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東急シアターオーブ マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』観劇記録(一部ネタバレあり)

【日時】2024年4月17日(水)19:00開演
【会場】東急シアターオーブ
【原作】 ウィリアム・シェイクスピア
【音楽】 セルゲイ・プロコフィエフ
【演出・振付】 マシュー・ボーン
【出演】
ロミオ … パリス・フィッツパトリック / ジャクソン・フィッシュ / ロリー・マクラウド
ジュリエット … モニーク・ジョナス / ハンナ・クレマー / ブライオニー・ペニントン
ティボルト … マシュー・エイモス / キャメロン・フリン / ダニー・ルーベンス / アダム・ガルブレイス
マキューシオ … キャメロン・フリン / ロリー・マクラウド / ハリー・オンドラック-ライト
ベンヴォーリオ … アダム・デイヴィース / キャメロン・フリン / ユアン・ガレット/ ロリー・マクラウド
【美術・衣裳】 レズ・ブラザーストン
【照明】 ポール・コンスタブル
【音響】 ポール・グルースイス
【オーケストレーション】 テリー・デイヴィス
【主催】 ホリプロ/TBS/BS-TBS
【企画制作】 ホリプロ
【後援】 ブリティッシュ・カウンシル/TBSラジオ
(以下、公式web siteからの引用)
「白鳥を男性ダンサーたちが演じた『白鳥の湖』など、古典を大胆な解釈で再構築してきた英国の鬼才マシュー・ボーンが2019年世に放ったのは、言わずとしれたシェイクスピア悲劇の名作「ロミオとジュリエット」。ストレートプレイはもちろん、ケネス・マクミラン振付によるクラシックバレエの名作、そしてミュージカルも人気を博した「ロミオとジュリエット」は“マシュー・ボーン・マジック”によって人々の期待を裏切らないスリリングでスタイリッシュな作品として大ヒットとなった。
クラシックバレエ版と同じくプロコフィエフの音楽を使いながら、もちろんただの「ロミオとジュリエット」ではない。舞台は14世紀のイタリアではなく、近未来。反抗的な若者たちの矯正施設“ヴェローナ・インスティテュート”で物語は繰り広げられる。対立するモンタギュー家とキャピュレット家という存在は無いが、理不尽な抑圧の中で若者たちが抱える生きづらさは共通のテーマだ。
原作ではジュリエットに密かに想いを寄せる従兄のティボルトは、ここではジュリエットを蹂躙する看守であり、二人の恋人たちを支援するローレンス神父は女性に変わっているものの頼れる存在のまま、そしてロミオの親友であるマキューシオはゲイとして描かれていたりと、マシュー・ボーンならではの“ずらし”を発見するのも楽しみの一つかもしれない。
2022年秋、ダンスの殿堂として知られるロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場との共同製作作品として本作の新たな始動が発表された。2023年夏に開始される英国内ツアー、アメリカ、フランスツアーを経て2024年春、待望の来日が実現する。マシュー・ボーン作品の日本での上演は、2019年の“新演出版”『白鳥の湖』以来5年ぶりとなる。
これまでのニュー・アドベンチャーズ来日公演でおなじみの顔ぶれも多いキャスト陣による本作はマシュー・ボーンファンにとって必見といえるだろう。」
【物語】(以下、公式web siteからの引用)
「近未来、反抗的な若者を矯正する教育施設“ヴェローナ・インスティテユート”。
そこでは厳しい監視下で自由を奪われた若者たちが男女の接触を禁じられて暮らしていた。
暴力的な看守ティボルトのハラスメントにおびえるジュリエット、有力政治家の両親から見放されて施設に入れられたロミオ。
施設で出会った2人は瞬く間に恋に落ち、看守の目を盗んで逢瀬を重ね、仲間たちに祝福されながら愛を誓いあうのだった。
しかし幸せもつかの間、突如酒に酔ったティボルトが銃を振りかざして現れ、乱闘のあげく仲間の一人マキューシオが命を落としてしまう。
怒りに燃えるロミオとジュリエットたちはティボルトに立ち向かうも、さらなる悲劇が彼らを待ち受けていた…。」

カーテンコールの一部は撮影可能

【感想】バレエを観るのは30年ぶり2度目くらい。その時はオーソドックスな「白鳥の湖」だったので、今回のようなモダン・バレエの演目は初めてだった。ダンサーたちの鍛えられた肉体の美しさと躍動する姿は素晴らしかった。セリフが無くて踊りだけでストーリーを理解させる技術はすごいと思う。特に主演のお2人の美しさは格別だった。
ただ、これは「ロミオとジュリエット」なのだろうか?という疑問はぬぐい切れない。特に私がシェイクスピア好きだからかもしれないが、根幹の設定が変わってしまうと、シェイクスピアが言いたかったこともぼやけるというか、違うものになってしまうように思う。設定を近未来にするというアイデアはあってよいと思うが、ロミオとジュリエットの抱える苦悩が、原作とは別物になっているように思えた。確かに、原作のような上流階級の対立する家族同士の問題というのは、現代のわれわれには分かりにくい。でも、そこにはただ恋愛だけに走れない、という本人たちの葛藤もあるはずなので、今回の男女の恋愛が禁じられた学園内での恋愛というシチュエーションではなぞれない部分があるように思う。一方で、性的虐待の被害というような今日的な課題の要素も加わっており、これはこれで意義のある筋書きだとは思う。なので、あえて、「ロミオとジュリエット」と銘打つ必要があったのかな?とバレー素人は思ったのでした。


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