デザイナーでなくても知ってほしいUXデザインに関する3つのこと

こんにちは、Google UX design認定を受講中のとろわです。

今回は受講をしていて感じたことや学んだことから、デザイナー関係なく、知っていてほしいこと3つを書きます。

本記事はNSSOL Advent Calendar 17日目の記事です。記載内容は組織の公式見解ではなく、個人の見解となります。


1.エンドユーザーの声を聞こう

ネットにはHuman Interface GuidelinesやMaterial DesignといったUIのガイドラインが提供されています。
これらの規則性を活用し、多くの人が使いやすいと感じるデザインに近づくことができます。

しかし、システムの使いやすさは見た目からだけでは構成されません。
見た目に加えて、画面内の情報設計や画面をまたぐユーザーフローなど複数要素によってシステムの使いやすさが変わります。

また、システムのみの体験ではなく、システム利用前後のユーザーが置かれた状況もシステムの使いやすさに影響すると考えます。
例えば、社員向けシステムの場合、前後の作業が煩雑で忙しかったり、システムでの作業後に口頭で情報を連携しなければならない、なんて状況が発生しているかもしれません。
もしくはエンドユーザー向けシステムの場合、お店が混雑していてイライラしている状況でアプリを開くかもしれません。

こういった前後の体験は、システムの使いやすさに影響すると同時に、システムの使いやすさ向上を考えるきっかけにもなります。

では実際にエンドユーザーの声を聞くためにはどうしたら良いのでしょうか?
そこでユーザー調査です。
具体的な方法は、ユーザーの作業や行動を観察するエスノグラフィ調査や質問形式で話を聞くインタビュー調査など多岐に渡ります。講座の中でも複数方法がそれぞれのメリットデメリットと共に紹介されています。

どんな方法であれ、ユーザー調査をする上で肝に命じておきたいのが「バイアスを認識すること」です。
人は誰でも無意識のうちにバイアスをかけて物事を見ています。
本講座では、ユーザー調査のタイミングで発生しがちな以下6つのバイアスが挙げられていました。

・Confirmation bias
仮説の正当性を証明する根拠を探してしまう
・False consensus bias
賛成してくれる数を多く見積り、反対意見の人を拒否してしまう
・Recently bias
直近の出来事の記憶が強く残ってしまう
・Primacy bias
最初の出来事の記憶が強く残ってしまう
・Implicit bias
無意識にステレオタイプに嵌めてしまう
・Sunk cost fallacy
失敗だと分かっていても今までの労力を無駄にしたくない、とプロジェクトを中断できなくなってしまう

調査や分析の際は、ユーザーのニーズを正しく把握するために、自身の解釈にバイアスがかかっているかも、と意識することが大切です。


2.リデザインの可能性を考えておこう

ユーザーは自分の欲しいものを正しく認識していない可能性が高いです。以下の一節はそれをよく表しています。

If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.
もし、人々に”移動手段として何が欲しいのか?”と聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えただろう
ー フォード・モーター・カンパニー創立者 ヘンリー・フォード

もしかするとユーザー調査でユーザーから「〇〇があればいいな」など解決策を提案されることもあるかもしれません。しかし、それが必ずしも正しい、今回の場合はユーザーに刺さる解決策である、とは限りません。

ユーザーは実際に動くシステムを見て、初めて欲しいものや必要なものが見えてきます。動くシステムを見ることで比較対象ができ、自身のイメージとのギャップを認識することで、より明確に欲しいものを表せるようになるのです。

実案件でも似た経験がありました。
新規アプリの構想にてチームメンバーと共に議論を進めていましたが、イメージの共有がうまくできずに似た議論を繰り返すことがありました。そこでプロトタイプを作成してそれを基に議論することで、見落としを見つけられたり議論が明確になったりしました。
この経験から、見えないものについて考えること、ましてや相手に伝えることは、認識齟齬や誤解が生まれやすいと実感しました。

また、一発勝負でユーザーのニーズにぴたりとはまるシステムのデザイン製作は難しいです。(これができれば理想ですが…)
もし、前述のバイアス内の6.Sunk cost fallacyに駆られ、一発勝負のデザインでリリースしてしまったらどうなるでしょうか。
使いにくさによってシステムが使われなければ?また、使わざる状況だから使っているけど、とユーザーのストレスが募ってしまったら?
コストを回収できなかったり、信頼度が下がったりと、ユーザーもシステム開発側も幸せにならない結果になる可能性が高いです。

上記を踏まえると、繰り返しのユーザーテストで効果を見据え、デザインを修正していく過程が重要です。手戻りを避けるためにも、デザインの修正を許容するチーム姿勢も重要かと思います。

かといって永遠にデザイン修正していては意味がありません。
ではデザインの切り上げ、開発に進むタイミングはどう見極めるべきなのでしょうか?
講座内ではそのタイミング見極めのための質問が挙げられていましたので、参考にしてみてください。

Are the designs a true representation of the intended user experience?
作成したデザインは意図したユーザー体験を実現できていますか?

Have placeholder text, icons and images been replaced with finalized assets?
プレースホルダーのテキスト、アイコン、画像は完成予想のものに置き換えられていますか?

Are participants/users able to interact with and interpret the designs without external guidance? 
参加者やユーザーは使用説明書などなくても、デザインを理解し、システムを使えますか?


3.アクセシビリティを考慮しよう

現在、様々な場面で「多様性」が謳われています。システム開発の際にも利用者の多様性を考えなければなりません。
講座内でも定期的にアクセシビリティに関する動画、ドキュメントが登場します。その中から今回は特に印象に残っている2つを挙げます。

Ⅰ. 障害者に配慮したアクセシビリティ
アクセシビリティと聞くと、「そこまで考えなきゃだめ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、誰しもがThe disabilities(障害者)になる可能性があるのです。
例えば片腕が使えない、というthe disabilitiesは以下の3つに考えられます。
・永続的
・一時的(例:骨折などによる片腕ギプス装着)
・状況的(例:片手で子供を抱き上げている状態)

ではアクセシビリティを考え、システムに反映するにはどうするか?
ここでは例として色の使い方を挙げましょう。

日本に先天色覚異常の割合は男性の場合20人に1人(約5%)、女性の場合500人に1人(約0.2%)と言われています。
また加齢による後天色覚異常も珍しくはないそうです。
上のデータからも、色彩のアクセシビリティを考慮することは必要だと考えられます。
では実際どうしたら良いのか。例えば、色の判別ができなくても濃淡で判別できるように図のような配慮を気にする、などいろんな要素にアクセシビリティを考える余白があります。

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Ⅱ. 未来のユーザー ーNext Billion Users
また、受講中に感銘を受けたのが「Next Billion Users(NBU)」という考えです。
デバイスやネットワークの普及によりスマホをはじめとしたIT機器の利用者は世界的に年々増加しており、今後も増加する見通しです。

さらに詳しく知りたい方には以下のサイトがオススメです。
https://design.google/library/ux-next-billion-users/


まとめ

受講を通して、UXデザイナーでなくても知っていてほしい大切にしてほしいと思ったことを記させていただきました。
・エンドユーザーの声を聞こう
・リデザインの可能性を考えておこう
・アクセシビリティを考慮しよう
これらのことを意識しながら、日頃の業務の際に活用いただければ幸いです。

講座内では他にも有意義なナレッジがたくさんあります。
もし、気になる方は(少し気合が必要ですが)ぜひ受講してみてください。
私の受講レポはこちらに書いてますので、参考にどうぞ!

受講しているGoogle UX Design認定のリンクはこちら↓
https://www.coursera.org/professional-certificates/google-ux-design

最後に、再度お知らせです。
本記事はNSSOLアドベントカレンダー17日目の記事となっています。デザインに限らずいろんな技術に関して記事が公開されていますので、ぜひ訪問いただければ幸いです!
https://qiita.com/advent-calendar/2021/nssol

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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