見出し画像

捨てたい、けど捨てられない―機能不全家族で育って

第9回

父は私が生まれる前から写真撮影が趣味で、幼い頃の私の写真もたくさん撮っていました。その話だけを聞くと、十分親にかわいがってもらっていたように思われるかもしれません。しかし実際の写真を見ると、そうではないと気づく方がいると思います。

それは私の歯のことです。私の乳歯は虫歯だらけでした。親は私が「甘いものばかり食べていたから虫歯だった。」と言っていましたが、それだけでは一番目に付く前歯は虫歯にはならないそうです。永久歯に生え変わるまでの間の時期に、前歯に虫歯がある子を見ることなんてほとんどなかったのに、なぜ自分は前歯にも虫歯があったのかと、大人になってもずっと疑問に思っていました。

15~6年ほど前にたまたま見たニュースで、虐待されている子どもに虫歯の多い子がいると知りました。経済的な問題や親の無関心から歯のケアがなされず、虫歯になっても歯医者に連れて行ってもらえないことが原因だそうです。私のことだなぁと思いました。不思議と怒りは湧いてきませんでしたが、自分が愛情に飢えたまま大人になり親になってしまったことに気づき、悲しくなりました。(緑:2022.1)

サポートいただけると励みになります!いただいたサポートは、会員の皆さんの活動につながるよう、使わせていただきます!