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捨てたい、けど捨てられない―機能不全家族で育って

第12回

その後、息子は私には「大丈夫」と言って出社していましたが、毎日辛かったと思います。周りの先輩社員のフォローがあれば少しは安心できたかもしれませんが、誰からもフォローはありませんでした。
最初に怒鳴られてから1か月が経った頃、今度は怒鳴られはしなかったものの、やはり仕事の途中で帰宅させられました。理由を聞いても、前回同様怒る必要があるとは思えませんでした。翌朝「出社するな」とメールが届いたかと思うと、在宅勤務に切り替えるので会社にパソコンを取りに来るようにとの命令。いい機会だと思い、本当にこの会社に居続けていいのかどうか様子を見ようと思いました。
在宅期間には適切なフォローも教育もなく「教えたことを理解できていていない」、「来年の三月まで試行錯誤していろ」等の心ない言葉がけ。そして1か月が経つ頃に「やる気のない者を手取り足取り教えている時間はない」とのメッセージが届きました。
「これ以上いると息子の心が壊れてしまう。他の道を考えよう」と考えて10月最初の月曜日に、休暇を取っていた息子と一緒にハローワークへ行きました。そこでのアドバイスは「命の危険を感じるならさっさと逃げなさい」でした。翌日息子が出社すると、社長は朝から「社員に無視された」と激怒していて、今度は無視したとされる社員が朝礼で吊し上げられたそうです。「もう嫌だ」と自覚した息子の相談に乗り、ついに退職することを決めました。(緑:2022.4)

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