見出し画像

入院中の独り言

土曜日の朝 外は昨日からの雨

慌ただしく出入りのあった病室が
やっと2人になり また静かになった

現在の病室の相棒は 86歳の女性
矍鑠としてとてもその歳には見えない
理想の良い老い方を見習いたい

考えると入院してすでに46日が過ぎ
私はベテラン入院患者になっている
しかも、悪いのは左足だけ
あとは多分健康

看護師さんが、病棟の見回りは
陽子先輩に任せましたと冗談をいう
それほど馴染んできた

もう1ヶ月以上も入院し
人間観察していると 色々見えてくる

入院患者あれこれ
できる看護師、看護助手
信頼できる理学療法士
医師さまざま などなど

ここでは、私が感心する
ベテラン看護助手の話をしよう

看護師や看護助手さんの仕事も
ある意味接客業と似ている
気配りとコミュニケーション能力
そしてスキル

仕事ができるできないの前に
まず、明るく感じが良い
声にハリがあり はっきりもの言う

そして、その次に
患者の言動に 感情的にならない 怒らない 一旦は同調する

看護の仕事の中に 食事介助がある
私が食事後洗面室に行く 
その目の前の病室は 
介助を必要とする 男性患者の病室 

聞こえてくるのは
いらねえーって言ってんだろう
うるせーんだよー
未だ食うって言ってんだろう
などの暴言

驚いたのは 食事介助をしていた
私が感心する看護助手さんが
その暴言爺さんに優しく接し
うん うん そうなの 分かったよ
などと言い 気付くと爺さんは黙り
食事を口にしていた
えらいね 食べられたね
と看護助手さんは爺さんを褒める

私には真似できない
黙って聞いていると
中には半怒りの看護師などがいる中
素晴らしいとしか言いようがない

その看護助手さんの素晴らしさは
それだけにとどまらない
忙しい看護師の先をまわり
看護師を手助けしている
仕事ぶりを良く目にする
患者の呼出にも率先して対応する
清拭やオムツ交換なども
中心となって行っている

この人は仕事ができると思うのは
自分が関わらなくても
見ていれば 自然に分かってしまう

その人は 失礼ながら
決して美人ではない 若くもない
でも私には 看護助手の彼女の
背中に大きな白い羽が見える


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?