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ありがとう!!スマイルコール。事業譲渡のタイミングで「背景」と「理由」と「感謝」をnoteに纏めてみた。

経営者の仕事は『意思決定』だと誰もが答える。
それは100%正しいし決断が出来ないリーダーは失格だと思う。それは頭で理解はしてるのだが、今回の意思決定は社長🔰の僕には難しい決断だった。記憶が鮮明な間に公開可能な範囲で記録として残しておこうと思い書きました。

●はじめに

株式会社インデンコンサルティング(本社:京都府京都市 、代表:斎藤正寛)は、Smilecall『スマイルコール』事業を、2022年9月1日付けで株式会社インバウンドテック(本社:東京都新宿区、代表:東間大)へ事業譲渡いたします。
https://onl.tw/jx9kYCC

「スマイルコール」は、2012年事業開始の通訳サービスで、新型コロナウイルスの拡大前は、全国 15,000施設を超える施設で使われていた。『緊急時に必要とされるAEDのように、日本各地でスマホやタブレットで通訳が出来たら外国人観光客も安心・安全に旅行を楽しめるよね』と思い、全国津々浦々までサービス拡大を目指してきました。
 
ご承知の通りコロナ前は、訪日外国人の増加に伴い事業は順調に伸びました。売上の90%以上を同事業が担っています。その事業を譲渡するに至った背景をブログに残します。

●スマイルコールの推移

事業は一筋縄ではいきません。
折角なので「スマイルコール」の事業推移を簡単に。

コロナ前は業界1位(約15000施設以上)まで伸びたので周囲からは「順風満帆だね‼︎」「訪日観光客もどんどん伸びるね‼︎」と、ニコニコ対応してましたが『おい、ふざけんなよ‼︎』って内心思ってました。内情は全然違う、困難の連続こそがスマイルコールの事業です。

でも、それはどの事業も同じじゃないでしょうか。当事者にしかわからない苦悩・葛藤・感動は、仕事の醍醐味でも有る反面、二度とやりたくないという辛い経験でもあります。

思い出(基本的にはトラブル)は山のように有るのですが、主だったトラブルを残しておきます。

《競争激化》
東京オリンピックが決まって(2015年〜2018年くらい)から競合他社が爆増しました。肌感覚では300社くらい(大手3大携帯キャリア、一部上場会社など、誰もが知る会社ばかり)、このときには社内で”ウチの会社やばいんちゃう??”っていう雰囲気が一気にうまれました。結論、大手企業は全社撤退、理由は単純で、弊社は本気(コレ潰れたら倒産なので)、他社は所詮新規事業だからです。この体験から学んだ事は、ビジネスは資本力の有無で勝負が決まらず、弱者が勝つ方法は幾らでもあるということ。

《品質が悪い》
当初、通訳のコールセンターは全部外注でした。なので品質補償など当然出来ずにお客様からの不満やクレームが相次ぐ。でも言葉を選ばずに言えば「最初から全部を叶えてたら、中小企業は資金ショートする」、集中すべき箇所に資金と労力をかける、それで良い、そして仕方ないと割り切っていた。事業拡大のタイミングで、自社コールセンターを作って、京都で中国語が話せる新卒1名と始めた。僕も初めての経験だし、関わった全員が手探りだった。そこからはコツコツと失敗し、ノウハウ蓄積して最盛期には30名以上が働いていたように思います。初めは誰もが素人です、でも時間掛けて、改善してけば専門家になれる。

《システム障害》
大規模なシステム障害が発生(携帯会社、銀行ATMでもよくあるけど、その時の担当者の気持ちは、この事象を通じてよく分かる)、僕自身はビジネス人生でこの時を超える集中砲火は経験がないです。順調に事業拡大している最中で大手顧客も多かった。発生時間は商談中で電話が鳴り止まず、1時間で100件を超える着信履歴。結果的には2日間は不要不急(本当に寝てない)で陣頭指揮を取り、通常稼働の事なきを得ました。その後は全社に謝罪訪問と再発防止策の作成。当然ですが弊社に問題があったのですが、心底ヤバいと思う修羅場が発生すると会社や人は変わります、ピンチはチャンス。

《新型コロナウイルス》
2020年3月。東京オリンピックに向けてイケイケ状況。通訳事業は“ド直撃“して、稼働率90%は、一瞬で吹っ飛びました。「まるなげ事業」に展開出来たので、今は笑い話にできますが、正直言えば二度と経験したくないです。ただ退路を経つと新しい道が見えます、今の当社があるのはコロナが無ければ無理だったので「何かを失うと、何かを得る」、でも個人的には二度と経験したくないくらい、生きるか死ぬかの出来事だったように思います。もう一回やれと言われても同じようには舵取りできない。

コレ以外にも思い出(基本的にはトラブル)は山のように語れますが、長くなるので主だったところだけを記載させて頂きます。

●そんな事業を、なぜ譲渡するのか

で、ここからが本題です。
「そんな事業を、なぜ譲渡するのか」ですが、新型コロナウイルスが直接的な原因ではなく、コロナ禍からずっと悩んでの決断です。敢えてテキストにすると、

《競争に勝てない》
ビジネスは戦争です。パクり、パクられ、勝者は僅かです。コロナ以前はそれこそ「全戦力」を投入して、通訳事業で勝負を挑んでいました。だからこそ大手企業や競争激化の環境でも弱者が生き残ることができたと振り返ると思います。コロナ禍で通訳以外の事業を弊社は始めました、そして通訳事業を超えるほどに好調です。ヒト・モノ・カネが限られる中小企業が勝負の世界で勝つ為には一極集中する、退路を断つ。勝負に勝てないと誰も守れません、顧客の期待を裏切る事になり、社員も守れない。その為の「選択と集中」を実行、コレが1つ目の理由です。

《タイミング》
「選択と集中を実行」と言っても「いつやるの?」は別問題です。特にコロナ禍でインバウンド観光事業は崩壊、先行きの見通しも立たない中での、タイミングは本当に難しかったです。事業譲渡するならば「顧客」「社員」「関係者」が一番BESTな時期になりたい(コレは誰もが思うことだと思いますが)、そのように考えるとマイナス局面(コロナ期間中/インバウンド需要は無く譲渡希望者は居ない)は、事業縮小しても自社で守り抜こうと判断しました。2022年9月1日というタイミングは、コロナ発生から2年半が経過し、ワクチン普及や感染症対策が浸透し、まだ限定的では有るが国境を超える移動も解禁されたタイミングで有ると判断したからです。完全回復となれば、同業他社との競争激化に巻き込まれる前に、コロナ禍の明けそうな雰囲気である今こそ、有利な条件で交渉が出来るチャンスだろう、そう考えてこのタイミングです。勿論、正解は誰にもわかりません。


コレ以外にも理由はあるのですが、敢えて纏めるならば、この2つかなと思います。譲渡理由をしっかりお伝えする事で、不安や憶測を生まないようにと思い、テキストに纏めたのと、一番は社内も含めた関係者に届いてほしいと思います。

●まとめ

最後になりますが、ココからは論理でなく感情です。結果的に事業譲渡という形をとりましたが、この決断は僕1人が決めてます。「継続できる方法はないか」と何度も自問自答しましたし、模索もしました。が中途半端が通用するほど甘くなく、また僕には成功させる、守る責任があります、だからこそ決断をしました。

不甲斐なく、申し訳なく、力不足を思うのが、「スマイルコール」に関わってくれたメンバー達です。特にコールセンターの皆さんは、結果的に振り回す形になり申し訳なかったです。至らぬ点が多かったと思います、信じてついて来てくれて心から感謝します(※補足にはなりますが事業譲渡に伴い、コールセンターメンバーには、退職可否の判断に加えて、同一条件での就職先も見つける事ができました。これもタイミングが良かったと心から安堵しています)

改めて、関係者の皆様。これまで有難うございました。

目下も仕事をすればトラブル三昧ですが、スマイルコールもそうでした。大抵の事は乗り越えられます、渦中は辛いけど。

決断を正解にしましょう!

2022/09/01 
株式会社インデンコンサルティング 代表取締役 斎藤 正寛

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