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読書離れと読解力・文章力に関するモヤモヤ

最近の若者は読解力が低下しているという。文章力(人に伝わる文章を書く能力)も低いとの声もよく見聞きする。そして、その話はたいてい、読書離れと関連付けられている印象だ。(ここでいう読書とは、主に文章だけで構成された書籍を読むことを指す。ほとんどの場合、漫画も、ゲームのテキストも、歌詞も含まれていない。)

でも、なんかモヤモヤするので、その原因を書き出してみる。

先に断っておくと、特に結論はない。ただの30代のモヤモヤ備忘録である。私自身は読書が好きだ。だから、以下は読書を否定する考えではない。

・読解力は読書だけで身につくのか? あらゆる経験から、物事を読み解く力はつくのでは。動画のほうがよほど情報量が多く、的確に処理し、読み解くには能力が必要だろう。

・読み、書きの能力が低いというのは、それは読み書きを重視してきた世代の指標で計っているからではないか。今の若者は、膨大な情報量の動画に親しんでいる上、発信することにも慣れている。見る、聴く、表現する能力が大人世代より高いのではないか。コミュニケーション力をはかる指標自体を見直す必要はないのか。

・これまでは、人に何かを伝えるときに、文章で伝えることがメインだった。だから文章力が必要だった。でも、今は動画や画像や音声で伝えることもできる。人に伝える手段が増えているのに、方法論(特にビジネスにおける価値観)がアップデートされていないのではないか。

・読みやすい文章には、一定の型がある。その型を知っていれば、誰でも読みやすい文章は書けるようになる。読書をして感性を磨けば文章力が上がるなんていう教育は、人に聞くな! 見て覚えろ! と同じで旧態依然としていないか。せっかく数多の人が研究してきた、文章力メソッドがあるのだから、最初からゴールまでの最短ルートを提示してほしい。(個人的に、読書量に比例して身につくのは、文章力というより表現力だと思う。)

・不勉強なのであくまで想像だが、紙の教科書で学んできた世代と、生まれたときからスマホがあるデジタルネイティブ世代では、学習時の脳の働きが異なるのではないか(視覚から理解する能力か高い、みたいな?)。われわれ旧世代と同じ学習方法が果たして若者に効果的なのか。

・若者の文章力の低下を嘆くより、若者のコミュニケーション手段についていけない己の老化を嘆くべきではないか。時代を切り拓くのは若者である。

つらつらと書いてみて気がついたのは、読解力や文章力はコミュニケーション力の一部だということ。コミュニケーション方法の変化にあわせて、求められる/身につく読解力や文章力も変わってるくるのかもしれない。

「最近の若者は人に伝わる文章が書けない」と言うくせに、どこがわかりにくいのか、なぜわかりにくいのかが説明できないなら、それは自分の読解力と文章力を棚に上げた発言だと思う。大人でも読解力・文章力が低い人はたくさんいる。

日に日に若者文化についていけなくなる自分への自戒を込めて。

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