競争心がないなら、世界をつくればいいじゃない?
「麟ちゃんは昔から競争心がないよね」
いつも娘のどんなところも褒め要素に変えてくれる母が唯一、ちょっと心配そうなニュアンスで口にした言葉だ。
昔から本当に競争心がなかった。幼稚園のかけっこでは自分より後ろに走っていた子を待ってしまいビリになったし、小学校中学校でもほとんど一番になったことはないし、陸上競技は苦手。高校では成績が掲示板で張り出されたがそれをモチベーションに頑張れたことなんかない。誰かに比べて抜きん出ようとか、あの中でトップになろうとか、その気持ちを持てないまま24まで成長した。競争心のカケラもない典型的な一人っ子である。
誰かに闘争心を剥き出しにされるのもダメだった。「麟ちゃんにテストの点負けないようにがんばるね!」とか「麟ちゃん、競争しよう!」とか言われると「いやいや勝負しないから。勝手にどうぞ〜」となってしまいあっけなく「勝ち」を譲る。
ゲームは絶対に勝てるものでないとすぐ辞めてしまう。負けるとそこで辞めてしまい、どうやったら勝てるかの作戦を練らない。だからゲームの難易度は常に「超やさしい」だ。自分が絶対に勝てるゲームじゃないと面白がれない。
実家で暮らしていた十数年間ずっとこんな感じだったから心配になったのだろう。母の言葉に対してわたしは「競争心がないことはよくないこと。だから競争心をつけなきゃ」と考えていたけれど、誰かと競うことをずっとモチベーションにできないでいて、それがコンプレックスだった。
世間でも頑張って勝たなければ上にいけない。他のやつより抜きん出ろとハッパをかけられているのに競争ができなかった。受験、試合、就活、オーディションとどんな競争の場面に立たされても、イマイチ頑張れない。頑張ったとしても自分の意志と乖離した行動になっているから、後でものすごく疲れる。でも、自分が自分のやりたいことをやるためには、やらなきゃ、勝たなきゃ、蹴落としても上がらなきゃ…
勝たなきゃ…
勝たなきゃ…
勝たなきゃ…
疲れた。
でも今は競争を辞めている。競争心がなくても自分がやりたいことができると、いろんな人の話を聞いたり、本で調べたりして分かったからだ。
そして自分に合っていないこと、やりたいと思っていないことをやる必要は、どこにもないということも分かった。
学校で、社会ではずっと競争ばかりさせられていたけれど、競争で一番になることだけが価値ではないと気づいた。SMAPの「世界に一つだけの花」が流行っても、「オンリーワンを目指すのは甘え、ナンバーワンにならなきゃ意味がない」って声がどこからか聞こえていた。うるせえな。競争のレールに乗せられそうになったけれど、だれかの作った世界の中で抜きん出るよりも、世界を自分で一から作っていく方があっているし、それでいい。
だからもし、競争社会に疲れている。競争に合っていない。そんな人がいたら自分は社会の軌道に乗れないクズ人間だと劣等感を抱く必要はない。もしかしたら、自分だけの「オリジナル世界」を作れる天才かもしれないから。そして自分が作り出したオリジナル世界は自分だけの肩書きがつくよ。自分の名前をつけることができる。だれかがそれに感動してくれるかもしれない。最高だね。
戦えなくても自分が生きやすい方法、やりやすい環境でコツコツ作っていこう。
ZOZOの前澤社長も競争ぎらいだという話を聞いて、すごく共感できるところが合った。
世間がそれでも競争を望むのなら、わたしはあえて引きこもって、わたしの世界を作り上げていく。
「スナックおりんママ」は「スナックおりんママ」になるよ。職業や肩書きや学歴で語れない唯一無二の。お楽しみに。
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