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隣家に消えたこども

陽光の立夏
無人の隣家の庭に
溢れる草

どこからか転がって
やって来たボール
静かにそれを拾おうと

隣家の草原に入っていく
こども
こどもの背丈に草がいっぱい
人目を気にしてか
辺りを何度か見渡すと

草に消えたこども

陽光はそこから出ていった
こどもの姿をわたしには
見せてはくれなかった

すべてをあらわにするのには
太陽は草の気持ちを
分かりすぎていた

無人の隣家のプライバシーを
隠す
こどもの背丈の草原