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美人じゃなくって良かったかもねと思うことを、エロ的観点から考える、卑屈かもしれないけどそうでもないんだぜ、な夜。

 美しい友人が多い。私のまわりには、どうしようもないくらい美しい子がたくさんいる。私自身がそういう女性に魅力を感じるんだから仕方ない。美人でスタイルが良く、明るくて聡明。頭が良くて優しく、気持ちの良い子が多い。自慢でもあり、自分が卑屈になるポイントでもあったりする。
うちのダーリンからは、「Ralの友達はみんなかわいい。好みがはっきりしている。俺も嬉しいからいいけど」とわけのわからない喜びを語られる。
 さて、そんな美しい女性に囲まれて、Ralはというと、別に大したことはない。可愛くないし、スタイル良くないし、性格悪いし常識も知らない。失礼なことをたくさんするし、どうしようもなくおっちょこちょいだったりする。良いところはというと、肌がキレイでまあまあ若く見られるらしい。でも基本的に卑屈だから「お肌きれいね」とか言われると「あ、ごめん。そこしか褒めるところないよね」とか思ってしまう。 
 別に努力してこなかったわけでもなんでもなく、きれいになりたいな、ちやほやされたいな、モテたいな、とは思っていた。モテはしなかったが、ブスでデブで性格悪い私でも、そういえば彼氏がいなかったことってないんじゃないか。1000人男子がいたら、そのうちの1人くらいは、なんだかびっくりするほど私のことを気に入ってくれるのだ。こういう男をモノ好き、と呼ぶ。
 999人の心にいまいち刺さらないRalだったが、そこそこ幸せに生きてきたんじゃないかと思う。ちやほやはされなくても、友人にも恵まれた。ずっと男だらけの学校にいたりしたので、学生時代の友人は男性が多い。前述の美しい女子たちはみんな、仕事の同期や先輩後輩か、子供を通じて仲良くなったひとたちだ。
 男友達って、存在できると思う?とは誰もが知っている質問だが、Ralにとっては存在する。相手からの好意も、もちろん同性に対するそれとは少し違うのかもしれないが、ロマンチックなものではなく、サシで飲みに行ったり、どこかに遊びに行ったり、結婚した今でも結構普通に会ってたりする。え?大丈夫なの?と聞くのは大体美しい女子たちだ。そうだろうそうだろう。彼女たちにとっては男性は「男性」であり、なかなかただの「友人」にはなり得ない。男性とは、美しい女性を見ると自分を誇示したくなり、制覇したくなり、手に入れたいとすら思ってしまう生き物なので、残念ながら、本能で勃起してしまう。エロが発動してしまうのだ。
 Ralと一緒にいる男子はどうだろう。それは、ちょっとはエロくなるときもあるんじゃないか?どうなんだ?と観察したこともあるが、いや、そんなことはない。笑ってしまうほどない。だた、蔑ろにされることもなく、どちらかというと大切にしてもらっている。夜中にメールが来たり、LINEが入ったり、私が落ち込んでいると励ましてくれたりと、私が自慢に思っている美しい女子たちばりに活躍する。
 しかもなんだかんだで結構イケてるメンズだったりして、その事実はRalの「えっへん」な欲求を満たしていく。相手は性的に反応してもいないくせに。
 では、私からというと、エロい目線で見たことが全くないかというと、そうでもない。試してみたら面白いかも、この人、どんなHするんかい?と思ったこともないわけじゃない。でも、それよりなにより、そこに行かない中途半端ななんか何でもないけど、何にでもなれる感じが最高に楽しいと思うようになった。
 してしまえば気持ちいいかもしれないし、一定の欲求を満たしてくれるかもしれないけど、それが始まりでもあり、終わりの始まりでもある。結局は性的なつながりだけでは私は飽きてしまうと思う。見えないところをすべて見たら、もう相手に興味がなくなってしまうに違いない。
 付き合い始め、もしくは人生でその人と最初にするキス以上に気持ちのいいものなどないと思うのだ。やってしまってからではもう戻れない。この頭の中の妄想と、そして人生においてくるかもしれない(イヤ、来ない)最初のキスを想像するだけで私のエロは満たされてしまう。
 今日は誰との初キスを妄想してウキウキして眠りにつこうか。

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