英検1級合格体験記<第3話:ライティング対策~タダでいいんですか?DeepL先生!~>
2022年3月に英検1級に一発合格しました。受験を決めて合格までの約3カ月の軌跡を、勉強法や本番の雰囲気なども交えながら、脳内関西人・富田氏(仮名)と林氏(仮名)の会話風でお届けします。
(第2話:受験前の実力とボキャブラリー の続きです)
第3話:ライティング対策
富田: リーディングとリスニングは最初から何とかなりそうや言うとったけど、ライティングとスピーキングは、最初どうやったん?
林: スピーキングは二次試験で、一次合格してからの話やから、この時はノーチェックやった。一次終わってから二次まで1か月以上あるしな。で、ライティングはめちゃ苦労した。受験申し込む前に知ってたら、受験すんのやめてたかも。
富田: 何を書かされるん?
林: 例題出したろか?ビビるで。
富田: え?怖い怖い。
林: 死刑は廃止すべきか?
富田: え?
林: 死刑は廃止すべきか?
富田: そんなん、自分が死刑にでもならん限り、一生考えへんわ。
林: ぼーっと生きとるお前みたいな奴が考えたこともないこういうお題に、賛成か反対かと、その理由を200~240語で書かなあかんねん。他にも、「移民受け入れを拡大すべきか?」とか、「検閲の利点は欠点を上回るか?」とか。
富田: そんなん、日本語でも無理やん。
林: せやねん。おれも何もアイデアが出て来んかった。おまけに、理由は3つ書けって指定されてんねん。
富田: えげつないな。
林: 模範解答見ても、とても書けるようになるとは思われへんかった。
富田: 200~240語っていう分量もピンとけえへんな。
林: ざっくりB5ノート1ページくらいかな。参考書によると、5段落で書くっていう「型」があるらしい。序論、理由①、理由②、理由③、結論で、それぞれ2~3文ずつのイメージかな。
富田: 2~3文って聞いたら、書けそうな気もせんでもない。
林: 試験やから当然、制限時間があんねんけど、大体25~30分で書けって書いている本が多い。
富田: 「大体」って何やねん、試験やのに。サッカーみたいにロスタイムでもあんのか?
林: リーディングとライティングで合わせて100分って決まってて、その中で何分ライティングに使うかは自由やねん。
富田: そういう系か。
林: お前が「そういう系」で何と一緒にしてんのか知らんけど、そういう系や。せやから、リーディングが早く終わったらライティングにもっと時間掛けれるし、何やったらライティングから解いてもええ。
富田: おれは嫌いなもんから先に食べるタイプや。
林: 知らんけど。おれの場合、実際解いてみたらリーディングは得意やったみたいで、ライティングに40分くらいは掛けれる感じやった。本番でもリーディング終わった時点で50分くらい残ってた。
富田: さすがTOEIC950点。
林: でもまぁ、俺みたいなタイプも多いと思うから、「大体25~30分」ていうアドバイスは無視してええと思うで。
富田: 25分と50分って、倍違うがな。
林: そうそう、本番では腕時計も必須やで。普段は俺、スマホで時間確認してて腕時計は使ってないねんけど、このために安っい腕時計買うたで。
富田: 試験会場に時計無いん?
林: 俺も有る思ってたけど、これが無かってん。有る会場もあんのかもしらんけど、少なくとも俺が受けたとこは無かった。スマートウォッチも禁止やから、普段AppleWatchとか使ってる人は要注意やな。
富田: 腕時計までいちいちチェックされんの?
林: 本番でチェックはされへんかったけど、「受験上の注意」に「携帯電話等・スマートウォッチを時計として使用することは禁止」って書いてるし、チェックされへんかったのはたまたまかもしらん。念のために普通の腕時計にしといた方がええやろな。試験中に残り時間何分か分からんかったら死活問題やで。
富田: そらそうや。で、死刑の話や。お前は賛成なんか?
林: ここで死刑の話ピンポイントでしてもしゃあないやろ。まぁとにかく、ライティングはほんま苦労した。日本語でも何書いたらええか分からんもん。
富田: 想像つかんわ。どうやったら書けるようになんねん。
林: と思って、ネットで合格体験記を色々見てたら、えまさんっていう人のブログ見つけてん。
この人も、日本語ですら何を書いていいか分からない状態で苦労してはったらしいねんけど、「日本語でも答えが浮かばないんだから、英語で書けと言われたってムリに決まってる」って割り切って、「最短合格!英検1級 英作文問題完全制覇」をひたすら読む、という勉強方法で合格しはってんて。
富田: お、虎の巻があってんな。
林: この本は、さっき言うた理由①、②、③の段落として使えそうな表現がブロックになっていっぱい載ってんねん。このブロックをうまいこと組み合わせたら、それなりに形になるっていう理屈や。
富田: そのブロックとやらを覚えたんか?
林: 覚えるいうか、読んで知識としてストックしていく感じやな。たとえば死刑廃止の話やったら、賛成理由としては、「冤罪の可能性」「人権尊重」「更生の余地」とか、反対やったら「犯罪抑止」「被害者家族の心情」とか、色々考え方があるのが分かる。何書いたらええか分からん、というのは、意見がないという以前に、知識がないからやってんなと。
富田: 賛成の理由も反対の理由も、言われてみればもっともやけど、自分でひねり出すのは難しいな。
林: せや。知ってたら書けるし、知らんかったら書かれへん。単純な話や。あと、この本がええのは、英文が自分でも書けそうなレベルっていうことやな。参考書によっては、模範解答の英文が洗練され過ぎてて逆に参考にならへんかったりするからな。
富田: 模範はええから、合格最低レベルを教えてほしいな。過ぎたるは及ばざるが如し。で、お前もえまさんみたいにこの本をひたすら読んだいう訳やな。
林: 俺の場合は、読むだけではなんか勉強してる感が見えへんから、表現の和文を自分なりに英訳して、お手本と比較しながら間違いをチェックしていった。そうやって英訳した紙が溜まってくると、「やってる感」が目に見えてモチベーションになるタイプやねん。単語帳をマーカーで汚していくのも一緒やな。
富田: なるほどな。「やってる感」は他人に見せるのもんやと思ってたけど、自分にも効果あんねんな。
林: 「やってる感」だけやとあかんけどな。でも、不思議なもんで、200個くらいのブロックをひと通り英訳したら、どんなお題が来ても、全く書けへんということは無くなってきた。たぶん、ブロックの読み書きしてるうちに、ぼやっとしていた自分の考えが言語化されていったんちゃうかな。明らかに自分とは反対の意見もあったけど、それも逆に、普段意識してなかった自分の意見を明確にするのに役立ったと思う。
富田: なるほどな。普段は考えへんテーマばっかりやもんな。
林: あくまで試験やから、書きやすい方の立場で書いたらええねん。言い換えると、賛成でも反対でも、理由を3つ先に思い浮かんだ方で。
富田: なんか、長い物には巻かれろ的で嫌やな。せやけど、そのブロックはどんな問題が来ても使い回せるような万能なもんか?
林: いや、もちろん万能やない。特に、最近の試験はテーマが個別具体的になってきてるから、そのままでは使い回されへんパターンが増えとる。
富田: あかんやん。
林: せやけど、200個以上のブロックをやり込めば、試験で出される分野は大体カバーするから、どんなテーマが出されても、何にも意見が無い、という状態はなくなると思う。
富田: でも、自分なりの英文を書くとなると、その英文が正しいかどうかが問題やな。正しいかどうかというか、ネイティブから見て不自然とちゃうかどうかは自分ではチェックでけへんやん。
林: そうやな。ネイティブが添削してくれるサービスもあるけど、お金かかるし、添削結果も直ぐには分からへんからな。そこで、俺が使ってたのはDeepLっていうAI翻訳サービスや。
富田: 聞いたことあるわ、それ。
林: まず、自分の書いた英文をDeepLに入力するやん。ほんで、それを日本語に訳させて、自分で言いたいことが日本語訳として出ていることを確認すんねん。ほんで更に、その日本語から英語に再翻訳させたら、自分が作った英文より、こなれた英文を出してくれたりすんねん。
富田: ネイティブチェックと一緒やん。
林: せや。秒でやってくれるで。これがタダってすごい時代やわ。
<第4話:一次試験本番に続く>
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