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1000日チャレンジ 559日目 『りさ子のガチ恋♡俳優沼』観劇記録

ゴールまで441日

★BMI:24.2

★先日、東京・ニッショーホール(旧ヤクルトホール)で『りさ子のガチ恋♡俳優沼』を観劇したので記録に残しておきたい。

原作;松澤くれは『りさ子のガチ恋俳優沼』 (集英社文庫)
脚本;松澤くれは
演出;岡本貴也
出演;能條愛未、七星うら、横道侑里(Wキャスト)、早乙女ゆう(Wキャスト)、松村芽久未、須藤茉麻、白柏寿大、及川洸、
佐藤友咲、服部武雄、髙木聡一朗、柚木美咲、藤原亜紀乃、芦原優愛、綾野アリス、河本景、松井遥己、山本誠大
公演日 ;11/3(木・祝)~11/6(日)
会場; 東京・ニッショーホール(旧ヤクルトホール)

ストーリー(オフィシャル・サイトより引用);
「26歳独身カレシなし。
普通の地味なOL・りさ子の趣味は舞台観劇。
大好きなイケメン舞台俳優・翔太くんを追いかける充実した毎日。
彼が出演中の2.5次元舞台『政権☆伝説』に大ハマリ中!
最前席で全通!グッズもコンプ!そして高額プレゼント!
「彼の頑張る姿を観られるだけで幸せ」
そう思っていたのに、最近は自分が特別扱いされているような気がする。
出待ち、ネットストーカー、稽古場突撃、カノジョ特定……。
ネットの悪口にも影響されて、りさ子は少しずつ、多くを求めていってしまう。
翔太くんに近づけば近づくほど、心の距離は遠ざかってゆく。
俳優とファン――この関係に、ハッピーな未来はあるのかな?
演劇業界の闇に容赦なく切り込む、見て見ぬふりをしたかった愛憎劇。」

◎俳優の推し活にいそしんでいた普通のOLさんが、自分に少し特別(覚えてくれているとか、ハイタッチ会でぎゅっと手を握ったとかいうレベル)な扱いをしてくれているのでは?と思い始めていたところで、気合を入れておめかししていった握手会?で「初めまして」と言われてしまう。そんなところにその俳優に匂わせ彼女の存在が。SNS上では彼女の特定で盛り上がっていて。エスカレートしていった結果、、、という展開。SNS上でのファンの書き込みと匿名の誹謗中傷を、舞台上で同じ役者が青い鳥の仮面をかぶることでツイートの両面を描きわける演出が、リアルで面白い。でも誹謗中傷の表現もエスカレートしていって、客席で聞いているだけでも怖さから不快な気分に。どうやって”彼女”の個人情報を入手できたんだろう?とか不思議な点があるものの。終盤に向けた不穏な空気感が伝わってくる。
一方、主人公が出演予定の舞台のけいこでも事件が。演出家と出演女優の不倫が発覚し。。ここのエピソードって必要だったのか?よくわからない。(原作読んでみよう。)
終盤30分くらい、暴走した主人公を演じる能條愛未さんの一人舞台(正確にはそうではないが)と思える怒涛の圧倒的な演技がすごい。改めて考えると、そこまでのやさしい、やわらかな感じの主人公の描写は、ここでのコントラストを際立たせる演出・演技だったのかと思う。普通の人間が豹変することの恐ろしさが伝わってくる。でも、一見、精神に異常をきたしてしまった結果のように思える結果だが、冷静な言動もあって、そこがより怖い。

推しへの愛に何か見返りを求めてしまうという現実。その見返りへの欲求は、例えばCDを買いました⇔握手をします、という対価の関係には収まらなくなってしまう。自分の彼氏彼女にしたいというような直接的なものだけでなく、そんな彼女と付き合ってはあなた(推し)の将来に良くないから別れて、となるとさらにやっかい。でも、これは芸能人の推しに対する感覚だけではないように思う。皇室の方の結婚相手に対する誹謗中傷など、それってあなたに何の関係があるのっていうことに”世論”が反応する時代。鴻上尚史さんが指摘していることに近いと思うが、”世間”の中で生きてきた人間が、急にSNSという”社会”の道具を手に入れてしまったときに、”社会”でのコミュニケーションの方法がわからず、”世間”の人と同じような扱いをしてしまう。でも”世間”では顔も名前もわかった中での行動だったものが、”社会”では匿名がゆえに歯止めもかからなくなってしまう。
描かれている世界が、あまりにもリアルで、終演後も「あぁ、面白かった」とは思えない作品だった。でも、いろんなことを考えさせてくれた観劇経験としては大満足。

☆Youtubeチャンネル「ほんタメ」で紹介されていた小説の舞台化作品で再演。先に原作を読みたかったが、結局、舞台が先になってしまった。会場で原作とサイン入り台本を購入。他の作品も含めて読んでみたい。

☆主演の能條さんは乃木坂時代から出演していた舞台は観ていたが、コロナ禍になってからは初めてで久しぶりに観ることができた。あいかわらずの可愛さはもちろんだが、メリハリの利いた演技はさらに魅力的になっているように思った。


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