見出し画像

土地の所有権は地下・地上何mまで主張できるか

ぶっちゃけ普通に生活している分には関係ないんですけどね😐

家の上にバルーンを飛ばしたい人や、核シェルターや温泉を掘りたい方は是非読んでってください?

不動産メディアSmuUから読む場合はこちらから

■所有権の範囲は定められている?

土地の所有権についての法律では、敷地の所有権は敷地の上下にも及ぶとされているのみで、『何mまで』という制限は明記されていません

つまり原則では、深さ高さ問わずどこまでも所有権が及ぶことになります。

敷地にまっすぐ地下1kmまで穴を掘ろうが、空高く建物を建てようが理論上はOKということです。

しかし、地下深くと空中の高い部分には別の法律が関係してくることから、実質的な所有権の範囲はある程度限られてきます。

・地下:大深度地下使用法

首都圏、近畿圏、中部圏の三大都市圏を対象に、『地下40m以下』か、『建物の地下室や支持杭を支えている支持地盤面から深さ10m以下』の通常は利用されることがない地下部分を、地上の所有権が及ばない大深度地下として公共事業の為に利用できることになっています。

例えば、

・道路事業(高速道路等)
・河川や水源の利水、治水のための水路等
・鉄道事業(地下鉄やリニア路線)
・電気通信事業
・電気事業
・ガス事業

などの公益事業が対象です。

とは言え無断で家の下を掘削されるわけではなく、リニア路線や新しい地下高速道路の建設では、地下の掘削による地上への影響などについて、地上の所有権者や住民に対しての説明会が繰り返し繰り返し行われています。

※2021年には東京外環道のトンネル工事をしている上の住宅で地番沈下などの被害が発生し、現在原因究明のために工事が凍結されています。
原因がトンネル工事によるものなのかは定かではありませんが、もしかすると大深度地下使用法も見直されることがあるかもしれません。

・地下:温泉法

温泉法によると、温泉の発掘を目的に土地を掘削する場合には、温泉掘削の許可を得て工事をする必要があります。

温泉を掘り当てるためであれば、大深度地下使用法対象外の地域だからといって勝手に地中深く掘削することはできません。

・上空:航空法

航空法による航空機などの最低航行高度は『地上の障害物の上端から300m』と定められており、これ以上の高さで航行する場合は地上の所有権者の承諾を必要としないことになっています。

これをもとにすると、上空方向に自由にしていい範囲は、建物上端から300mまで、と考えることができます。

逆に言うと、300m以内の範囲では所有権を主張できる(空中権)ということにもなるため、隣地の枝葉や電線などの空中越境物については除去や使用料の提示ができるということです。

公共の高圧送電線などの直下にある敷地は、電力会社から年間数百から数千円程度の"使用料"を受け取ること多いです。

ただし隣地に電力を引き込むための電線などが空中越境している場合は、「次回建て替え時に越境を解消する」旨の覚書を締結するのみにとどめるのが一般的です。

・上空:都市計画、景観法等

上空300mまでは所有権を主張できるとは言え、実際には景観法や都市計画法による建築の高さ制限などによって制限されているため、天高く建物を伸ばすことはできません。

上空にバルーンを飛ばしたい方は役所に相談しましょう。

■まとめ

・原則は、所有権の上空・地下方向への範囲は無限。

・大深度地下使用法と航空法をもとに考えると、現実的に所有権を主張できる範囲は、
地下40m~建物上端から300mまでの範囲。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?