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1000日チャレンジ 457日目 TAAC公演「人生が、はじまらない」観劇記録

ゴールまで543日

★BMI:24.1

★TAAC公演「人生が、はじまらない」
作・演出 タカイアキフミ​
CAST;安西慎太郎、南川泰規、清水 優、齋藤明里、富川一人、猪俣三四郎、難波なう、七味まゆ味
@新宿シアタートップス 2022.8.6夜公演(上演時間;約110分)

◎初めてのTAAC公演で初めての新宿シアタートップスでの観劇。Youtubeチャンネル”ほんタメ”に出演している齋藤明里さんが好きになって、初めて舞台を観に行くことにした。最近は大ホールでの観劇が続いていたので、155席の小ぶりな劇場は久しぶり。
★お話は、実際にあった事件を下敷きに、ネグレクトされて育った子供たちのその後を描いたもの。キーワードは、”傍観者”。
・大人になった時点の役の役者さんたちが、過去の回想(雑誌記者によるもの)にあわせて少年時代も演じるのだが、皆さん、違和感なくみせていてすばらしかった。
・少年時代に置き去りにされて育った兄弟姉妹4人が、その暮らしの中で遭遇してしまう事件がカギになる。その事件に関与したものと傍観していたもの。それぞれにその過去を抱えて20年が過ぎた。
・そして、このお芝居の”現在”から遡ること3年前に、もう一つの事件が起きていたことがわかる。最終盤で、かつての傍観者だったものが、そのことを引きずって生きてきた結果、当事者として新たな事件に関与したという告白がなされる。ただ、この告白も真実なのか?観終わった後でも私には疑問として残っている。実は、事件に関わったのではなく、告白という行為で当事者となろうとしているのではないのか。
☆数年前に、震災時に少年時代を過ごした人たちのその後を描いた朝ドラ「おかえりモネ」の中で、印象に残るシーンがあった。被災地出身ではないヒロインの同僚(今田美桜さん)が、「私には何もない。ハッピーに過ごしてきたから。」と告白する。被災経験のある人は、それをバネにしているが、そういうのは自分には無いからだめなんだという意味。しかし、ヒロインもまた、地震発生時に自宅にはおらず、同じような「傍観者」となってしまったことへの負い目を引きずっていた、というお話だった。
★同じ環境に生きていても、個人個人で受けとめた”経験”は異なっている。当事者なのか傍観者なのか、実はそこには大きな違いはないのかもしれない。
・今回のお芝居でも、長女は少年時代の事件の際には、「寝たふり」をしていたと告白する。だから自分も傍観者だったのだと。程度に差はあっても、どこの家でも年上の兄弟姉妹のいる人間にありがちなことでもあると思う。私もそうだった。兄が親に叱られているのを、”寝たふり”をしてやり過ごしたりしていた。
◎とても丁寧に真摯に作られた作品だと思う。役者さんたちも、みんな良かった。コロナ禍でもこういうお芝居を届けてくれることに感謝したい。そして、こういう良質なお芝居が興行としても、しっかり成功していけるような文化であって欲しいと願う。

☆齋藤明里(あかりん)、生で初めて観たが、とても美しかった。そして、終盤でセリフのないところでの、怯えというか小さく震えて聞いているところ、とても印象に残った。また、別のお芝居でも観てみたい俳優さん。

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