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自画像版画の下絵は「写真」にする【描くと彫るを「分けて」考える】

小学校教諭のsmyle(スまイル)です。
今年度は6年生を担任しています。


この時期の図工と言えば、
「木版画」に取り組んでいる方も多いと思います。

今年度、6年生の版画のテーマは
「自画像」としました。


版画の指導ってなかなか根気が要りますよね。

なので、教師の負担を少しでも軽減し
子どもにとっても満足のいく作品ができるように
やってみたことを2つ紹介します。





①YouTube「図工人」の活用


1年に1~2回しか使わない彫刻刀。
子どもたちは、使い方をとうに忘れています。

単元の初めに、いや毎時間の初めに話すのが
「安全第一」であること。

彫刻刀の持ち方や
反対の手は必ず持ち手に添えることなど
口酸っぱくして言い続けました。
結果的に今年度、けが人がゼロだったので、ホッとしています。


彫刻刀セットには基本的に5種類の刀が入っています。

それぞれの刀の特徴や彫り跡、彫り進め方など
初めに口頭で説明したり
演示してみせたりするのですが、
もちろん初めの説明だけで全員が理解できるわけはありません。

彫り進めていく中で
「どうやって彫ればいい?」「ここは彫る?彫らない?」など
様々な疑問がわいてきます。
その彼らが各々に抱く疑問に、
その都度1つ1つ応えていては、きりがありません。


そこで、1人しかいない担任の強い味方となってくれるのが
YouTube「図工人」さんです。

彫刻刀の種類、
彫り進め方や、その後の刷り方など
動画で1つ1つ丁寧に解説してくれています。


初めにこの動画を見せながら説明し、
このYouTubeのリンクを子どもたちに配付しておけば、
子どもたちは必要な時に必要なタイミングで
動画を見て手順を確認することができます。

担任としても、
本当に個別指導が必要な子に注力することができます。


「図工人」さんのYouTubeには、
版画指導のみならず
あらゆる図工教材の指導の仕方や、
早く終わってしまった子がすき間時間にできるような
ちょっとした作品など、豊富に紹介されています。

オススメです。



②下絵は自撮りの「写真」で


通常の版画授業の手順と言えば、
・題材を決める ・下絵を描く ・下絵を板に写す
・下絵に沿って板を彫る ・刷る

という流れかと思いますが、
今回の「自画像」の場合、
下絵を「写真」にしてしまうことで、
工程を簡略化してしまおうと考えました。

絵を描くことを苦手としている子の場合、
初めは「よし、版画がんばるぞ!」と思っていても
下絵の自分の顔がうまく描けなかったりすると、その時点で
モチベーションが下がってしまいます。

写真であれば、
今や1人1台のタブレットがあるので
一瞬で「下絵」の完成です。

写真は自撮りするもよし、仲の良い友達に撮ってもらうもよし。
自然で柔らかい「アップ」の表情をなるべく画角いっぱいで撮り、
担任に提出してもらいます。
それを板と同じサイズに白黒印刷し、
板にテープで貼って、カーボン紙で写し取ります。


下絵を「写真」にすることのメリットは、
①「描く」を排除し「彫る」ことだけに注力できること
②写真が下絵だと誰でも一定のクオリティを保てること


①について、
そもそもこの木版画単元でつけたい力は
「彫刻刀」の技能のはずです。
もし「描く」技能を高めたいのであれば
絵画など他の単元でもいいわけです。

高めたい力を焦点化し、「彫る」にしぼる。
「分けて」考えることは
とても大事だと思います。


そして②について、
出来上がった自画像版画作品たちを掲示してみると、
それを見た他学年の子たちが口をそろえて
「6年生スゴイ!」と言ってくれます。

また下の学年の先生が、
「参考にするために、子どもたちを見に来させて良いですか」
と言ってくださったりもしました。

それを聞いていた6年生の子たちは、
なんだか誇らしげでした。

「版画、上手くいったかも。」「版画、楽しかったかも。」
そう思えたら、もう大成功ですよね。



今年度はもう
木版画が終わっている方も多いと思いますが、
次年度以降、機会がありましたらぜひやってみて下さい。

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