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緑の声

降ってわいたような
夏の喜びが僕をとらえる

青いサイダーに
腕を突っ込んで離さない疾走する
自転車

からからと音を立てる
風車のように

緑の声がする方へ

掠れてしまった呼び声は
遠い山際に消え

道に撒けた炭酸は
ゾワゾワと白い柱を立てるように
地面に穴を開け

そこから見下ろす
風待ちの時間

色とりどりな風車たちは
からからとそれぞれに
廻っている

まだ夏がやさしかった頃
僕は讃美歌のような喜びを身に纏い
山道を駆け下り

緑の声に従った

風圧と共に
開かれて行く緑のカーテン

やさしい声はどこだ