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きっと、これからトモになる女の子〜世紀末覇者編~


声劇台本0:0:2


企画概要

同じ書き出しでそれぞれ台本を書いてみよう企画(仮名)参加台本です。

「これから友だちになる女の子。」


高校最後の夏休み
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら。
思いを告げたあの場所で、言うんだ。


注意


※有料配信含むどこでお使いいただいても大丈夫です

※Ⅹ等で上演連絡頂けたらとても喜びます

※著作権は手放していません。自作発言、転載、改変等はおやめください。常識の範囲内でご使用ください

※役の性別は固定です。中の人の性別は問いません。多少の語尾変、一人称の変化ご自由にどうぞ

※一人読みでお使い頂いても全然OKです!


登場人物



むさし  強そうな名前だけどもやし。本編ト書きは武蔵のモノローグです

みかちゃん   人よりちょっぴり力が強い黒髪ロングの女の子。おまけト書きはみかちゃんモノローグです


きっと、これからトモになる女の子〜世紀末覇者編~


高校最後の夏休み
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら。
思いを告げたあの場所で、言うんだ。

むさし:「みかさんに相応しい男になるために僕東京にいってきます!まっててほしい!」

僕の名前は坂神武蔵(さかがみむさし)。
むさしなんて強そうな名前だけど体育はてんでだめ
頭も中の下、身長はあるけどひょろひょろでぱっとしないし正直同級生にはバカにされてる

今日も帰り道の公園でとても令和とは思えないハードモヒカンで棘つきの肩パッドをつけヒャッハーヒャッハー言っているヤンキーに絡まれて…

むさし:「いたっ!痛い!や、やめてよ」

にやにや笑いながらいたぶるような暴力は延々と続けられた

刹那…それは暴風だった

まず僕に蹴りをいれていたリーダー格の男が消えた

と、思ったら3m先の木にへばりついている

ふき飛ばされたのだ

何に?思考が追いつかないまま…同じく何が起きたかわからずキョトンとしたヤンキー2人が地面に叩き伏せられた

ほんの一瞬…ものの3秒ほどだろうか

さっきまでにやにや下卑た笑いを浮かべていた3人はぴくりと動く事もなく沈黙している

中央に佇むのはまるで巨木を思わせるような肉
磨き上げられた筋肉の塊だった

みか︰「クズどもが」

眩しかった。筋肉が光輝いていた

みか︰「主(ぬし)もおのことして恥ずかしくないのか軟弱者」

振り返ると長い黒髪がフワリとなびく

むさし:「あ、あの」

みか︰「強くなれおのこよ。力がなければ何も守れん」

むさし:「はい…あ、あのお名前は!」

みか︰「みか…豪傑寺美火(ごうけつじみか)だ」

むさし:「みか…さん……みかさん!ぼ、僕を!!弟子にしてください」

みか︰「ふん。まずは体を作れ。そんなゴボウのような体では小指でへし折れる」

ずしゃっずしゃっとまるでモビルスーツのような足音をたてながらみかさんは行ってしまった

むさし:「体…鍛えなきゃ!」

その日から地獄の筋トレメニューをはじめた。授業中も教師や周りになんて言われようが筋トレメニューをこなしながら授業を受け続け、元々食が細かったが体を作るためにタンパク質を中心に限界以上に食べまくった

189cmと身長だけはあったガリガリの僕は半年後には体脂肪率6%で150kgの肉体を作り上げていた
この頃には誰も僕をバカにする事なんてなくなっていたがそんなのはもう関係ない
みかさんの純粋で美しい力に憧れた。少しでも近づきたい
みかさんの鉄塊のような肉体には比べるべくもない貧弱な体だが、修行をつけて貰えるスタートラインくらいには立てただろうか

街中を探し回るけれどみかさんは見つからない。陽が傾き夕暮時になるころにふと立ち止まると、最初に会った公園の前にいた。
みかさんに助けてもらった時計広場のベンチに腰掛ける。

……

みか︰「おい」

むさし:「Zzz…ん」

みか︰「おい武蔵!」

むさし:「ふぁ!み、みかさん!!」

みか︰「こんなところで寝るとはスキだらけではないか。そんな事では真の武人になどなれぬぞ」

むさし:「ご、ごめんなさい。あの!みかさん!僕!強くなりたいです!みかさんみたいに!で、弟子にしてください!!」

みか︰「なにを求む。主程度の鍛え方でももう小蝿などよってこぬであろう」

むさし:「それは…まだはっきりとはわからないですけど…みかさんをみて個としての純粋な力って…美しいなって」

みか︰「そうだ。それが高みだ。よかろう我が豪傑寺流の武、主にも触れさせてやろう」

そこから地獄のような苦痛と、だがみかさんの武を体感できる喜びの日々だった

みか︰「ふむ、思ったより筋がいい。」

みかさんの発勁をもろにくらい地面に伸びながら思う

自分の力が磨かれていくのを実感しながら、ますますみかさんとの圧倒的な差に愕然とする

みかさんと一緒にいると、時折ふと遠くをみているミカさんに気づく

こんなにも自負に溢れた人が、とても寂しそうに

前に修行の後、みかさんの家の豪傑寺道場の事を聞いてみた事がある

みか︰「16の時に主である父親を打ち倒してから儂が道場主だ。本気で死合ったあの勝負の後、父は二度と拳を握れぬ体になっておった。それ以来試合どころか組手の相手すら誰も手を挙げん」

みかさんは強すぎたのだ。わずか16歳で同門、血族はおろか流派筆頭の父親よりも強くなってしまったみかさん

誰も辿り着けない高みゆえの孤独。誰にも本気でぶつかれない哀愁。

僕は…僕にできることは

1年の修行の日々
研ぎ澄まされる肉体、磨き上げられる技の練度
だがそれでも…あまりに遠い高み

夏休み最終日
僕はみかさんに本気の組手をお願いした
道場ではなく、強くなりたいと願ったこの公園の時計広場で

みか︰「応!こい!!」

了承はしてくれた…がおそらく本気では打ち込んでくれないだろう
ならば!少しでも本気を出させるまで!

むさし:「るぁああ!!」

ドン!と地が鳴る程の勢いで踏み込みそのまま肩で当て身を打ち込む、がそれに合わせてズドン!と地が揺れる程の豪快な踏み込みで崩拳をあわせてくるみかさん

むさし:「ちぃっ」

技の起こりを潰され完全に勢いを殺される

みか︰「ぬぅううん!!」

みかさんの技はまだ終わっていない!?

ズドン!!引き足が追いつく勢いでさらにもう一歩踏み込んでくる、知覚外のスピードでみかさんの瓦板のような掌底が迫る

むさし:「ぐぅうう」

一瞬の間にギリギリまで体を右に捻る

ジャッ!!
チリチリと焦げた臭いをさせながら胸元を削っていく。が、なんとか避けられた!ここだ!
捻った体をそのまま回転させ裏拳を叩き込む

みか︰「ふん!」
ガヅ!!!
さすがに技後の硬直中でカウンターはなかったが、最小限の動きで拳に頭突きを合わせられる

だがもちろんこんなもので終わらせない。裏拳で回転した体の勢いを乗せてそのまま浴びせ蹴りをいれる。

頭突きのためにガッチリと力の入ったみかさんの頭部。アゴめがけて渾身の力でかかとを振りぬいた

ガッ!という音とともにみかさんの体が崩れる
力を逃がせずもろに脳が揺れた事で、いくらみかさんとはいえ態勢を崩し膝をつく

みか︰「…くっくっ……フハハハハハハハ」

むさし:「みかさん…」

みか︰「楽しい…楽しいぞ武蔵!!主相手ならば本気を、儂の全てをぶつけることができるやもしれぬ!!!」

あぁ…美しい武だ
激しい打撃の嵐にさらされながらみかさんをみる
強く…美しい。拳をふるい、蹴り上げ、掴み、投げる
そして彼女は…笑っていた。とても嬉しそうに

30分後
ベンチに腰掛けるみかさんと地面に大の字で倒れている僕
やっとの思いで体を起こし僕はみかさんに声をかける

むさし:「…みかさん!」

みか︰「ぬ?なんだ武蔵」

高校最後の夏休み
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら…
強くなりたいと思いを告げたこの場所で言うんだ!

むさし:「みかさんに相応しい男になるために僕、東京にいってきます!!まっててほしい!!」

みか︰「なんだと?」

数秒の沈黙

みか︰「主とであれば一緒に高みを目指せる…そう思っておったのだがな…どういうことだ」

むさし:「この先頑張ればみかさんの相手くらいにはなれるかもしれない…でも今日確信したんだ。このままじゃ絶対にみかさんに追いつくことはできない」

みか︰「ぬ……」

むさし:「みかさんの孤独を癒やすためには…ただ相手が務まるだけじゃない。みかさんと死力を振り絞って勝つか負けるかの勝負ができるようにならなきゃいけない」

みか︰「………」

むさし:「みかさんと対等の勝負をするためには…人間のままじゃ無理だって気付いたんだ!!!」

みか︰「なにを…いっている」

初めて見るみかさんの困惑した表情。僕はそのまま続ける

むさし:「人間の肉体ではいくら鍛えたところで限界がある!限界まで研ぎ澄ませたところでやっとみかさんの足元に触れるくらいなんだろう。それほどまでにみかさんの肉体は、武力は、完成された人類未踏の美なんだよ!」

みか︰「…ふむ……して人間のままでは無理。というのはどういう意味だ」

むさし:「東京に人体構造科学研究所って場所がある。そこではアンドロイドやヒューマノイド、そして人体改造の研究が行われているんだ」

みか︰「主は…」

むさし:「戦争時の兵器利用を視野にいれた研究のサンプル実験に立候補した。人体白兵戦闘特化改造手術。僕は…ヒトを捨てる!!!」

みか︰「バカが!!!」

むさし:「…心配してくれてるのかな?ありがとうみかさん……でも、口元に笑みが浮かんでるよ」

みか︰「…くっ……ククク…ハァッハッハッハッハ!そうだな!バカなやつめと思いながら…儂は!期待してしまっている!」

むさし:「だからさ…待っていて。俺強くなるから!みかさんの弟子じゃなくて好敵手(トモ)になって帰ってくるから!」

みか︰「本気なのだな…。おのこが肚を据えて決めた事だ何も言うまい」

むさし︰「うん!」

みか︰「待っておるぞ武蔵。これは餞別だ」

いきなり胸ぐらを掴まれ、189cm150kgの体がいとも簡単に浮く。

ゴツッ。

唇に硬いなにかが押し付けられた

むさし:「え?みか…さん??」

持ち上げていた僕の体を降ろすと、みかさんはくるりと踵を返す

みか︰「無事に帰ってこい」

後ろを向いたままそう一言呟き、ズシャッズシャッと足音をたてて公園をでていってしまう

むさし:「…うん。いってきます!!」

天の声︰この二人!後の地上最強の夫婦である!!!

完!!!!


〜〜〜おまけ〜〜〜みかside

はーあ。今日も道場いかなきゃー憂鬱だなー。パパの事倒しちゃってから誰も勝負してくれないし。ガン無視ぢゃんね。まじ無理

あれ、あの男の子ちょっと細すぎだけどあの骨格は鍛えたら絶対いい体になるわー。めっちゃ好みの骨格ー♡ん?てか変なのに絡まれてんぢゃん。チビザコの癖に人に迷惑かけてんぢゃねっつの。汚物は消毒消毒。

えいっ

みか︰「クズどもが」

んんーってかこの喋り方なんとかなんないかなー。ちっちゃい頃パパの真似してたら抜けなくなっちゃったんだよなぁ

もーこの男の子もちょっと情けないなぁ。あんなやつらにやられっぱなしでさ。ちょっと鍛えたらあんなやつら目じゃないのに

みか︰「主もおのことして恥ずかしくないのか軟弱者」

ぬしって武士かよあたしぃ。

むさし:「はい…あ、あのお名前は!」

名前かぁ。ごつくて好きぢゃないんだよねー自分の名前

みか︰「みか…豪傑寺美火(ごうけつじみか)だ」

むさし:「みか…さん……みかさん!ぼ、僕を!!弟子にしてください」

で!弟子!?ちょ!えぇ!?どうしよ!弟子ってことは修行するってことだよね??修行って2人きりだよね!?実質デートだよね!!?そんないきなりは無理ぃ心の準備ないと無理ぃ

みか︰「ふん。まずは体を作れ。そんなゴボウのような体では小指でへし折れる」

もーーーーなんでこんな言い方しかできないかなあたしぃ!恥ずかしいもぉ無理ぃこのまま帰ろ!

………

どうしてるか気になって武蔵君と同じ学校の子に、さりげなく武蔵君の事聞いてみたけどめちゃめちゃ体作り頑張ってるみたい!
頑張り屋さんなとこもポイント高いかもー♡
鍛えてからこいなんて言わなきゃよかったなぁ全然会えないぢゃんね

…………

あーあ家帰るのだるー。1人で修行するなら道場ぢゃなくていいぢゃんね!高校でたら絶対ひとりぐらししてやるんだから。
あ!武蔵君!!ベンチで寝てるーかわいー♡寝顔みーちゃお♡
うわー体ちょー鍛えてるぢゃーん♡やばー♡上腕二頭筋の筋肉のつき方とか超好みー♡
だめだだめだずっとみちゃう。起こさないと

みか︰「おい武蔵」

むさし:「ふぁ!み、みかさん!!」

ふぁってなにーもーかわいいなー。可愛すぎて他の子とかに絶対見せたくないからクギさしとこ

みか︰「こんなところで寝るとはスキだらけではないか。そんな事では真の武人になどなれぬぞ」

むさし:「ご、ごめんなさい。あの!みかさん!僕!強くなりたいです!みかさんみたいに!で、弟子にしてください!!」

半年たっても気持ち変わってないし一途だしもーすきぃ!
でもこれだけ鍛えたらイジメられる事もないだろうし私と修行なんてキツい事しなくても充分強いと思うけど?

みか︰「なにを求む。主程度の鍛え方でももう小蝿などよってこぬであろう」

むさし:「それは…まだはっきりとはわからないですけど…みかさんをみて個としての純粋な力って…美しいなって」

美しいってーー!いきなりなに!?それってもう告白!?もー大胆!!!OK!超OKぇーーー

みか︰「そうだ。それが高みだ。よかろう我が豪傑寺流の武、主にも触れさせてやろう」

……………

もー幸せすぎるなー!武蔵君との修行楽しすぎてまぢ家帰るの憂鬱。

武蔵君どんどん逞しくなってカッコよくなってくしぃ!パンチ打ち込む時の三角筋とかちょーやばい!

え?本気の組手?んーーーー…やばい急所だけ気をつければちょっとくらい強く打ち込んでももう大丈夫そうだよね
あたしなんかと組手してくれるだけでうれしぃのに本気だしていいよなんて…もぉ武蔵君大好き!

っとぉあぶないあぶない!どんどんキレよくなってくなぁ。ほんとに努力してるんだね!嬉しくてテンションあがってキタ!!

みか︰「楽しい…楽しいぞ武蔵!!主相手ならば本気を、儂の全てをぶつけることができるやもしれぬ!!!」

ふぅ…ちょっとやりすぎちゃったかな?
でも……武蔵君なら本当にいずれ本気で試合できるかもなぁ…フフッ

むさし:「…みかさん!」

武蔵君…すごい真剣な顔…これってもしかして!プロポーズ!!?!?

むさし:「みかさんに相応しい男になるために僕、東京にいってきます!!まっててほしい!!」

…え?…どぉいう事??東京なんて行っちゃったら遠すぎて会えないよ?

むさし:「みかさんと対等の勝負をするためには…人間のままじゃ無理だって気付いたんだ!!!」

武蔵君?全然意味わかんないよ!

むさし:「戦争時の兵器利用を視野にいれた研究のサンプル実験に立候補した。人体白兵戦闘特化改造手術。僕は…ヒトを捨てる!!!」

武蔵君バカなの!?
……でも全部あたしのため?あたしのためにそこまでしてくれるの?どうしよ…キュンときた…
それに本気で戦えてカッコイイ旦那さんかぁ…やば!!ちょーいいじゃん!
武蔵君の決意の表情…。こんなカッコイイ顔されちゃったらもうなにも言えないなぁ
淋しいけど…ちゃんと見送らなきゃ!

お…お見送り…暫く会えないんだし…その…チューくらいしてもいいよね!?いいよね!!?
どどどどうしたら…えっと…えっとぉ
あたしが屈んでもなんか変だよね!?
えーーーーーーーい

チュ

むりむりむりむり!はずい!!
もう顔みれなぃーーー

いってらっしゃい…待ってるからね武蔵君


おわり♡

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