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ウチの子 発達障害!?vol.116~120

vol.116「苦手なことを放置していたが…➀」

 息子はこれまでに「ボールを投げるのが下手だ」と先生に指摘されたことがある。運動の中でも例えばボールの受け渡しのようなことは、コミュニケーション能力にも無関係ではないので、たくさん練習すれば上達したのかもしれないが、練習させようとしてもうまくできなくて私がイライラしてしまうため、いつからか教えることを諦めていた。幸いにも運動が苦手だからとからかわれることはなく、親切な周りの子たちに教わりながら息子自身の力で頑張ってきた。

 高校の体育では自分がやりたい種目を選択するそうで、今回はバドミントンに決めたとか。練習では長くラリーが続いて楽しいらしい。でもいざ試合になるとどうしても勝てず、「もう嫌だ。やめておけばよかった。」と不貞腐れていることもあった。

 それを聞いて息子に、①そもそも上手になると思っていなかったこと、②練習させようとすると出来ないところが目について怒ってばかりになるため申し訳ないが放置していたこと、③だから練習でラリーが続くようになったと聞くだけでとても嬉しいこと、そして④練習と試合ではやり方が違うから勝てなくても大丈夫ということを伝えた。

 たかが体育の授業での試合とはいえ、勝った方が楽しいに決まっているし、勝ちたい気持ちもわかる。でも母としては諦めていたことができるようになったことが本当に嬉しかった。息子も少し吹っ切れたようで「競って負けるか、やる気なしで負けるか、うまく負ける方法を考えている。」と気持ちを切り替えた様子。表情が少し明るくなっていた。(2020.10)

vol.117「いよいよ面接の日」

 10月22日は息子の就職面接だった。月初めから学校で毎日のように面接練習を重ね、どんなことを聞かれても答えられるようにと準備をしていた。「こんなことを聞かれたらどう答えたらいい?」、「先生はこう言ってたけど、この答え方で大丈夫かな?」と息子が家で尋ねてくることもあり、私も一緒に考えてきた。発達の凸凹なところはどう伝えるのがよいのかと母としても悩んだが、先生が「入社後にも定期的に面談をする会社のようだから、仕事上で困ることが出てきたらその時に言えばいいのではないか」とアドバイスしてくれたそうだ。

 当日、面接は1時間半にわたって行われた。志望動機、通勤にかかる時間、趣味、ストレス解消法など色々と聞かれたそうだ。とりあえずすべての質問にきちんと答えることができたと帰宅した息子から聞いて、私もホッとした。

 そして翌週、無事に内定をもらうことができた。もちろんこれで大丈夫なわけではない。春からしっかり働いていけるよう、これからも見守っていきたいと思う。でも今だけは、この喜びをゆっくり噛みしめたい。(2020.11)

vol.118「音楽で学んだことを土台に」

 11月末に、息子が14年半習っていたピアノをやめた。当時3歳だった息子、早生まれだったので3年保育で幼稚園に入れようとは思わず、言葉が少し遅いかなと気になっていたこともあって「それなら音楽教室へ」と思い門をたたいたのがきっかけだった。

 当初から「上手に弾けなくてもいい、とにかく楽しく続けられたら」と思っていたので、本人は練習不足でも平気な顔でレッスンに通っていた。でも春の発表会だけは別。アンサンブルでは自分の役割があるので、3か月位はきちんと練習し、当日もしっかり演奏していた。

 最後だと思っていた今年の春は残念ながらコロナの影響で中止になってしまったが、これまで出演した13回の発表会、その一つひとつが楽しい思い出であり、「人と一緒に一つのものを作り上げる」という経験は、今思えばコミュニケーション能力の向上にもつながったと思う。

 鍵盤楽器はまず右手のみで弾く、次に左手、それから両手、さらにテンポを上げたり強弱を付けたり…という練習過程を踏んで一つの曲が演奏できるようになっていく。仕事もその過程は同じ、この経験を基に地道に焦らず頑張ってほしいと思う。(2020.12)

vol.119「苦手なことを放置していたが…②」

 vol.116で書いた体育でのバドミントンの話には続きがある。試合をやっても勝てなくてガッカリ、でも考え方を変えて楽しめばよい、と思った矢先に、「次回からダブルスで試合」となった。たとえ授業だとしても、息子と組んで試合をやる子には申し訳なく思う。実際にダブルスを組んだが怒りを堪えていた、という子もいたそうで、息子も気にしていた。

 ある時、同じクラスのある子が「○○、練習するぞ」と試合の待ち時間にさりげなく声をかけてくれたそうだ。しかも二人で練習するのではなく、他の子たちも誘って。そして試合の時にどうすればいいのかも教えてくれたそうだ。

 こうして練習を始めてからは勝てることが増えてきたようで、息子は家で愚痴を言わなくなった。もちろん、一緒に組んだ子が息子以上に頑張ってくれているから勝てたのだということは分かっている。何より息子のために、いろんな子が手助けをしてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。

 改めて「この学校に決めてよかった」と思えた出来事だった。(2021.1)

vol.120「病院は意外に好き」

 1月末に息子の高校での最後の定期テストが終わった。今年度4月から6月はほとんど登校できず、5月に予定されていた修学旅行は中止になり、毎年2日間開催の文化祭は1日のみで行い、就職活動は1か月遅れ…予想外の事ばかりだった。

 実は高1の冬、息子はインフルエンザの高熱が原因でIgA腎症に罹ってしまった。それが分かったのは一昨年、高2の11月のこと。何度尿検査をしても陽性反応が出るというので腎生検を受けて判明した。昨年2月に扁桃腺切除手術を受け、その後10月までステロイドパルス療法で治療を受けていた。ステロイドパルスというのは点滴と服薬での治療なのだが、点滴でのステロイド投与は体にもかなりの負担がかかっていたようだ。服薬も多く母としても心配だったが、よく頑張ったと思う。

 残念なことに完治はしない病だが、おかげで現在はほぼ完解状態になった。この先も悪くならないように気を付けて生活していってほしい。それ以外にも歯列矯正もやっていたが、基本的には病院が好きな方なので治療できた。急な環境の変化などには意外にも平気で安堵した。(2021.2)

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