教えていました。そして、正直に言いますと、(深く接触したわけではないので、本当は違うのかもしれませんが)、あまり人間的に尊敬できないと感じた方々が、その卒業生のコミュニティ内で、成功者として自身のノウハウを語っていました。私はそこに強烈な違和感を感じていました。もちろん、そのコミュニティの名誉のために付け加えておきますと、利他の精神に満ち溢れ、敬意を持たずにはいられない方々もたくさんおられます。あくまで人としてお付き合いしたくない人はごく一部です。その人たちが、善意の仲間を毒することがないことを心から祈っています。

 一方で、大して儲からないのに、世の中のお困りごとを解決するため、走り回っている人たちがいます。私はそんな人々を見ていると、アフガニスタンで砂漠に川を引いてきて農地を作りだし、テロの銃弾に倒れた今も現地の人々に慕われている中村哲さんという方のことを思い出すのです。この人たちはお金は大して持っていない、間違いなく年収は3000万円をはるかに下回るでしょう。でも、きっとその心の中は豊かに満たされているのではないか。目の前の困っている人たちを救うために奔走しつつ、魂にご馳走をいただいているのではないか。

 本書は、次の言葉で結ばれています。

「だって一度きりの人生、生きてる実感、欲しくない?」
(了)

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