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中島翔哉と言うサッカー小僧

はじめに

中島翔哉は不思議な選手だ。試合中は笑顔を絶やさない。相手が誰であろうと自分のしたいプレーをする。試合中にリフティングをしながらドリブルしたりすることもあった。「楽しむ」と言う言葉を口にする。時々、20年前からきた選手なのではないかと思う。あるいは漫画から出てきたサッカー選手だと思ってしまう。

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創造性あふれるプレーする選手でも、組織的な守備に参加することを求められている現代サッカー。中島のプレースタイルは、結果が出ない時期にはただの自己中な選手というレッテルを貼られることもある。事実、ロシアW杯のメンバーに選ばれなかった。当時の中島のプレースタイルを許容できるほど代表チームに余裕がなかったのが原因だろう。

現実では型破りで、昔の漫画のキャラクターみたいな王道をゆく選手。

僕はプレー面で彼のことを詳しく解説する事は苦手だ。全部のプレーを見ていたら頭が混乱する。キャリアの数字だって覚えることが苦手だ。だから今回は中島についていくつか独自の視点で紹介したい。

ブラジル留学

キングカズ、漫画のキャラクターでは大空翼、そして中島、三人ともブラジルにサッカー留学をしたことがあるし、それがプレースタイルに大きな影響を与えた。(そういえば、上記の3人ともドライブシュート(縦回転がかかったシュート)が得意だ。)今ブラジルにサッカー留学する人はどのくらいいるのかわからないが、ほんの一昔前まではサッカー留学としてブラジルに武者修行する選手が多かった。

中島は、ロナウジーニョに憧れ中学校の3年間で4度も彼の母国であるブラジルに渡航した。実際、日本でもポルトガル語の塾に通っていたそうなので、ポルトガルに移籍する際は言語面で気が楽だったのではないだろうか。

私もブラジルのサッカーが好きだが最近はあまり昔のような創造性あふれる選手が減った(人それぞれ意見があると思うけど)。ブラジルの有望な若手選手は育成年代の時から既にヨーロッパのクラブから破格の待遇で引き抜かれてしまう。そのため、ユース年代でブラジル流の指導を受けない選手が増えてきた。玄人好みのような走れるし、守備にも組織的に参加出来るブラジルの選手も好きだがロナウジーニョのように華麗なテクニックを使う選手が減ったのは少し寂しい。

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リオ五輪、そしてコパ・アメリカでは日本代表の10番としてブラジルでプレーした中島。子供の頃から憧れ続けたブラジルの地で100点満点とは言えないが彼らしいプレーを随所で披露した。

身長

身長は超小柄で164cmだ。身長165cm未満の選手で日本のA代表に定着した選手は中島以外全くいない(少なくとも僕の認識では。)サッカーは比較的他の球技と比較すると背の低い選手でもスター選手になれる。しかし、小柄だと言われても大体は170cmぐらいの背丈はある。サッカーの王様ペレもそうだし、メッシだって少年時代に成長ホルモン分泌障害に関する治療を受けながら170cmまで背が伸びた。

FWは小柄でもいいというが、やはり現代サッカーの第一線に行くとどうしても170cmぐらいは欲しい。現代のサッカーでは高身長の選手が増えているからだ。サイドバックですら身長が175cm以上ある人が増えている。FC東京の元チームメイトであり、現在ハノーファでプレーする同ポジションの室屋も176cmはある。

ヨーロッパに目を向けると165cm以下で世界の最前線で活躍しているのはイタリア代表のインシーニェぐらいしかいない。日本代表の攻撃的な役割を担う選手のほとんどがヨーロッパの上位リーグにいることを考えると、超小柄な中島はヨーロッパでも日本代表でも相当稀有である。

苦労人

あまりこういうことを書きたい性分ではないが、彼はハングリー精神が凄い。苦労している家族を助けるため彼は少年時代、サッカーに打ち込んだ。まるで大空翼のライバルである日向みたいだ。東京のベッドタウン八王子の都営団地で母と共に生活。彼女は勤め先の倒産などに遭いながらも借金してまで中島に惜しみなく投資した。中島は、その後プロサッカー選手になり2016年には都内一戸建てを母のために購入した。

ボールは友達

私もnoteを書くために調べていて本当に驚いた。まさに大空翼君の生き写しだ。小学校にボールを持っていくのはまだわかる。中島は、なんと授業中もボールを触っていたという。見かねてボールを取り上げた先生から奪い返していたとか、21世紀にも入ってそんなサッカー小僧がいるとは思わなかった。小学校時代は従弟の小池龍太(現横浜F・マリノス)と行動を共にしたという。休みの日にも小池と一緒に校庭に侵入してサッカーをしたので、何度も職員室に呼び出されたという。

某番組で、浦和レッズの槙野が中島の代表でのエピソードを語ったが、ホテルに行って休まなければいけない時間でも、空いた時間にサッカーをやるために公園に行くそう。代表の中心選手になっても、彼はずっーとサッカー小僧だ。(このエピソードを聞くと、なぜか草場先生の作品であるファンタジスタの登場人物マルコを思い出す。)

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最後に

みんなは、漫画のキャラクターが現実に存在するならばと考えた事はあるだろうか?まあ、実際は現実にいたらかなり目立っちゃうだろうと思う。ただし、同時に漫画のようなキャラクターが現実にいたら世の中は少しでも面白くなると思う。

小さくて可愛らしくて、ハングリー精神を持ちながら、いつでも楽しそうにプレーするサッカー選手なのが中島翔哉だ。彼がどこまでいくか楽しみである。

画像引用元

ゲキサカ

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参考文献

「中島翔哉の原点は南米 涙の訴えで留学延長の過去も」 日刊スポーツ 2019年

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